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序章 ~死とともに生まれる星たち~

「何億光年輝く星にも寿命があると教えてくれたのはあなたでした。」

山口百恵 さよならの向う側

 CMで流れる名曲でも歌われているように「永久」を意味するを冠した天体、 恒星 はその名に反し、わたしたちと同じように死ぬことが知られています。では、星はどのように死んでいくのでしょうか?そのあとには一体何が残るのでしょうか?

視点を地球に戻して考えてみましょう。生物が死ぬとき、その体を構成していた物質は捕食者の血肉となり、その捕食者が死ぬとまたさらに上位の捕食者の血肉となり、物質は世界を巡っていきます

実は、宇宙でも同じような物質の循環が起こっていることが知られています。超新星爆発 という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

M1 かに星雲 credit:NASA, ESA, J. Hester and A. Loll (Arizona State University)

これは、太陽よりももっと重い星が自身の体重を支えきれなくなって崩壊するときに起こす宇宙最大級の爆発現象です。

この爆発は、その物理現象の華やかさはもちろんのこと、同時にたくさんの重元素を生成し、宇宙に放出するという観点からも重要な天体現象です。こうして、星を構成していた元素は宇宙へと放出され、また別の天体の一部となって宇宙を循環していきます。

しかしながら、すべての星が超新星爆発を起こすわけではありません。星はその生まれたときの質量で運命が決定され、あるものは 白色矮星 に、あるものは、超新星爆発を経て中性子星に、またあるものは、超新星爆発を経てブラックホールへと進化してその一生を終えます。

このマガジンではこのように、星が死んでいくときに生まれる、コンパクト天体たちに焦点を当てて学んでいきます。こうした天体の個性的な姿はもちろんのこと、天文学の持つ 我々の想像を遥かに超えたスケールの現象に魅力を感じていただけますと幸いです。

それでは、コンパクト天体でめぐる宇宙の旅を始めましょう。

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さあ、宇宙の謎を解く旅に出よう。

宇宙には、わたしたちの想像を遥かに超える面白い星が存在します。その代表が「白色矮星」「中性子星」「ブラックホール」に代表される「コンパクト…

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