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#ビジネスにちょっとだけ役立つかもしれないこと ズラし、ズラされ、成長する それは鬼畜の所業?

人事異動です!
人事異動です!

突如、知らされる異動通知…
それを見て、「ゲッ、マジか…」

そろそろかなとは思っていたけれど…

人は基本的に変化を好みません。
その「場」の居心地がよければ尚更です。

しかし、企業の成長、組織の成長において、この人事異動って非常に合理的だったりするのです。

人事異動とは、「コンフォートゾーンを強制的にズラす」ということです。
コンフォートゾーンは、聞いたことがある方も多いと思いますが、簡単に説明しておきます。

そもそも、なぜ人は変化を好まないのでしょうか?

それは、ホメオスタシス(恒常性維持機能)が働くからです。
ホメオスタシスとは、人間の脳には周囲の環境の変化に対して、常に安定した状態に保とうとする働きのことです。
この働きにより、維持しようとする範囲のことをコンフォート・ゾーン(居心地の良い場所)と呼びます。
この場所は、肉体的にも精神的にも自分が最も居心地のよい慣れ親しんだ領域です。

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どうでしょうか?
慣れ親しんだ場所や領域から離れるのは抵抗がありますよね…

それを、鬼畜の所業のように、非情に実行する行為が人事異動です。

自分から刺激や成長を求めて、居心地の良い場所から抜け出したい人もいますが、多くはコンフォートゾーンに留まりたいと思うのではないでしょうか?

そんなことは、お構いなしで、企業は環境の変化に応じて、ヒト、モノ、カネの分配を繰り返しながら、危機を乗り越えたり、成長していきます。
特に、現在のように環境の変化がはやい時代では、企業の変革としての組織変更や人事異動が頻繁に行われるのは必然です。
さらには、新型コロナウイルスの感染拡大は、緊急事態であり多くの企業のその変化に対応するための組織変更や人事異動が実施されたのではないでしょうか?

ここで、企業の戦略としての「人材の適材適所」ついて考えてみます。

人材の能力と適性を理解して、最も活躍できるポジションに配置することで会社の競争力の底上げが期待できます。
社員全員が同じ能力ではなく、それぞれ「営業向き」「管理向き」「広報向き」「技術向き」といった特性がありますよね。

それを正しく把握してポジションを用意することが人事の仕事のひとつです。
近年、企業内における多様性も重視されるようになり、その適材適所を的確に判断することが求められています。

タレントマネジメントのようなものが、重視されるようになったのも人材のケイパビリティの見える化の必要に迫られたことが背景にあります。

それらの適材適所を実現する手段としての一つが人事異動です。

人事異動の目的とは?

さて、「人事異動」と聞くとどのようなイメージを持つでしょうか。

企業の規模によって異なりますが、「人事異動」は、会社の財産である人材を適材適所に配置することで、企業活動をより良い方向へ動かすという目的のために実施されます。

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日本は昔から「終身雇用制」が根強くはびこっています。企業側がなかなか解雇できないのもそういう文化が良くも悪く残っているからです。

近年、その傾向が弱まっているとはいえ、まだまだ、それがプラスだと考えている人も多いと思います。

そのような終身雇用の環境中であっても、定期的に人材の配置転換や検討を行うことで企業活動へのマイナスの影響を事前に回避したり、新たな環境や人間関係の構築で競争し切磋琢磨する環境をつくりことが重要になります。  

人事異動のポジティブな捉え方

人事異動のネガティブなところばかり見てきましたが、そんなに悪いことばかりではないんですよね。

人として、ホメオスタシスという機能が働く中で、社員としてはできるだけ今の環境を変えず働いていたいものです。
繰り返しになりますが、その環境が人間関係的にも恵まれ、やりがいもある居心地の良い環境であれば尚更です。

人事異動は、社員にとっては新しいことにチャレンジできたり、人脈を広げるといったメリットもあります。

そして、居心地がいいなっと思った時は、すでに成長は止まっていると考えるべきです。
自らそれを理解し行動に移せる人は良いですが、残念ながら、そうではない人の方が大半なのです。

新天地で働けるとプラスに考えることも1つの選択肢なのです。
そして、それが個人の成長に繋がり、企業の成長にも繋がると捉えることが必要になります。

それでは、コンフォートゾーンをズラすと、なぜ成長に繋がるのか?

組織内には、3つの場所があります。

居心地の良い場所
混乱の場所
学びの場所

人事系の人は知っている人も多いと思います。

パニックゾーン、ラーニングゾーン、コンフォートゾーンというのを聞いたことがあるでしょうか?

人事系の人は知っている人も多いと思います。

人事系ではない方々のために簡単に説明します。

元GEリーダーシップセンターのディレクターの「ノエル・ティシー」によって提唱された人材育成におけるコンセントとして整理された3つのゾーンのことです。

これを知っているか、知っていないかで、人事異動になった時に自分が現在どの場所にいて、そこをどう乗り越えて成長していくかということが認識でき、やるべき行動が少しでも理解できるのではないでしょうか…

コンフォートゾーン、ラーニングゾーン、パニックゾーンとは?

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コンフォートゾーン

前述したした通り、慣れ親しんだ場所です。
このコンフォートゾーンにいると、自分が今持っているスキルセットで手の内に諸事を収めることができ、あまり汗をかく必要がありません。
むしろ、皆にちやほやされたり、尊敬されたりすることもあるでしょう。
居心地が良いですよね...
しかし、多くの人は、スコトーマ(盲点)により視野が狭くなり、成長の機会を逃しているのではないでしょうか?

ラーニングゾーン

次にラーニングゾーンを見てみましょう。学びの場所です。
ラーニングゾーンは、コンフォートゾーンから一歩出たところに存在する世界です。それは、未知の領域です。自分の今までのスキルセットがあまり通用しないため、失敗もすることもあるかもしれません。
その場所で、試行錯誤し、いろいろなことを探していかなければなりません。

パニックゾーン

そしてパニックゾーンです。パニックです。混乱です。
ラーニングゾーンよりさらに外側に位置します。
今までのスキルセットが全く通用しないばかりか、そこで何が起きているのかもよく分かりません。誰に聞いたら良いのかもわからず、何をして良いのかもわからない、そうった場所です。
辛いですよね...このゾーンにいる場合は、人間関係も上手くいっていないケースが多いように見受けられます。

このような世界では、自分の制御できる範囲外で、どうして良いのか全くわからず、思考停止に陥り、精神的な不調をきたしかねない危険なゾーンです。

この3つの領域のうち、成長していくためには、ラーニングゾーンに身を置いている時が一番成長します。

コンフォートゾーンでは成長しにくいということは、皆さんも感覚的に分かると思います。

また、パニックゾーンにおいてはもっと深刻で、ポジティブな学びを得ることはできません。全く自分にスキルや経験が通用せず、人間関係も上手くいかない場所では、成長は愚か、学ぶことさえままなりません...。

そこで、コンフォートゾーンとパニックゾーンの2つのゾーンの中間であるラーニングゾーンが、学習のためには最適なのです。

常に自身が成長するためには、ラーニングゾーンに身を置くことです。
コンフォートゾーンにいても、自身の意識を変えることによってラーニングゾーンに移動することも可能です。

さて、このゾーンを理解した上で、自分が今どのゾーンにいるのか、的確に判断することがとても重要です。

3つのモデルを理解することは、難しいことではありません。
そして、コンフォートゾーンから抜け出すことの重要性についても、成長を志すビジネスパーソンであれば納得いくのではないでしょうか?

ただし、自分がいるゾーンを冷静に判断することが難しいのです。

特にパニックゾーンにいる場合は、そんなことを考える余裕すらないかもしれません。
この場合は、元の上司に相談する、人事相談する、同期に相談する、別の部署の人に相談するという、ありきたりことしか言えません。
しかし、パニックゾーンにいる人は、このようなありきたりな行動すらもとれない状況かもしれません。ちょっと自分でも「おかしいな?」と思ったら周りに人に相談すべきです。もしかしたら、「自分はパニック状態です。今、パニックゾーンにいます。」と言っていた人が、実は「自分はあまり汗をかいていなくて、コンフォートゾーンにいたようです。」と、認識を変えることがあるのです。
それで上手く回ることもあります。

まずは、自分がどのゾーンにいるかを的確に判断する能力を持つことです。
自分がどこにいるのかを把握することができると、初めて、コンフォートゾーンから一歩踏して、どうやったらラーニングゾーンに移れるか?パニックゾーンから抜け出すにはどうしたら良いのか、という話につながってきます。

自分を見つめ直し、いま自分がどこに居るのかを冷静に的確に判断し、どうしたら成長の機会を得られるか?どうしたらこの地獄から抜け出せるか?
そこを考えていくことが重要だと思います。

コンフォートゾーンやパニックゾーンにいる場合は、思考停止に陥りがちです。
定期的に、視点をズラし、視野を広げ、視座を変え、自身を見つめ直し自分がどの方向に進むべきか、自問自答する時間を設けることが重要だと考えています。

人事異動を、鬼畜の所業を捉えず、ズラしズラされ、成長の機会を見出していくべきです。



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