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アミノバイタルカップ決勝

7月最初で最後のサッカー観戦はアミノバイタルカップ2021決勝
産業能率大学-法政大学の1戦へ

昨年3月佐貫から名称変更された龍ヶ崎市駅で下車しそこから竜ヶ崎へ。ワンマンで僅か3駅しかないローカル線関東鉄道竜ヶ崎線ではつり革がコロッケ?のようなデザイン。


到着して陸上競技場までは徒歩で向かうことに。32度の猛暑の中駅前、市役所といった街中を抜けると見えてきたのは流通経済大学。今シーズン多くのプロ内定選手を揃え注目度も高い大学を横目に過ぎ去る。遠くのほうにはたつのこフィールドの照明が見えていた。
そこからは田園風景が広がる。大きな雲にセミの鳴き声、成長した緑の葉。すべてが夏の雰囲気を纏っていた。さらにビックサイズの白鳥のようなものが普通に田んぼの中を歩いている。暑さを忘れるくらい初めての場所に心を動かされていた。


そして今度は山を越える。緩やかな上り坂を登ればすぐに目的地が現れた。

流通経済大学龍ヶ崎フィールドの隣には大きな山がある。傾斜の厳しい人工の山だ。そこからの景色はとてもよかった。筑波山や牛久大仏も見渡せ、高い建物もないので見晴らしは最高だった。


早く着きすぎてしまったのだがこの日の入場上限は230人。わざわざここまで来て入場できないというのは酷な話なので列に並び順番を待った。1時間も立ちっぱなしの状況で廣末がゴールを決めたとかオリンピックの話とかが流れてきたのであった。

アミノバイタルカップの概要を少しだけ説明すると簡単に言えば総理大臣杯の関東予選のようなものだ。しかし1発勝負のトーナメント戦なのでジャイアントキリングも起こりやすく見ごたえのあるゲームを楽しめる。しかもベスト4に残った中で1部の大学は法政大のみ。そんな大会の決勝戦は初優勝を狙う産能大と3年ぶりのタイトル獲得を目指す法政大の戦い。
試合は両チームともに決定機が少なくシュートも打ち切れないというゲームだった。慎重にいきたいだけなのか決勝という舞台によるメンタル的なことなのかはわからないがとにかくゴール前でのシーンは少なかったように感じた。逆に守備はしっかり固めて自由にさせず声を出しながらカバーもできていてミスのすくないものだった。
法政は4-2-3-1。4番の中井がポジションを流動的に取りながらボランチがそこに顔を出し攻撃を組み立てる。サイドバックは高い位置を取りセカンドの意識も高かった。しかしスペースを作れずボールは保持できていてももどかしい展開が続いた。
産能は5-2-3。攻撃時は3バックのもなっていたが基本的にはこの布陣。10番城定11番川名ウイングは外に張るわけではなく中絞りながら切れのあるドリブルを見せた。前半19分ごろに細かいパスワークから抜け出してチャンスを作る。このシーンをきっかけに少しずつ攻撃の時間も増えてきたが得点には至らなかった。
後半は両チーム次第に足が止まり始めボールも落ち着かず奪っては奪い返されの繰り返しでゴール前まで迫れなかった。一方で守備の意識は高く切り替えも早かった。産能大は後半のシュートわずか1本。法政も2本という結果だった。
延長戦に突入しても少し推進力はでてきたものの流れは大きく変わらず時間だけが過ぎていった。ここで気にしなくてはならないことが起こる。バスの時間のタイムリミットが迫っていた。完全所用なのだが20時10分のバスに乗らないと龍ヶ崎市駅9時15分発の電車に間に合わない。なんど乗り換え検索をしても同じ結果だった。そわそわした気持ちで延長後半を迎える。
延長後半2分。キーパーのキックミスを拾った産能大は丁寧なパスから19番の小野寺が落ち着いてDFをかわしキーパーの位置をよく見てゴール。ようやくスコアが動いた。スタンドも産能大ベンチも盛り上がり自分もバスに間に合うと踏んで安堵した。法政はこの残りの体力で102分で奪えなかったゴールをあと8分で取り返さなくてはいけない。かなり難しい状況でも選手、ベンチは諦めていなかった。延長後半8分法政大は後ろを固め時計の針を進めるため割り切った産能大から値千金の同点ゴールを奪う。右サイドからのクロスを6番の川崎内定松井が頭で前に出したボールが産能大DFの胸のあたりに当たる。法政ベンチはハンドを主張するもプレーは続行。再び右サイドから攻撃を仕掛け3番宮本のクロスをクリアしたボールが味方に当たってゴールに吸い込まれた。120分でも決着がつかず勝負はPK戦へ。
確信していたバスの時間が危ぶまれ自分の心はこれまでにないほどの葛藤が生まれていた。実は自分にとってPK戦は2013年の天皇杯準決勝以来。なんとしても見たい。心が決まらないうちにPK戦が始まった。先攻は法政大学。スマホの時計と睨み合っていると1人目のキッカーが外した。これを見た僕は葛藤の末スタジアムを後にした。
もちろんそのあとの展開はYouTubeで見届けた。しかしせっかく近く熱戦を繰り広げているのにも関わらずバスに揺られていた僕は虚しくなった。決着がついたのは11人目のキッカー。つまりゴールキーパー対決。しかもこの2人はジュビロ磐田ユースの1学年違いの元チームメイト。なんというドラマだろうか。これを生で見られなかった自分が情けなくて仕方がない。最後は先輩の産能大キャプテン1番牧野がPKをセーブしそのまま自ら勝負を決めた。
かっこよすぎる。産能大がアミノバイタルカップ初優勝を勝ち取った。

8時30分には竜ヶ崎駅に到着しそこから30分も待合所にいた。
龍ヶ崎駅に着いたのは9時8分。電車には間に合った。しかしツイッターを見てると最後まで試合を見届けた人が9時15分の電車に間に合っているでじゃないか。なんとスタジアムから直接龍ヶ崎市駅に行くバスで間に合ったらしい。僕はヤフー乗り換え案内を憎んだ。これが東京オリンピック日本代表戦を捨ててアミノバイタルカップを選んだ人間の末路だ。