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新隊員訓練開始~まだまだ序の口だった?

深夜に酒に酔いながら各寮にいる隊員を片っ端から起こして歩く先輩
おそらく酔っぱらってこんなことしても怒られない程の人、つまり独身寮の中で一番の先輩格であろうことが想像できました。

それから、ある程度騒いでいる声を聴いていると、一緒にいた後輩格の人が「○○さん、もうやめましょうよ、自分眠たいっす」
と暴れん坊を止めている声が聞こえてきました。
暴れん坊は「そうか?」などと素直に後輩いじめをやめて自室へ引っ込んでいった様子でした。

しかし、最後に部屋でおとなしくしていた被害者先輩に対して暴れん坊は、「おい、これ全部片づけておけよ」と命令して去っていった様子でした。
これが本部の機動隊か、理不尽極まりねー 怖い

それらが落ち着いたのが朝方4時ころ
私はほとんど眠れず、翌日に突入するのでした。

翌朝、執務室に着替えました。
姿見の鏡で見ると、機動隊の執務服は新品そのもので執務服に着られているという感じでいかにも新人です、と雰囲気がいっちゃってます。

転勤者は、巡査の人間が同期を含めて25名ほどいました。
すごく多いな、こんなもんか?

その中に同期もいましたが、10名もいなくてそれでも5名ほどでした。
情報とはあてにならないものだ。

巡査の新人枠の人間は新隊員といい、これからびっしり新人教育がなされる様子でした。

一応それぞれ所属の隊は決まっていましたが、本日からまずは管理中隊の小隊長付となる様子でした。

よくわからないが、とにかく機動隊舎の前(外)で全体朝礼を行い、各人がまたまた全体に挨拶をするみたいでした。
前情報では、巡査は何か面白いことを言わなくてはいけないらしく、寸前まで面白うことを考えていました。
が、
私はそんなキャラではないので、もう面倒くさくなり通常の真面目な挨拶に寸前でシフトチェンジを行い、普通に挨拶は終了しました。
なんだ、別にみんな面白くなかったし普通じゃないか
やはり前情報とは当てにならないのです。
なんだ転勤の挨拶で面白いことって・・

この時未だ自分の隊の先輩が誰だか不明なままで不安が募るのでした。

そこからいきなり新隊員訓練が開始となりました。

管理隊の小隊長がきて
新人教育の指揮官だといいます。
編成は、新隊員の巡査部長が2人
その下に、私含め巡査が18人
通常5人編成ですが、都合上
巡査部長1名の巡査が9人の2班が出来上がりました。

私の班がA班、隣がB班です。

まずは鎧の装着の仕方から訓練開始です。
この鎧のセット内容は
ヘルメット、胴体、腕、小手、金的、脛、足の甲
になります。
これを完全着装通称完着といいます。
渡されたのが旧装備セット
すべてが鉄板で、それを布で覆いマジックテープで止められる仕様になっていて、とにかく重たいのです。
新装備セットは、すべてが強化プラスチックらしく、旧セットは執務服に合わせて紺色、新セットは全身真っ黒で、ヘルメットの後頭部んは所属の数字が白色で印刷していあるのです。
例えば、第一中隊、第二小隊、第一分隊であれば
「2-1」
大まかな部隊移動では、どこの中隊のどこの小隊まで分かればよいらしいので
「2-1」つまり2中隊の1小隊の人、という意味になります。
部隊移動はたくさんひとがいるので迷子にならないように数字で管理されている訳です。

なるほど

余談ですが、この新セットは全国どこの警察も同じ装備です。
ゆえに、千葉県警の成田空港のCAあたりから
ゴキブリ
と言われているらしいです。
上空から見ると、黒い装備の人間が隊員輸送大型バスからわらわらと出てくる様が、ゴキブリホイホイに見えるとのことでゴキブリ
警察の扱いも酷いもんです。

装備セットをいかに早く付けられるかも訓練のうちで、でもこれはすぐに終わり、次はお待ちかねジュラルミンの大盾を持っての訓練に移ります。

この小隊長は訓練好きのドエス指揮官であり、まずは盾を持ってのランニングだと警察学校の周囲を利用して
「まずは10週」とさらっと我々に告げます。
一周が2㌔あるので、10週で20㌔
体力に自信があってもきついのです。
しかも、ジュラルミンの盾を両手に持ってのランニング
初日は、この20㌔をこなすのに精いっぱいで、全員よだれと汗まみれでぐったりしていました。
しかし、この指揮官、自分でも隊員と同じことをやります。
我々以上のことをやってのけるので、文句が言えず
完全に畏怖の対象で逆らえないのです。
怖い
指揮官から「お前たちだらしないな」
となんとかお許しを得て、その日は終了
みんなで風呂に入り、部屋に帰ると一気に布団の心地よさに意識を持っていかれたのでした。

初日   完

とはいかず、私が部屋で泥のように寝ていると、訓練と執務を終えた私の隊の先輩たちが、部屋をノックしました。
ふらふらしながら出ると、
「おう、お前の先輩だ」「夜の訓練に出かけるぞ」
そうです。昼間にしこたま体を動かした後
肝臓の訓練もあったのです。

これは警察学校編でもすこし紹介した「暖中」という家族経営の居酒屋
(ほぼお客さんは警察官)
ここに、10数名で押しかけ、なにも言わず、そしてきかれず当たり前のようにビール大ジョッキだ出てきてテーブルにドン
飲み放題の開始です。

新隊員には、期の数字が上の先輩2人、同期2人と私がいました。
この5人と先輩隊員
さあ、誰が飲み強いんだと期待のまなざし
今と違いアルハラ上等
一気飲み上等でしたので、そこでもしこたま飲まされました。

私は酒に弱い体質ではなかったらしく、翌日集合時間まえに何とか起きられ
集合時間には新隊員訓練場所にいましたが、新人の一人(期の数字が上の先輩の人)が2日目にして遅刻をかましていました。
社会人として、特に機動隊はそういった場合にすごく厳しく、罰は体で覚えさせるという風潮がありました。
当然遅刻の人は、がっちり叱られ特別指導だと、我々とは別のメニューが用意されました。
もちろん通常の訓練の後にそれをします。

四肢がもげます。


翌日の訓練は、またもやジュラルミン盾を2枚もってまずは6㌔のジョギングから開始、ゴキブリスタイルで基本行動を訓練、盾を使用した基本操法を訓練、ここまでは基本スタイルの訓練で、左右前後が揃うまで永遠にし続けました。
午前中は終わり、昼は機動隊食堂でアホのように食べました。
どんぶりめし3杯を食べ、いざ出陣

午後もジュラルミン盾を持ってランニング10㌔からスタート
ここら辺になってくると、体力のないものから脱落者が出てきます。
指揮官曰く「脱落者の盾をもって助け合いだ」
というので、走れなくなった巡査部長の盾を2枚引継ぎ、合計で4枚もって10㌔を完走しました。

おいおい、盾4枚ってどう持つのよ?
正解は、取っ手を内側に合わせて腕をその隙間に入れて左右の取っ手を持つことを両手でやる。

重さわ、盾一枚7キロあるので右腕で14キロ、左右合計28㌔
これが伝統の新隊員訓練らしいのですが、まだまだ序の口だと後に気が付くseigikann新隊員でした。

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