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「毎週水曜休み?」の英文記事から読み取るパラグラフ構成の「型」
「今日は水曜日、休日です」。
と言いたいところですが、休日ではなく、休暇です。なので、毎週水曜が休みなわけではありません。
水曜休みの「週休3日制」が実現したらいいなと前から思っていて、いろいろ調べていたところ、この英文記事を見つけて読んでみました。
オーストラリアのあるテック企業が、「給料変わらず・毎週水曜休日制」を取り入れたことで、社員のパフォーマンスがどう変わったかなどをフィーチャーしたものです。
読んでみて「なるほどな」と思うことはいろいろあるのですが、今回特に注目したのが中身よりも「型」。パラグラフがどう構成されているかという点です。
というのも、最近読んだ『基礎からわかる 論文の書き方』に書かれていた、英文記事のパラグラフ構成のモデルのように感じたからでした。
同書では、英文→和文の翻訳記事で、↓のような「型」が多く取り入れられているとしています。
①最初のパラグラフは象徴的な物語narrativeから始まり、読者の関心を引く。
②「これは格差の問題だ」などと、主題を設定する。
③本論第一パラグラフで、データで現状を記述descriptionする。
本論第二パラグラフで、他国と比較comparisonして問題を明確化する。
本論第三パラグラフで、原因causeや影響effectを分析する。
④最後に、「やはり格差の問題だ」「こういう対策をとるべきではないか」と結論する。
先ほどの「毎週水曜休み」の記事は、翻訳ではなく英文そのものですが、この「型」に当てはめてみましょう。
まず、冒頭。「水曜朝9:00、プロジェクトマネジャーのティファニーさんは、テニスコートでバックハンドの練習をしています」というふうに始まります。これはまさにnarrative。「え、何々? 水曜朝からテニス? 会社はどうなってるの?」と読者の注意をうまく引きつけています。
続けて、彼女のはたらくデジタルマーケティングの会社が「給料変わらず・毎週水曜休日制」を採用していることが説明され、ふだん彼女がどんなはたらき方をしているかを紹介しながら、この記事の主題が「毎週水曜休日制」であることがはっきりと示されます。
「Making it work」の見出しで始まるのが、本論第一パラグラフ。「この制度が導入されて収益が46%上がった。収益はほぼ3倍に」「社員の不調が減って満足度が高まった」とデータを提示。加えて、子育てをしながら創業したCEOが、柔軟なはたらき方と高パフォーマンスの両立をめざしていたことや、社員の水曜の過ごし方(ジムに行く、家のことをする、子どもとの時間を過ごす、ネットフリックスを見る…)といった事実(facts)を記述descriptionしています。
「Why Wednesdays?」の第二パラグラフは、ちょっと変化球。上の「型」では3つめにあった「原因causeや影響effectを分析」が、ここでは先に来ました。ニュージーランドの大学教授のコメントを引用して「水曜休み」のメリットについての研究結果を紹介しています。リフレッシュして戻ってくる木曜に、社員はもっとも生産的productiveと感じるのだとのこと。
第三パラグラフ「A cause whose time has come」は、おもに過去の歴史と他国との比較に当てられています。順番は逆になりましたが、「型」の2つめのcomparisonですね。週休2日制が1920年代には取り入れられていたことを踏まえつつ、各国がはたらき方を見直しているとして、イギリスやアイルランド、スウェーデンなどの動向も取り上げられています。
また、「水曜休み」が必ずしもうまくいっていない例として、アメリカのスタートアップの例も紹介されています。これも、「賛成」と「反対」の比較ですね。
そして最後が、「It’s not just about work」。「これは仕事だけの問題ではない」。最初に提示した「毎週水曜休日制」の主題を、社会全体にかかわる問題へと発展させて締めくくられています。
いかがでしょう?かなり忠実に「型」にハマってますよね?このように「型」を意識して読んでみると、英文でも少し読みやすく感じますし、何より、自分で書くときの参考になります。
おそらくこの「型」(とその応用)を使った記事は他にもたくさんあるとお思うので、よろしければ、皆さんも分析してみてください。
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