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オタク嫌いの、好きなアニソン

僕はあまりヤマトとかガンダムとかに関心がない。
そもそもオタクの視野狭窄的性格になじめない。
「広望」だからだろうか、狭いよりも広いのが良いのだ。
けれどもテレビアニメは他人と共通の話題を持てる点が良いと思う。
例えば、アニソンはベタなテーマだ。
僕の好きなアニソンを、おそらく誰でも御存知だが、二曲、紹介しよう。


ラブスコール

まずはルパン3世から、「ラブスコール」。


ちなみにルパン3世には、当然のことながら、1世がいる。
フランスの小説家モーリス・ルブランの『怪盗紳士ルパン』がそれだ。
このことすら知らない日本人が多すぎる。
従って、ルパン3世の原作者モンキー・パンチは、ルパン3世というキャラクターそのものを、ある種のパロディとして作り上げた。
つまり「おフランス」の社交界の花形で美男子の孫が、ガニ股でサル顔のルパン3世なんだよぉ~、と。
そして実を言えば、モーリス・ルブラン自身が「ルパン」をある種のギャグとして創作しているのだ。それは「アルセーヌ・ルパン」という名前からわかる。「アルセーヌ」は19世紀後半のフランスでは労働者階級に多い名前であった。日本で言えば「三郎」とか「譲治」だろうか。それゆえそういった名前の紳士が貴族に扮して泥棒をするという「面白み」がルブランの意図にはあったと思われる。

無知は寂しい。ルパンのルーツがフランスにあるのを知らないのは、アラレちゃんが鉄腕アトムのパロディだと知らないのと同じくらい、北斗の拳の元ネタがマッド・マックスとブルース・リーだと知らないのと同じくらい、寂しいことではないだろうか。

話がずれた。
「ラブスコール」が好きだ。
70年代のフランス映画を彷彿とさせる。


誰がために

サイボーグ009の主題歌。


009は戦いたくなどなかった。
サイボーグになってまで、生きのびたくなかった。
でも戦うことを余儀なくされた。
何のため?誰のため?

1970年代は、戦う意味が問われた時代であった。
実際、無敵超人ザンボット3は一生懸命「みんなのために」戦っても、小市民たちから「街を破壊しやがって」と罵られた。

誰のための戦いか?
009の主題歌は〈とりあえずのこたえ〉を提示した。
「愛のため。戦い忘れたひとのため」。

これは僕のように、軍隊が大嫌いで、血が大嫌いで、むしろ千代紙やおはじきが好きな、けれども「大切だから」という理由で、四半世紀以上にわたって軍事史を研究しつづけてきた人間にとって、共感できる主題歌なのです。

「好き嫌い」よりも「楽しいか苦しいか」よりも、大切なものがあるはず。
「したいことをする」ことが悪だとはまったく思わないが、
「しなければならないことをする」ことを否定すべきではない。

それが分からない、頭がかたいSDGsの連中とかは、どうせ、ステレオタイプと文化盗用が満載だと言って(001はロシア人だからチェスが好き、003はフランス人だからバレリーナ、006は中国人だからヘンナ日本語ツカウアルネなどなど)、サイボーグ戦士たちを批判するのだろうけど。

でも子供に分かりやすく、人類のために戦う戦士たちを、インターナショナルないしトランスナショナルな視点から描くとき、他にどうすればよいというのだろう。
宇宙戦艦ヤマトみたいに日本人だけが地球をまもるよりも、まだマシじゃない?

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