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ストラスブールの仇をリールで

シュークルートとは、キャベツの酢漬け(ザワークラウト)とソーセージを煮込んだ、東フランスの郷土料理である。

2015年、ストラスブールを訪れたとき、ソーセージではなく、魚のシュークルートがあると小耳に挟み、さっそくその逸品を提供するレストランに出かけたのだが、満席で入れず、意気消沈したことがあった。

あれから幾星霜。いつか食べてみたい料理、それが魚のシュークルートであった。


その願望がこの夏(2023年)、リールで叶った。
9月5日から7日まで、国際シンポジウムがリール大学で開催されたのだが、その最終日の夕食。ちょっと洒落たものをと思い、魚料理で有名なレストランに入った。
 可愛らしく洒落た内装。ピンクのシャンパンが似合う。
メニューに、「海の幸のシュークルート」の文字を見たとき、「ぜったい、コレ!」と心に決めた。
 
そしていよいよの御登場。
ソーセージのシュークルートが、ソーセージとザワークラウトのごった煮であるのに比し、
魚のシュークルートは、ザワークラウトのうえに魚がトッピングしてある感じだ。
マダイ、サケ、スズキ、タラ、ホタテが、それぞれふたくちずつぐらいの大きさで、御行儀よく、僕に食べられるのを待っている。
 
いただきまあす。
お魚の味が濃い。
皮もパリパリで、グリルしたであろうことが想像される。
またおそらくスズキは軽く燻製してあったはず。
そしてこれらお魚がザワークラウトと合うのだ。なんと見事なマリアージュだろう。
お魚が決してザワークラウトに負けていない。

酢と魚って、こんなにも相性が良かったんだと、フランス人の創意工夫を大発見。
でも考えてみれば、お寿司って、まさにそういうものだったよねと、日本の伝統文化を再発見。
 

楽しかった。
おいしかった。
 
この三日後、僕はコロナで倒れるが、この素晴らしいディナーを食べたときは、そんな先のことは想像すらできなかった。
人生、一寸先は闇。


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