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軍人文化を女子教育に応用するーWho Dares Wins


自信

先日、寒いけど日差しが眩しい冬の日だった。
A短のかつての私のゼミ生、通称マッチャンと昼食を共にした。彼女が探して予約してくれたイタリアンレストラン。こぢんまりとした品の良い店だ。
彼女も、いまでは芯の強さを感じさせる、素敵なレディに成長した。
「あたしなんかあ、ダメですよお」とケラケラ笑いながらおっしゃるけれど、ぜんぜんダメさを感じさせない。むしろ磐石の、不動の自信を感じさせる。
まだこれから人生、二転三転あるだろうが、マイペースでやっていけるだろう。
私は、おおよそ彼女が現在の年齢のとき、A短に赴任した。
そう思うと感慨もひとしおである。

歩き方から

A短に赴任した当初、まず違和感を抱いたのは、多くの女子学生の歩き方だった。
道の端を、背中を丸め、小さな歩幅で、実につまらなさそうに歩くのだ。なにかにおびえるようにイジイジウジウジコソコソとした態度で。
これは気持ち悪かった。それゆえまずはこれを直すところから指導を始めた。

高等教育において大事なのは、単なる情報の伝授ではない。
例えば医師だって、技術だけではなく、患者に寄り添う「態度」を学ぶことが大事になる。それと同じことである。
「態度」とか、「雰囲気」とか、「オーラ」とか、さまざまな言葉で表現されるが、そういうものが大事になる。
何故なら共生社会において重要なのは、信頼関係である。しかし信頼関係を築くためには、爽やかな自信を他人に感じさせる「雰囲気」を発することが必要である。
自信がない人間は、他人を信じることもできないだけでなく、また他人から信じられることもない。

Who Dares Wins(敢えて挑むものが、勝利を得る)

それゆえ私はゼミ生に敢えて要求した。
たとえいま自信がなくとも、
敢えて自信があるかのように、
敢えて道のまんなかを、大股で背筋を伸ばして歩き、
敢えて正々堂々と、
敢えてデカイ態度をしろ。
苦しいときは敢えて哄笑しろ。
自信は後からついてくる。

この教えは、少なくとも私のゼミ生には効果バツグンであった。
マッチャンをはじめ、ゼミ生たちが輝きはじめた。
彼女たちが笑いながら校舎の廊下を颯爽と歩く姿は、まるでパリコレのステージのようだった。
あるいはバブル期のコカ・コーラのCMのようだった。
華(はな)があった。

畢竟、大事なのは行動だ。
行動する明るい人間は、うずくまっている暗い人間に比べ、魅力的である。
あなたが陽気にしていれば、自然とひとが集まってくる。あなたが悲惨そうにしていれば、自然と人は遠ざかる。
そしてほんとうの光を表現できる者は、またほんとうの闇を知っている者なのである。

Who Dares Wins(敢えて挑むものが、勝利を得る)は、英国陸軍特殊空挺部隊の標語である。「敢えて」とは、「勇気を出して」の意だと解して良いだろう。

蛇足

ところで、みなさん、新年の抱負はなんですか。
敢えてできそうもないことを望んでみませんか。
 
え?ぼくの抱負?
血圧を下げることかなあ。

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