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シャフ黒リバ構築の解説

概要

現在(2021年10月前後)までにおいてイルルカSPの対戦環境の最前線の1つがシャフ黒リバと呼ばれる、表にいきなりシャッフルと時々黒い霧、裏に時々リバースのモンスターを抱えた一見奇妙な構築である。しかしながら実際には高い合理性を備えており、難解ではあるが秩序立った理解は可能である。本稿ではそれを解き明かし、そのパーティ内容だけでなくそこに至る理論、実戦における強さへの解釈を試みる。その助けとなるよう対戦例も示す。


1 序論

イルルカの対戦において霧は重要な要素である。霧は空間に1つだけ存在し、特定のカテゴリの特技を全て使用不可能にする、モンスターの行動順が変化するといった効果をもたらし、新しい霧が発生すると古いものは即座に消滅する。霧の効果は強力で、霧との組み合わせに応じてパーティの強さは大きく変化する。従って多くのプレイヤーは自分に有利な霧を維持し、相手の霧が空間を支配することを嫌う。そして自分のパーティにとって一番有利な霧は基本的に一意に定まる為、パーティは何れかの霧に特化するのが普通である。これが3DS版のほぼ全期間、そしてイルルカSPがリリースされて1年以上の長期に渡って存続してきた一般通念であった。

ところが、その常識を覆すとある構築が松山研斗によって開発された。それはその特徴からシャフ黒リバ等と呼ばれ、表にいきなりシャッフルと時々黒い霧、裏に時々リバースを置く特異なものであった。表と裏で霧が異なるというだけであれば欠点を補い合う為にこれまでも多々行われてきたことであるが、表という1つのパーティの内部でシャッフルと黒い霧、即ち異なる霧が共存しているのは前例が無い。本稿ではこの謎を解明した上でシャフ黒リバの構築例を示し、対戦での勝利や今後のパーティ開発への貢献を行う。

2 シャフ黒リバの考案される背景

イルルカSPのインターネット対戦には、勝利条件が2つある。相手のモンスターを全て倒すか、10ターン終了時により多くのポイントを得ているかである。本節では前者の勝利条件を満たす方法を攻撃回数という観点から考察を始め、その観点からシャフ黒リバという構築が自然に導かれることを示す。本節の思考過程を開発者が実際に経ているかどうかは未確認であるが、対戦で広く使われる理由の考察としては妥当であると考えている。

2.1 相手を倒すのに必要な行動回数の算出

1枠モンスターの攻撃によって相手のパーティを全滅させるのに必要な攻撃回数の現実的な最小値を考える。当然ながら、それを実現する為には多くの相手に対し最も大きなダメージを与えることの出来る特技を最大限使う必要がある。最大ダメージを実現する特技として轟雷滅殺剣と体当たりを選ぶ。

轟雷滅殺剣は2回分の行動回数を消費して初めて攻撃が発動する技(深く集中し剣を構える→雷を纏った滅びの剣が発動)で、380~420ダメージが相手全体に2ヒットする。即ち、スタンダードキラーやロケットスタート、負けず嫌い等の特性があれば全体に1000近いダメージを与えることが出来、標準的な1枠モンスターHP1000~2000程度であることを考えると、2発通せば片面を全滅に追い込むことが出来る計算となる。但し、HPの多くないモンスターを多数倒す場合には効率的な轟雷滅殺剣であるが、この特技だけでHPの高いモンスターを倒すのは難しい。

HPの高いモンスターを倒すのに役立つのが体当たりで、1匹を対象に、現在HPを基準とした一定割合の数値をダメージとして与えることが出来る。当然HPの高い相手には与えるダメージが極めて多いという長所を持つ。反面、攻撃対象は単体で割合ダメージ故にHPの減った相手にさえ止めは刺せるとは限らないという欠点はあるが、そこは轟雷滅殺剣でカバーされている。問題は相手を倒す為に体当たりを何回使う必要があるかであるが、3匹以上高耐久モンスターが同時に並ぶパーティは珍しく、耐久トップクラスの大型モンスターでさえ体当たり2発で轟雷滅殺剣圏内に入るであろうと考えると、1~2回程ではないかと考えられる。

轟雷滅殺剣も体当たりも攻撃対象のステータスや耐性に非依存の汎用性高い攻撃である為、相手を倒すのに必要な行動回数はモンスターに依存せず轟雷滅殺剣2回に相当する4回と体当たりの1~2回を合計して常に5~6回であると仮定することが出来る。行動回数を5~6回用意するにはAI2~3回行動のモンスターとAI3回行動のモンスターを1匹ずつ用意するか、AI3回行動のモンスターを2匹用意することになる。言い換えれば、轟雷滅殺剣と体当たりを用いるメインアタッカー2匹を用意すれば、パーティの残り2匹はその攻撃を通す為の補助役として運用出来るということになる。

2.2 攻撃を通すのに適した霧の選択

ここまでの考察で攻撃役が2匹いれば相手のパーティを倒すことが出来るということは分かった。では、次にその攻撃役を活かすことの出来る霧が何なのかを考える。轟雷滅殺剣と体当たりを使う都合上、赤い霧と白い霧は選択出来ないので、黒い霧、冥界の霧、リバース、シャッフルの中から選ぶことになる。当たり前だが攻撃は相手より先に行った方が有利であることは自明である為、先制性能の観点から議論を行う。

黒、冥界の場合、先制するには超行動速いが望ましい。そして超行動速いで必要な行動回数を確保しようとすると1枠化した名もなき闇の王(AI2~3回)とAI3回行動新生魔戦士ヴェーラ、或いは超速新生イカずきんの組み合わせでしか実現出来ない。しかし異常耐性が全体的に低くリバースやシャッフルに霧負けした時の切り返しが難しく、そうでなくとも相手のスモボ化名もなき闇の王や威圧、ラブリー等に弱めである等、安定性を持ち難いのが欠点。

リバースの場合、行動遅いかスモールボディのモンスターでパーティを組むことになる。一応行動遅いスモボが最速ではあるが、行動回数を確保するのは難しい。遅いスモボで行動回数を確保出来るのはAI3回行動新生アックルのみである。逆に言えば、単なる行動遅いやスモボでも十分な行動速度を確保出来ているとも言える。但しいきなりリバースの特性を素で持つ1枠モンスターがおらず、霧の確保が難しいのが難点。時々リバースのモンスターに関してはそれなりに数がいて優秀なので、霧の維持には優れている。

シャッフルはスピンスライムの存在故に優秀である。いきなりシャッフルの他、攻撃面を強めるロケットスタート、後手に回っても最低限は働く最後の足掻きとしっぺ返しを持ち、特性に無駄が無い。そしてシャッフルで先制する条件はスモボであることだけなので、十分な行動回数を持つ採用候補となるモンスターの数が極めて多い。そのうちどれを選ぶか、パーティの構想に応じて選択の余地がある。異常耐性が高く耐久にも優れたモンスターを選べば霧負け時の切り返し性能も期待出来る。時々シャッフルを持つ強いモンスターがドークを除くとほぼ存在せず、リバースとは逆に霧の維持が難しいのが難点。

上記の議論により、超速を要する黒、冥界は安定性に欠け、リバースは霧の始動、シャッフルは維持に難を抱えていることが分かった。霧負けが敗北に直結する黒と冥界、いきなり霧を用意するのが難しく最初から切り返しを要求され得るリバースを不適とすると、シャッフルをいきなり霧として選択することになる。いきなりリバースを新生してリバースパーティを使うのも手ではあるが、スピンスライムの性能を鑑みるにシャッフルに勝るものを作るのは恐らく困難であろう。よって表はいきなりシャッフルで構築するものとする。

しかし、裏までシャッフルで構築することは以下の3つの理由からリバースを採用することに劣る。第一に、時々シャッフルを持つ強いモンスターが少ないので霧を取り難く、表が超速入りのパーティに霧負けした際のリカバリーが難しい。加えて言えば、強いシャッフル持ちのモンスターとして挙げられるのはドークであるが、ドーク本人はスモボではなくシャッフルの恩恵を受けられないのも難点である。第二に、表でシャッフルを取れたとしても、シャッフル下ではスモボは素早さによって行動順が決定される為、シャッフルのみの構築では素早さの高いスモボ、例えばスモボ化したはぐれメタルキングやメタルスターに常に先制され、不利な戦いを強いられるリスクがある。第三に、シャッフルだけでは素早さが低いが強力なスモボ、具体的にはどんぐりベビーや妖魔軍王ブギー等を採用し難い。これら3つの問題を解決するのが裏をリバースパーティにすることである。時々リバースは人数を増やし易い為切り返し性能に優れ、素早さの高いスモボを他のスモボで先制してその動きを牽制することも出来、素早さの低いスモボを積極的に採用する理由にもなる。リバースと言えば行動遅いモンスターを活用しなければならないというような先入観があるかもしれないが、リバースで最速となる遅いスモボはそれなりに限られていて、スモボでも十分な行動速度を確保出来、わざわざ行動遅いモンスターを採用する理由も無いとすれば、リバースも「スモボの行動順を早くする」霧であるとしてシャッフル同様に運用出来る筈である。

2.3 攻撃を通すのに必要な構築の条件

ここまでの議論で表をいきなりシャッフル、裏を時々リバースを含めて構築するということまで決まったので、次に具体的な中身を考えていく。2匹のメインアタッカーの攻撃がそのまま通れば1ターンで相手を倒せるのは事実ではあるが、常に攻撃が素直に通るというのは根拠の無い仮定に過ぎない。そこで、攻撃を通せない状況を幾つか想定し、そうならない為にパーティ全体に求められる要件を明確化することで、パーティについてアタッカーのみならずそれ以外のサポーターの2匹についても同時に考察を進める。基本的に表について議論するが、表だけでは対策が不十分な状況もある為同時に裏の考察を進めることもある。

アタッカーが攻撃を行えない、或いは攻撃を行えても勝利に繋がらない状況を列挙すると、以下のようになる。

Ⅰ 相手に先制されて行動不能にされている
 ①ダメージで死亡
 ②状態異常で行動不能
Ⅱ 特技を使えない状況になっている
 ③赤い霧、白い霧が発生している
 ④斬撃封じ、体技封じを受けている
Ⅲ 有効打にならない相手にしか攻撃が当たらない
 ⑤庇う+体技予測+赤い霧
 ⑥亡者の執念+身代わり+リザオラル
 ⑦最後の足搔き+身代わり+ザオリク/精霊の歌
Ⅳ スタンバイまで含めた全体の流れで負ける
 ⑧チェイン
 ⑨最後の足搔き+メガザルダンス
 ⑩4枠モンスター+メガザルダンス

これらに対する対応をそれぞれ考えていく。

Ⅰの相手に先制されるという状況であるが、これは3種類に分類し考える。霧負けして超行動速いや行動遅いに先制される、シャッフルは通ったが素早さの高いスモボに上を取られる、捨て身によって霧に関係なく先制される。

霧負けして先制される状況であるが、典型的なのは赤霧や黒霧を取られ、スモボ化名もなき闇の王の状態異常で止められる、超速物理アタッカーにステルスアタックや幻魔の獄を打たれるといった流れであろう。名もなき闇の王は超ガードブレイク故に異常攻めの範囲が広く、行動回数も多い為相殺によって防ぐのは現実的とは言えない。しっぺ返しを持つスピンスライム以外のモンスターを異常耐性が高い、具体的にはハックされなければマインド、混乱、麻痺、眠り、即死無効、もっと言えばハックされない、ないし過剰耐性によってハックされても異常耐性が下がらないモンスターで固めることで被害を小さくするのが現実的であると言えるだろう。ステルスアタックは搭載スキルの都合上相殺も難しく耐えるしかない。3発以上1ターンで打てる構築は少ない為、青天の霧対策にゼロの衝撃を使えるならより理想的ではあるが、999ダメージを2回耐えられるHP2000あれば取り敢えず安心ではある。幻魔の獄はマインド耐性を上げる目的のねぶた魂に入っている為相殺し易く、超速相手にはそのまま他の技で状態異常をかけて止めることが出来ると考えるならば、脅威としては比較的小さいと言える。まとめると、霧負けして先制される状況を想定するならば、状態異常耐性の高く、HPバブルでHPの高くなったモンスターを使うのが望ましいということになる。

次に、シャッフルは通ったが相手のスモボの素早さが高く先制されるという状況を考える。スピンスライムは素早さが高くはなく、シャッフルが多い現環境ではスモボを採用するプレイヤーは多い為、これは多々起き得る。素早さを上げた名もなき闇の王から状態異常を撒かれたり、こちらより先に轟雷滅殺剣や体当たりを使われて不利な相殺合戦を強いられたりするのが負け筋である。名もなき闇の王はアタックカンタが付いているし、それ以外のスモボもステータスインフレによって捨て身で縛り辛くなっている。そうなると、解決策としてはこちらも素早さの高いスモボを使って相手の更に上を取るしかない。霧負け時の考察より異常耐性の高いモンスターを選びたいが、素早さが高くなければならないのでHPバブルは搭載出来ず、それ無しで耐久力を持っていなければならない。どのようなモンスターがこの条件を満たすのかと言えばメタル系のスライム、例えばメタルスライムやはぐれメタル、スモボ化はぐれメタルキング等である。メタルボディのモンスターはAI〇回行動の特性を持っていても守備力や素早さの数値が落ちないのもこの用途での登用に適していると言える。相手より高い素早さから状態異常若しくはダメージを押し付けて相手を止めるというのが仕事となる。素早さ自体ははぐれメタルキングが高いが、庇うによる相手の攻撃への妨害性能や確定3回行動を確保出来ることから、極限的な素早さが求められる状況でない限りAI3回行動を新生したはぐれメタルを相手のスモボ対策に選択するのが通例である。

捨て身で先制されるという状況については、1枠のものと4枠のものとに区別して考える必要がある。使われる頻度が高く、より重要でもある為4枠の捨て身から先に論じると、あまり信用出来ない対策としてHPバブル、信用出来る対策として常にアタックカンタの特性が挙げられる。HPバブルによるHP上げは肉を切らせて新生マデュラーシャ等の超火力には突破されるリスクがあり、かつ体力が消耗していると受け切れない為、アタックカンタのモンスターを表と裏それぞれに1匹は採用したい。アタックカンタと行動回数を両立出来るモンスターとしてはAI3回行動新生したシャイニングやスラ忍(レッド、グリーン、ブルー、オレンジ、ブラック)、ティコ、ククリ、JOKER、そして1枠化した大魔王マデュラージャやマジェス・ドレアム等がいる。この中からどうやって2匹を選ぶかであるが、スタンダードボディではなくスモールボディとして使用可能で、異常耐性が高いという条件で選択すると大魔王マデュラージャとマジェス・ドレアムになる。更にこの2匹で表裏の配置を考えると大魔王マデュラージャが表、マジェス・ドレアムは裏になる。というのも、裏はリバースパーティなので時々リバースさえ発動して霧を取れれば名もなき闇の王は先制出来なくなりその異常攻撃の危険性が小さくなるので耐性に妥協の余地があり、かつマデュラージャの時々黒い霧が邪魔になるからである。表もシャッフルパーティであるがそこで黒い霧が困らないのかどうかについて、一時捨て身対策の議論を中断して考察する。

リバースパーティで時々黒い霧が発動するのは素早さが低めのスモボの先制を確保したいリバースのコンセプトと合わない為不適であるが、シャッフルパーティとは必ずしもそうではないことをこれから述べる。

シャッフルと黒霧はスモボのモンスターは基本的に素早さ順で動くという点は共通している為、超行動速いのモンスターがいない場合、シャッフルとの差は小さい(行動速いはイルルカにおいてあまり用いられない為、考察の対象から外した)。超速がいる場合をいきなりシャッフルが通った場合と通らなかった場合に分けて考える。通らなかった場合、これは霧負け時の考察と全く同じ状況で、相手の攻撃を耐えて反撃する形となる。ここで今更時々黒い霧が発動してもスモボが超速に遅れを取るという事実は変わらず、特に意味が無い。或いはドークあたりを採用して時々シャッフルの発動を狙うという手も無くはないが、時々シャッフルは発動ターンの行動順までは変えられないのでアストロンを使ってやり過ごすのでない限り先制出来ないということには変わらない。次にいきなりシャッフルが通った場合を考える。轟雷滅殺剣と体当たりで1ターンで片面を倒せるという前提に立つ限り、時々黒い霧で自分のシャッフルを打ち消すのは基本的に困らない筈である。何故ならば、黒い霧が発動すれば相手はアストロンが使えない為、こちらの攻撃が通って倒れる筈だからである。詳細に述べると次のようになる。時々黒い霧も発動ターンには行動順を変えないことは他の時々霧と同じなので、シャッフルで戦闘開始ならスモボの先制性能は1ターン目は失われない。黒い霧が発動すれば2ターン以降の先制は怪しくなるが、アストロンを阻害している為に1ターン目で相手の表はほぼ壊滅して試合の流れはこちらにある。加えて超速は仮に生き残っていたとしても状態異常で行動不能ということもあり得る為、安全はかなりの程度確保されていると言えるであろう。更に黒い霧の利点として、チェインの発動を阻止出来るというのも大きい。チェインは唱えられてしまうと相手の表は倒せても裏に全てを倒されてしまうこともあり得る危険な呪文であるが、呪文なので黒い霧になれば使うことが出来ない。黒霧が攻撃的なパーティの穴を1つ塞いでいることは明らかであろう。また、赤い霧や白い霧がそれぞれ轟雷滅殺剣と体当たりを封じるのを、霧の上書きによって防ぐ可能性があるというのも優秀である。かくして時々黒い霧の特性が表のシャッフルパーティに入っていても問題は無く、寧ろ益まで期待出来ることは判明した。よって捨て身の議論に戻る。

4枠捨て身に対抗する上でキーとなるアタカンモンスターであるが、彼に課せられるべき役割はアタッカーなのかそれ以外なのか考える。結論から言えば表のマデュラージャに関してはどちらでも構わない。アタッカーであれば本人が体当たりからの轟雷滅殺剣で4枠撃破を狙い、アタッカーでない場合は回復役に回し、他のメンバーを蘇生しつつ、他のメンバーの最後の足搔きやスモボ回避からの攻撃による打倒を目指せる。裏のマジェス・ドレアムに関しては彼は異常耐性に不安を抱えているので、回復役よりも攻撃役の方が適していると言えるだろう。

1枠捨て身はアタカン持ちモンスターが自由に動け、体当たりの習得によく使われる自己犠牲のスキル故に相殺で手数を減らすことも出来、時々黒い霧のお陰で相手のアストロン使用にリスクを与えている為これ以上の対策を然程意識する必要は無いであろう。以上により、Ⅰの相手に先制される状況についての考察が完了する。

Ⅱの特技が使えないという状況であるが、斬撃封じや体技封じを受ける状況というのは闇の波動が環境に少ない以上、ほぼ名もなき闇の王に先制される状況に等しい為、議論済みであると考えて特に論じない。よって赤い霧や白い霧を取られた場合についてのみ考察する。時々霧の仕様上、相手が霧を取る可能性は常に存在する。従って、より確実に轟雷滅殺剣と体当たりを使いたいのであれば、特性だけに頼らず特技の霧も使っていく必要がある。その用途で用いる場合、メインアタッカーの行動前に霧を撒く必要がある為、後攻技であるリバースとシャッフルは不適である。それ以外の霧を使う場合でも、メインアタッカーに先制する必要がある為、使い手には素早さが求めらえる。丁度パーティに素早さによる先制要員としてメタル系スライムを採用しているので、彼に黒い霧、冥界の霧若しくは青天の霧を使わせることになるであろう。特に黒い霧であればチェイン対策にもなる。

Ⅲ、即ち庇うや身代わりによって有効打にならない相手に攻撃が当たってしまうことへの対策を考える。⑤は赤庇うという構築でよく用いられる防御法で、赤い霧で斬撃が使えない条件下で常にマホカンタを新生されたはぐれメタルが体技予測をしながら庇うことで、斬撃(轟雷滅殺剣、アビスハンド)、呪文(ハック系、ギガ・マホトラ)、体技(凍て付く波動、不気味な光)の全てを防いでしまう。当然これもメインアタッカーの行動前に剥がす必要があるので、メタル系スライムがその役割を担うこととなる。Ⅱの考察で先述したように霧を上書きしてメインアタッカーの轟雷滅殺剣でメタルを破壊するか、斬撃でも呪文でも体技でもない作戦封じの息で庇う状態を解除するかが解になる。作戦封じの息と霧の組み合わせは⑥の亡者リザオ戦法にも有効で、身代わりを解除しつつ黒や冥界の霧で蘇生を阻害出来る。⑦の最後の足搔きと蘇生の組み合わせは足搔きモンスターを複数採用して一斉に身代わりを使わせることもあり、その場合には作戦封じの息→状態異常技→作戦封じの息という流れで身代わりを1匹ずつ解除した後、メインアタッカーの体当たりや特攻で蘇生役を倒すのが基本ではあるが、相殺によって解除し切れないことも多い。そのような時にはメインアタッカーの1匹に通常攻撃等をさせ、小さいダメージで足搔き身代わりしているモンスターを倒すというような工夫も求められる。その目的には特技使うなも有用。

Ⅳは単に目の前の相手を倒すだけでは最後に逆転されてしまうという状況についてである。チェインに関してはこれまでに述べてきた黒い霧の他、あればラウンドゼロ等も使って阻止していくことになる。⑨や⑩は主に超G骸骨や鬼棍棒、最後の足搔き新生マジェス・ドレアムといった、最後の足搔きや亡者の執念によって意地でも相打ち、やられても相手に大きな手傷を与えてやろうとするモンスターを、裏のメガザルダンスによって蘇生させ2回使うことで相手の表も裏も破壊しようとする動きを念頭に置いている。4枠モンスターだけでなく、最後の足搔き持ちを3匹並べるようなものもこれに当てはまる。これは当然ながら表だけで対応出来る相手ではない。表が倒される可能性を考えるとメガザルダンス対策を表に置くことには信頼性が無く、もし仮に生き残ったとしても、ボロボロにされてしまっては対策行動を取っている余裕は無い。そこで、裏に対策を用意することになる。メガザルダンス対策はこちらもメガザルダンスをして数の優位を取られないようにするか、冥界の霧で蘇生を封じるか、攻撃を仕掛けてHPを減らし成功率を下げるかである。冥界の霧はゼロの衝撃、攻撃でHPを削ることに関しては相殺によって防がれ得るので、メガザルダンスをこちらも使って誤魔化すのが精一杯にはなりがちである。メガザルダンスを使うモンスターは当然HPバブルによってHPを上げ、成功率は高めておきたい。メガザルダンス役について更に考えると、メガザルダンス役は死ぬのが前提である為メインアタッカーにはなり得ない。よって、裏はメインアタッカー2匹とメガザルダンス役、そして何かという並びになる。

以上で攻撃を上手く通せない場合の考察を終えるが、ここまでの議論によってパーティに求められると判断された性質を列挙すると以下のようになる。


スピンスライム(AI3アタッカー)
メタル系スライム(作戦封じの息、霧、状態異常技等)
大魔王マデュラージャ(アタッカー若しくはヒーラー)
何か
※HPバブルや異常耐性によって先制攻撃に耐えられるモンスターが多いのが望ましい


マジェス・ドレアム(アタッカー)
メガザルダンスを使うモンスター(HPバブル)
アタッカー
何か
※時々リバースが何匹が必要

3 要求を満たすパーティの提起

第2節のような対戦環境の要求に応えることの出来るパーティとして、松山研斗考案のシャフ黒リバというものがある。本節ではその構築の一例として私が段位で用いていたものを示す。但し、この構築の表はXepalousが改変を加えて使用していたものを原型にしている為、一般に普及している構築とは差異があることを断っておく。

3.1 シャフ黒

名称はシャッフル→黒い霧の時系列を意識したシャフ黒でも司令塔シャフのようにシャッフルパーティのうち黒霧を採用したものとの意で黒を形容詞として用いて黒シャフでもどちらでも通じる。

スピンスライム

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体当たりと轟雷滅殺剣で攻撃を行うメインアタッカーその1。最後の足搔きがある為、霧負けして超速の攻撃を受けても相手に最低限の手傷を負わせられるが故に、相手の攻撃に耐えたもう1匹のアタッカー(ぶちスライムベス)の攻撃と合わせ相手側にも大打撃を与えることが出来る。武器は見ての通り消費MP節約、スタンダードキラー、メタルキラー。当初はメタルキラーではなくギガキラーを付けていたが、ロケットスタートもあり無くても一般的な大型相手に火力は十分と考えメタルキラーに変更。メタルキラーに変えると4S相手により有効となる他、ライトメタルボディを持ち倒し難い4枠化メタルライダーに対して大ダメージを与えることが出来るようになる。足掻き持ちなので他のメンバーより先にやられて蘇生され続ける試合展開で問題無いのでマインド耐性を優先し、HPバブルは入れていない。そのお陰で攻撃力がそこそこあるので足搔き身代わりを通常攻撃で割らせることも可能。段位戦当時は魔戦車ダビドのスキルを採用していたが冥界の霧やアモールの雨、ラウンドゼロをこのパーティでは使う機会が少なかったのでねぶた魂に変更。個体値はHPとMP、素早さを上げている。ねぶた魂のスキルで賢さが40増えるので、配合の際に系図の異物として悪魔系1匹の他スライム系2匹も加えることで王の錫杖を装備せずとも賢さ401をギリギリ超える。そしてねぶた魂は幻魔の獄の相殺の他、光の波動で状態異常の治療も可能。パーティの中で異常耐性が最も低いので異常の治療に回ることは少なさそうではあるが、はぐれメタルが邪竜神の叫びを体技予測で反射された状況等を考えるとあり得なくもないであろう。系図は祖父母の代にGBのDQM2で系統最強クラスのモンスターを置き、スピンスライムと同じくキャラバンハートが初出のデッドマスカーを親世代に置いた。スカルスパイダーは虫、ラザマナスはゾンビ系の配合の頂点に立ち、ベルザブルは会心率が高く配合で麻痺耐性を無効まで上げられた為対戦では最強の一角となる種族であった。

はぐれメタル

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マインド耐性を上げるねぶた魂、作戦封じの息と状態異常技(邪竜神の叫び、絶対零度)が使える邪竜神ナドラガを採用。作戦封じの息と状態異常技という条件だけならアルダララも満たすが、邪竜神の叫びや絶対零度はダメージも与えることが出来るので(というより本来はそちらが主目的)無駄行動になり難く、しっぺ返しも受けないのでこのパーティにはこちらがより適している。轟雷滅殺剣だけでは削り切れない僅かなダメージを稼ぐのにも使える。邪竜神ナドラガだけでも冥界の霧はあるが冥界では回復出来ない、チェイン阻止能力が低い(冥界で攻撃を通し易くした後に更にラウンドゼロを他のメンバーで使う等より手間が必要になる)ことから、黒い霧を習得する為に霧将軍を採用。霧将軍のメリットはHPと素早さが上がること。HPの数値の小さいメタルの場合、この僅かな上昇が無視出来ない。武器は消費MP節約とマインド耐性まではほぼ確定だが、残りはスタンダードキラーではなくマホトラ耐性あたりでも良いかもしれない(ブレイク無い相手のギガ・マホトラの命中率が80%から50%に落ちる)。メタルキラーで庇うはぐれメタルに対する邪竜神の叫びの火力を伸ばすのも手。系図は猫モンスターで揃えた。個体値はMPと守備力、素早さ上げ。

ぶちスライムベス

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体当たりと轟雷滅殺剣で攻撃するメインアタッカーその2。高い異常耐性とHPバブルで相手の攻撃を耐え易く、行動が保証され易い。またHP満タンであれば2250を超える為、無傷であれば特攻が1枠に対して確定で命中する。特攻は必要に応じマデュラージャのラウンドゼロと合わせることでチェインやパーティチェンジへの対策にもなる。体当たりと特攻を自己犠牲ではなくチャンピオンSPで取っている為、ビッグバン、天変地異、獣王激烈掌による属性体技攻撃も可能で、赤い霧でも腐り難い。武器は素直に消費MP節約、スタンダードキラー、ギガキラー。系図はぶちスライムベスの初出であるDQ6を同じく初出とするドラゴンで統一。個体値はHPとMP、賢さ上げ。

大魔王マデュラージャ

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回復役。ザオリク、精霊の歌、光の波動、ゼロの衝撃の他、魔戦車ダビドによりアモールの雨も使用可能。このスキルの利点はラウンドゼロやグランドクロスを使えることにもある。ラウンドゼロはチェインやパーティチェンジ対策として有用性が分かり易いが、グランドクロスはやや分かり難いかもしれない。確かにあまり目立たないが、レベル1岩石落としより大きなダメージを出せる技があることは地味に便利。ウルトラガードSPを積まなければならない都合上魔戦車ダビドの入らないデモンスペーディオとの差別化点の1つはこのような特技の多さにある。武器は混乱、麻痺、眠り耐性アップで、これにより不気味な光を受けてもこれらの状態異常には過剰耐性故にかからない。即死はハックされると通してしまうが、これは裏のメガザルダンスである程度はカバーされると考えて妥協。麻痺が過剰耐性、体技封じが無効であることもデモンスペーディオに対し勝る点である。反面行動回数は2~3回で、ヘロヘロと強者の余裕によるサボりリスクも抱えてはいる。系図はテリワンSPでコンビを組んで黒霧パーティとして暴れていた相方である黒竜丸を並べている。個体値はHPとMP、守備力を上げている。今回はスタンダードボディで作っているが、ラウンドゼロを有効活用出来る場面を増やす為に、スモールボディで育成するのも手である。

3.2 マツケンリバ

裏のリバースパーティは考案者の名前を取ってマツケンリバと呼ばれることが多い。マツケンから連想してサンバリバと呼ばれることもあるが、星降りのサンバを使う訳ではない。従来のリバースと比較するとスモールボディが主体で構成されていることも特徴ではあるが、スモボリバという名称は内容を同定する力が弱い為か使われることは無い。

どんぐりベビー

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裏のアタッカーその1。体当たりを取得するのに自己犠牲を選んでいる為、身代わりによって爆弾として運用することも可能。素早さがマジェス・ドレアムより高いのでリバース下ではマジェスの作戦封じの息で相手の身代わりを剥がしてから攻撃を通せる。攻撃力の高さを活かして通常攻撃で身代わり足掻きを剥がしたりもする。新生配合では連続を消しているが、レベル1調整が当たり前の極限環境のみを想定するならば負けず嫌いを消す。連続には捨て身で与えるダメージが増えるという実益が一応は存在し、レベル1環境では何の効果も無い負けず嫌いよりはマシになる。とはいえレベル1育成をしっかり行っているプレイヤーは少なく、また4枠化メタルライダーやメタルゴッデスのようなハッスルダンスを回復源とするモンスターはレベルを上げざるを得ない為、負けず嫌いが輝く場面は現実的には多い。特に裏のパーティはどんぐりベビー以外は大型モンスターへの打点に乏しい為、大型耐久への火力を伸ばせることは重要。その為武器には消費MP節約とスタンダードキラーだけでなくメタルキラーも付与している。個体値はMPと攻撃力、賢さ上げ。HPは下げても1000を超え、通常攻撃や剣の舞を使うこともあるので攻撃力を上げている。系図は植物モンスターで統一。

妖魔軍王ブギー

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メガザルダンス役。HPを減らし成功率を下げてしまうが必要に応じて特攻や体当たりも使用。ラプソーンは神の踊り手が活きる死の踊りの他、ラリホーマや不気味な光、アストロンを習得可能。マジェス・ドレアムとの行動順を安定させる為、素早さを若干落としている。武器は眠り耐性アップで眠り耐性を無効に上げることは必須だが、それ以外の2枠は自由。素早さ高い相手に特攻を身躱しされないようにアンチ身躱しアップを付ける、どんぐりにもマジェスにも通る麻痺を過剰耐性にして麻痺の一貫性を切る、どんぐりの足掻きを嫌って即死を多用する相手から受ける被害を減らす為にザキを過剰耐性にする、耐性は不要だからギガキラーやメタルキラーで大型モンスターへの体当たりのダメージを増やす等、色々考えられる。スタンダードキラーに関しては1枠には特攻を当てられる以上優先度が低いとは言えるが。4枠化メタルライダーを重く見るならギガキラーとメタルキラー、ハック即死によって蘇生してもHPが低く、メガザルダンスの成功率が下がることを懸念するならばザキ耐性だろうか。それ以外の役割として他のメンバーで作戦封じの息を相殺しながら全てを吸い込むを使うことで異常と封じ息の対策が出来るのが重要。系図はカジノ王のモンスターなので金ピカなメカバーンを集めた(本当は素早さを下げるのに便利だから選んだだけ)。個体値はHPとMP、守備力を上げている。

マジェス・ドレアム

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攻撃役その2。彼は体当たりは使えないがブギーは使える為、表と体当たり使用可能者の人数は減っていない。なのでその点は妥協出来ると判断。その代わり、邪竜神ナドラガによって表のはぐれメタルが担っていたような補助行動も行う。HPバブルで耐久を上げることで死に難くなり、その分メルトアのザオリクによる蘇生がどんぐりベビーに集中することでパーティ全体が安定化している。素の状態でザキが過剰耐性なのでどんぐりベビーの足掻きを嫌って即死を多用する相手にも安定し、どんぐりベビーが耐性を持たない混乱に対しても強い為、眠りや麻痺が通る割にはパーティ全体で見ると異常耐性の補完が取れているのが偉い。アタカンと全ガード+、特性凍て付く波動によりチェインに対する多少の備えにもなっている。パーティの中で3番目と比較的後ろに配置しているのはチェインパーティの使う回し蹴りで受けるダメージを減らし、生存確率を高めるのが目的。武器は消費MP節約とスタンダードキラー、混乱耐性を無効にする為の混乱耐性アップ。系図はダークドレアムの初出であるDQ6のドラゴンモンスター統一。個体値はHPとMP、賢さを上げている。特に素早さを上げる必要も無い為、曽祖父母の世代に入れる異物の系統は魔獣系ではなく悪魔系にしている。AI調整が難しく、邪竜神の叫びを◎にするか〇にするかは悩みどころ。複数匹の足搔き持ちに同時に身代わりされる、亡者の執念+身代わり+リザオラル+作戦封じの息相殺等といった状況を考える場合は戦力奪えで作戦封じの息→邪竜神の叫び→作戦封じの息という流れで作戦封じの息を2回打てる邪竜神の叫び◎が優秀だが、それを想定しない場合は邪竜神の叫び〇の方が良く、恐らく後者の方が主流。対戦環境に応じて調整すべきであると言えよう。尚、轟雷滅殺剣のみ◎にした場合、命大事にを命令した時に使える特技がそれだけになる為、冥界の霧や作戦封じの息を命令させた直後にほぼ確実にAIに轟雷滅殺剣を使わせることが出来る。他にも、作戦封じの息を当てた次のターンに斬撃予測を行うというテクニックも知られている。

メルトア

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回復役。時々リバースを持ち、更に行動遅いのお陰で素の状態でマインド、混乱、麻痺、眠りが過剰耐性というのが優秀。ベホマズン、ザオリク、光の波動で回復を行う他、バイメリトで補助もする。バイメリトはスモボ回避の確率を20%から40%に上げるのが強力。基本的に回復と補助で手一杯だが、手が空いた時にはメドローアや岩石落としを使用。体技封じ弱点なのに光の旋風ではなく光の波動を使うのはラーミアのスキルにはゼロの衝撃や精霊の歌、メガザルがあるというのが主な理由。ゼロの衝撃はどんぐりベビーやマジェス・ドレアムも使うことが出来るが、攻撃役をゼロの衝撃に回すと攻撃の手数が減り、相殺合戦で不利になって一方的に攻撃を受けることになりかねない。3DS時代とは異なり白霧パーティが少ないことも光の波動で妥協する十分な理由になる。加えて混乱だけならばキアラルでも治癒可能。若し光の波動ではなく光の旋風にしたいのであれば、ラーミアをクスリ売りの祈りに変更する。息封じ耐性は無効なので封じられ難く、白霧でも状態異常の回復が出来るようになる。武器はMPバブルSP込みでも賢さ401を超える為の賢さ+60、マホトラ耐性を激減にするマホトラ耐性アップ、ザキを過剰耐性にする為のザキ耐性アップ。マジェス・ドレアムの項でも述べた通りどんぐりベビーの足掻きを嫌って即死を使う相手を警戒してのザキ過剰耐性。本当は体技封じ耐性を弱点から普通に上げたくはあるが、闇の波動が飛んでくることがSPでは少ない、体技封じをわざわざ使うプレイヤーは上級者なのでブレイク特性と同時に運用される為に耐性を普通に上げても意味が無い、こう考えてザキ耐性を優先した。普段はHPバブルの為だけに採用されるブオーンだが、マインドブレイクがあるので雄叫びはそこそこ通り易く、行動遅いスモボを採用していないチェインパーティを相手にする場合に使えたりする。マホカンタもギガ・マホトラを多用する相手等に有効。特技のリバースを使うことも時にはある。系図はDQ11のゾーマズレディに倣い、ゾーマ系モンスター統一にした。個体値はHPとMP、賢さ上げ。

3.3 改変パターン

シャフ黒に関しては先述の形よりもスピンスライムのねぶた魂を魔戦車ダビドに変更し、更にぶちスライムベスを大魔王マデュラージャ(マジェス・ドレアム、チャンピオンSPorマンモデウス、いごっそう)、大魔王マデュラージャをデモンスペーディオ(ウルトラガードSP、ラーミア、ブオーン)にした形の方が多く使われていた。この形のメリットはキラー特性を無理なく増やせること、マデュラージャはスピンスライムより素早いのでマデュラージャの攻撃後にスピンスライムが攻撃し、そのままラウンドゼロというより攻撃的な立ち回りが可能になることである。デモンスペーディオは麻痺耐性は埋まらず体技封じも通るもののザキには過剰耐性となり、行動回数は安定して3回に出来る。また、はぐれメタルに戦場の支配者SPを入れ、シャッフルを特技として出せるようにすることで行動速い4枠等に大防御で黒霧発動を待たれるリスクを減らすのも有用。スラ忍パープルで凍てつく波動を習得し、シャッフルが取れなかった際に相殺用の技として使うことも考えられる。その他、チェインに対しより強くする為、表にスモボ化した真・魔王ザラームが採用されたり、超速速攻パーティに対しシャッフルを取れなかった時に備えスモボ化名もなき闇の王を採用することもある。

大魔王マデュラージャ(アタッカー型)

デモンスペーディオ

或いははぐれメタルを採用せず、より素早いはぐれメタルキングに轟雷滅殺剣を覚えさせてアタッカーとして運用したり、いきなりピオラと封じブレイクを持つシーメーダに封じ息を使わせる構築も存在する。

シーメーダ

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最近(2023年8月前後)では回復役を外し、亡者の執念、瀕死で会心、AI複数回行動を持ったモンスターに知略ジェンヌでパーティチェンジやラウンドゼロを習得させたもの(瀕死会心ゾルデ、亡者ダゴン・魔王の使い等)を入れる例が多々ある。メガザル(ダンス)の使用率が高いイルルカSPではパーティチェンジの有用性は高い。そしてラウンドゼロも相手のパーティチェンジやチェイン対策になる他、体当たりを覚えさせておけばシャッフル相手に体当たり相殺からAIで発動させるという動かし方まで可能になる(この動きは素の耐性の都合上魔王の使いで実現させ易い)。屍騎軍王ゾルデの場合、マインド、混乱、眠り、マホトラだけでなく呪いや麻痺も埋まり、スキル次第ではマヌーサも無効にし、吹雪呼びの特性で止まらないようにも出来る。マヌーサ耐性は白虎の進撃で上げるが、仁王斬りを習得するので黒速攻等に対して相殺を狙うことが出来るようにもなる。

ダゴン

屍騎軍王ゾルデ

マツケンリバに関してはどんぐりベビー→ぶちスライムベスという変更や、マジェス・ドレアムからブオーンを抜いて物理攻撃も可能にした型等が観測されている。そのようなマジェスはチャンピオンSPで体当たりの使用を可能にしたり、冥王ネルゲルで眠り耐性を上げつつ幻魔の獄の相殺を可能にする型等が有名である。その他、ミラーを考慮して妖魔軍王ブギーに超ガードブレイクを、或いはチェインを重く見て凍て付く波動や常にマホカンタを新生することも考えられている他、代役としてスモボ化した闇竜シャムダ/大魔王ウルノーガというのもいる。細かいスキルの改変としては妖魔軍王ブギーにオムド・ロレスや創造神マデサゴーラ、どんぐりベビーに魔戦車ダビドを採用する等がある。その他、亡者の執念+身代わりにより、特性凍て付く波動で連携を防いだ場合にチェインに対する受けが可能という理由から、AI3回行動新生の鬼棍棒が使われることもある。

そしてマツケンリバは特に完成度が高く単独でも完結しているので、表をシャフ黒以外で運用する自由度もある。例えば4枠化鬼棍棒を使う例(4.2項)や4枠化骸骨を使う例等がある。それらに関しては以下の記事を参照。最近ではマツケンリバでは対応し難い相手に強いということで、亡者アスラゾーマが提唱されていたりする(参考の為解説動画を示すが、下品なBGMに注意)。

3.4 オンライン他国マスターで最遅個体入手

オンライン他国マスターで仲間にしたモンスターはレベルが1、ステータスが種族毎に決まった最低値になっているが、それを利用すれば素早さを極限まで下げ、リバース下において極めて先制し易いモンスターを育てることが出来る。そのようなモンスターの具体例を示す。

3.5 魔神産黙示録で最遅SSランクモンスター作成

SSランクモンスターはオンライン他国マスターで入手出来ないが、次の記事に書かれた処理を行うことにより、素早さを極力下げて育成することが可能である。言うまでも無くその労力は大きく、そこまで拘る必要性は薄い。

4 対戦例

ここまでシャフ黒リバが構築される経緯とその内容を記述してきたが、文章のみによる説明ではそれが本当かどうか実感し辛いであろう。そこで、本節では実際の対戦の動画を示し、議論の妥当性検証の一助とする。

4.1 対戦例1

私の構築の原型を使っていたXepalousとシャフ黒リバ同士の対戦(相手側視点)。今回Xepalousはより一般的な構成のシャフ黒を使用しており、2つのパーティのちょっとした違いを見ることも出来るのが興味深い。ぶちスライムベスの特攻も活躍。尚、メガザルダンスで復活した私のパーティが出てきた後にはぐれメタルが何も行動せず倒されているのはターン開始時がリバースであり、素早さの高いはぐれメタルが他のスモボより行動順が遅くなっていたからなので、裏にリバースを置くことで素早さの高いスモボの一貫性が切れるということが図らずも示されている。

4.2 対戦例2

とある人との対戦2回目(相手側視点)。1戦目はメガザルダンスで鬼棍棒を蘇生されて完膚なきまでにやられたので、今回は冥界の霧で蘇生を封じにいった。あるタイミングでメルトアでゼロの衝撃をしていれば勝てたであろうということが、メルトアにゼロの衝撃を持たせることに利点があることの実例となっている。また大魔王マデュラージャのラウンドゼロが活用された数少ない例でもある。

5 結論

本稿ではシャフ黒リバという多数の霧を採用した一見奇妙に見えるパーティが、実は高い合理性を持って構築され、対戦環境でも通用することを実際の対戦動画も実例として挙げながら示した。シャフ黒リバの内容を知り、理解を深めることはシャフ黒リバを使って対戦に勝つことだけではなく、新たなパーティを構築することにも貢献するだろうと期待される。

謝辞

シャフ黒リバという構築を考案した松山研斗と、そこに改変を加え、筆者にそのパーティを示し、またその後構築について多々議論を行ったXepalous、そして対戦例2の対戦相手であるニート(ハンドルネーム)に対し厚く御礼申し上げる。このパーティを使用して神々の対戦者、大称号王を獲得することが出来たので、それを記念したイラストを最後に示しておく。

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