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『記憶のかけら』
小社から自費出版をされた著者にアンケートしてみました。本を作ってみての感想などを聞いています。自費出版に興味のある方はぜひ参考にしてください。
今回は2019年11月に『記憶のかけら』を出版された清水みどりさんにお答えいただきました。
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自費出版をしようと思ったきっかけは何ですか?
何となくパソコンに今のうちに残しておきたいと思い、パソコンに打ちました。夫に見せると「冊子にしてみたらどうや」と言われました。「大げさな」と思いましたが、しばらく考えて、文章に納得できないにもかかわらず、その気になりました。
3歳半のときに親子4人で満州から日本へ引き揚げてきた清水さん。その引き揚げの様子と、日本に帰ってから社会に出るまでを綴られました。
「泣いたらあかん」と言われながら、黙々と暗闇を歩き続けた満州での逃亡の記憶は、70年以上たった今も断片的ながら鮮明に残っているといいます。
実際に本を作ってみていかがでしたか?
自分の文章のつたなさ、表現力のなさを感じました。反面、「これで1つの事ができた。未熟な文ではあるけれど」という思いもしました。
もう二度とない経験だと思います。
戦争を体験された方が少なくなるなか、清水さんの体験記は貴重な資料です。日本に帰ってからも大変苦労され、幼い子どもから見た戦争の爪痕がみてとれます。
本を出版された後、ご家族や友人など、周りの反応はどうでしたか?
友達に届けると電話があり「私は北朝鮮から引き揚げて帰ったのよ」と。同じ経験者だったと初めて知りました。
また別の友達から電話があり「私の知り合いに、両親が亡くなり、小学生の3人兄弟だけで引き揚げてきて、今ではいい大人になって頑張っていますよ」という話をしてくださいました。子どもだけでも日本へ帰ってこれたこと、「よかった!」と思いました。
『記憶のかけら 満州そして日本へ』
清水みどり著/B6判・44頁/本体価格700円+税
2019年11月25日発行