見出し画像

「生徒会大賞」を受賞した私の二年間の活動の軌跡(高校生徒会オンラインリーダー研修2022 with松下政経塾講演録)


▲講演で使用したパワポ。

皆さんこんにちは。渋谷教育学園渋谷高校で一年前生徒会長をしていました。桃井と言います。
他に日本中高生協議会というところで広報部長も務めてまして、専門というか集中して取り組んでいたのは、広報です。
今日は私の2年間の活動(副会長から会長になった2年間の活動)と、今回リーダー研修ということで、リーダーシップについての話。それから広報の話をしたいと思います。


【1】略歴

会計問題と、生徒会役員への不信感

私の活動を時系列に沿ってざっと話そうと思います。中学生時代は、本当に生徒会なんて、考えもしなかったような、あんまり誇れることがないタイプの中学生で。そんな中で、当時の生徒会役員の人が毎年生徒総会の時に「予算が減り続けているから」と倹約を呼びかけてたんですが、当時配られてた会計資料には、部ごとの総額だけで終わりだったんです。

具体的に何にいくら使ったのかを言わないで倹約を呼びかけられても、説得力がありません。そもそも生徒全員が払った生徒会費なのに、これは不透明すぎます。それをきっかけに予算決算のあり方に疑問を持ち、生徒会役員を志しました。それでその後の役員選挙で「みんなの生徒会」「情報公開」をモットーに副会長になりました。真っ先に取り組んだのがこちら、予算透明化ということです。

高一、副会長時代(2020年度)

予算の透明化

明細まで具体的に、決算で何にいくら使ったのか。また予算の話も、何目的の費用にいくらというところまで、具体的なところを公開しました。
その結果、柔道部だけ大会出場時、旅費と食費が生徒会費から出てたっていうのが判明しました。(この話は私が会長になった後の会計改革の話に繋がってきます。)

もっとクリアな生徒会にしたい

次にやったのは目安箱委員会です。中学生時代目安箱に一度投書をしたんですが、その後何の音沙汰もなくて。ちょっとなあと、すごくモヤモヤしました。目安箱に投書するのは役員じゃない人が主なんだから、そういう人たちも合わせて来た投書について話し合うっていう機会を作ろう。ということで目安箱委員会というものを作りました。
結構このときはまあまあ多くの人が来てくれまして、投書が来ていた、制服の話だったりとか、傘振り機導入の要望の話とかを話し合いました。
また目安箱に投書した後どういうふうに議論されてるのか知りたい人のために議事録の公開をし、議論の過程の透明化を図りました。

その他に副会長時代にあったのは、聖春祭・・・聖昼といって毎年クリスマスの昼に発表会みたいなイベントをやってたんですけど、コロナの関係でなしになってしまった、ただそれでも何か部活の皆さんの発表の機会は確保したい。ということで、2021年の4月に聖春祭というイベントを企画しました。
次にロッカー開放。自分の学校には部室が運動部の一部にしかなく、いろんな部活が自分の個人のロッカーだったりとか、あるいは顧問の先生にお願いして教科研究室においてもらったりっていう形でやりくりしていました。荷物の置き場問題というのが喫緊の課題だったんですね。
そこで空き教室があったので、その教室のロッカーを使えるようにしました。

広報、でも誰も見てはくれない

また、すごく真面目な感じの生徒会通信というのを発行したんですけど、逆にみんなあんまり読んでくれなくて。これが後の「渋渋TODAY」の発行に繋がっていきます。

高二、生徒会長時代(2021年度)

2021年になって生徒会長になりました。
・さらなる予算透明化
・会計問題、大会派遣費改革
・広報拡充
・情報公開
・イベントの企画
・緑化政策
をやりました。

予算のさらなる透明化

以前は予算申請書に、支出の理由を書く欄がなかったんです。で、個人消費は禁止というのを口頭で話すことはしていたんですけども、具体的に何を買っていいのかという話はなかったんです。結局担当役員の裁量に任せられていたのです。
何目的の支出かわからないのに予算の審議なんかできませんし、何を予算に入れていいか具体的な例も分からないんじゃ、不公平です。

そこで予算申請書のバージョンアップ・手続きの公平化というのを行いました。左上がビフォーで、右下がアフターです。(この鉄研の予算は、とりあえず自分がこの講演用に適当に打っただけの架空のもので現物とは別です。)実際に支出が必要な理由っていうのを明記してもらうことにし、それをそのまま全校に公開しました。
さらに担当一人が見て判断するだけじゃなく、会計役員がチェック→会長が会計監査委員立会いの下チェックというダブルチェック方式にしました。結果、生徒総会当日に出る質問も、例えば、いままでは○○部何万って多くないですか?で終わっていたのが、何のために支出するって書いてありますけど、それ本当に必要なんですか?みたいな感じで、質問がより具体的になりました。

大会派遣費問題

大会派遣費問題。副会長時代に発覚した柔道部だけ食費と旅費が出ていた問題なんですけども、調べてみたところ、関東大会以上の大会で宿泊を伴うものに関しては、生徒会費から事務室が直接出してたっていうことでした。しかしこの制度、そもそも公表されてなかったんです。生徒会担当の先生でも、この制度を知らなかったり(というか、一部にしか知られていなかった時点で、「制度」ではありませんね。)、該当するような状況でも、他部では自費で遠征していたり。非常に不公平な状況だったんです。


でしかも、実際には宿泊の必要がない東京での大会でも宿泊費出したり、なぜかコンビニでの食費を出したり、正直ガバガバだったんですね。東京での宿泊費+コンビニでの食費を出していた部活の顧問に事情を聞いたら、地方での大会に配慮してこういう形になってるけど、いつもそういうのがあるんだから(東京での大会の)今回も出していいはずだ、という話をされました。詳細は活動報告書の方に書いてあるので、終わった後でもじっくり読んでいただければ、ルールメイキングとかしたい方にとっても面白い内容となってると思います。
(補足:生徒会大賞に出した私の活動報告書を欲しい方がいれば、差し上げます。)

ガバガバすぎる会計規則

もっと言えばそもそも会計規則に、各予算の定義(例えば生徒会費は、生徒の活動のための予算で~とか、部費というのは、部の活動のために使う予算で~とか。予算のそもそものあり方みたいなのを示す文)すらなかった。たとえば文化祭の実行費は生徒会費から出たんですけど、会計規則によれば、文化祭実行委員がそもそも生徒会費の支出対象に挙げられていなかったり。正直ガバガバだったんです。

で、会計規則改正案というものを策定しました。今まで個人消費駄目って言ってた口約束をちゃんと文にしたり、予算項目の内容を定めたり、あと大会派遣費は、今まで無審議スルーで出していたのを、生徒会役員で審議したり、さらに4分の1以上の反対署名があったら廃案にできるようにするというようにしました。

さて、この大会派遣費問題の不公平は、生徒会担当の先生は知っていて、それで見過ごしてきたわけです。ですから制服の時みたいに、生徒会担当の先生と交渉して~みたいな形では改革ができないわけです(去年の明細を公開した時点で、部活の予算というのは部活のプライベートの問題だから公開するな、という的外れな批判があったり、ある種事なかれ主義なところへの不信もありました)。そもそも生徒会内の規則の問題で学校の校則の話ではありませんし。生徒会会計規則の改正手順って生徒総会で認可されて、校長の認可を得るっていう2段階で規則に書いてあったのでさすがにその規則通りにやったのであれば、先生もNGを出すのはない(民主的な手続きが明記されている以上、それを超えてやめろと入ってこないだろう。文書で制定された規則なんてのは生徒自治の根幹をなすものですから)だろう。というので、当時の私は生徒総会の公示っていうんですか、会計規則改正っていうのを書いた公示が貼られるまで、先生に大会派遣費改正案が入った会計規則改正案というのを見せずに改革しようってしたら、結局総会前日に役員が集められて、改正案は何なんだっていうのでその時先生が「生徒会費は、学校が全体で集めてるから、これは学校の方針と違うことはできない。規則通りの自治をしたいなら、自分らで生徒会費を集めろ」っていう風に言ったんですよ。そもそもそれ理由になっていませんし、生徒会担当の先生って会計問題を黙認してきた立場だし、それなのに助けを借りなきゃならないっていうのはおかしな話なんですね。まあでもそのあと半ば強引な形で説得があり結局見送りっていう形にはなってしまったんですけども。
すごく印象に残っているのが、そのとき生徒会担当の上司的な先生が「仲間の活躍も素直に喜べないの」と言ったんです。
ただ、逆に言えば、生徒会担当の先生からしてみれば、我々が規則通りの自治をするっていうのが、そういうふうに(=仲間の活躍を喜べない人だ)見えるくらい、実態生徒会像は規則通りの生徒の自治ってのからほど遠かったわけで。渋渋では生徒会が先生に頼まれたことをこなすだけっていう、行事係みたいなところがあって、学校のなかで生徒会が独立してやるって機会がなかった。
「仲間の活躍も素直に喜べないの」って言葉が出るくらい生徒会の自治機能が機能不全な中で、規則に書いてあるからってのは正直少し強引だったというふう反省もあります。
結局生徒会役員として求められているのは、結果を出すことなので、それで結局目的としても、結果としてもよくない論争が増えたってことを考えると、もう少しなんていうか、「規則上正しい」やり方だとしても、実情に沿ったいいやり方ではなかったのかなというふうに思っています。しかしまあ穏便に進めようとしても、うちの学校の状況では改革に至ることは間違いなくできなかったでしょうし、これから導き出される結論は「生徒自治の下地のない学校では、(特に予算関係で)改革をすることは、とてつもなく長い時間を要する」という感じでしょう。現在生徒会が抱えている、構造的な問題でもあります。(補足:会計規則改正案はその後後輩の代に引継ぎとなり、結局私の代では解決できませんでした。)


参考資料:「活動報告書」より抜粋
・大会派遣費問題の是正
令和二年度に予算決算の明細化を行ったところ、大会参加にかかる食費や交通費を支出している部活があったことがわかりました。渋渋生徒会では個人消費になる費用は生徒会費から支出できない旨説明しており、その支出は完全にそれと矛盾するものでしたが、当時決算を担当する令和元年度生徒会が解散しており、どうすることもできず総会の場で「顧問がOK しているはずだから大丈夫のはず」などと説明する状況となりました。令和三年度集計した令和二年度の決算でも同様の支出があり、調査したところ、大会指定の宿舎がある場合などに配慮し、関東大会以上の大会でかかる遠征費を「本部費」として事務から直接支出していたことが発覚しました。またその部活への調査の結果で、「ホテルは翌日朝早いので泊まった、食費は大会指定の食事があった訳ではないが、大会指定の食事があったときに支出したり、一泊二食の宿をとったりすることがあるので、二食分も支出する権利があると思い支出した」との回答がありました。令和二年度生徒会では「これは生徒会費から出すのに不適切な支出で、これを支出できる制度を改める必要がある」との結論に至りました。
こういった旅費は生徒会を通さずに支出されており審議する場がなかった上、その基準の曖昧さや、地方大会→関東大会→全国大会の流れのみに限定していること、そもそもこの制度を公開していなかったことから全部活が公平に旅費を執行出来ておらず、実際に支出ができるのは一部事例に限られていました。
他にも、各予算の定義が曖昧で、各支出の目的が何か、何が禁止で何がOKかという、基本的なところから何も明記されていませんでした。そこで生徒会会計規則の改正をし、予算の定義と大会派遣費について明確化する事にしました。6 月の総会に向けて規則改正案を作り、5 月末には案が完成していました。以前より生徒会では先生の過干渉により十分にその自治が成し遂げられていないことが多かった(昨年度予算決算明細化を行った時も生徒会担当から「予算決算を公表するのは部活のプライバシーの問題で難しい」と猛反対された)ので、生徒会会則に明確に改正手順が定められている会計規則では事前に生徒会担当に改正案を見せた場合、あるべき形で会計の是正を行えないと判断したので、会計規則改正を実施する旨の総会実施要綱の掲示ができるまで改正案は生徒会担当に渡さない、という形にしていました。しかし総会前日になり突如生徒会担当より呼び出され、「我々が規則案に許可していないので、規則改正はできない」と一方的に告げられました。「規則改正は明確に生徒の民意を反映する手順が定められており、民主性を保つためにこうした」と回答すると、「生徒会費の徴収は学費と合わせ学校が行っている。生徒会が会則通りの自治をしたいなら、生徒会費も自分たちで徴収しなければならない。それをしていないので許可しない」など的外れな回答がありました。放課後も高二の役員 3 人が呼び出され、「二年三年時間をかけるべき」「まず今間違いなく起きている矛盾を止めるべきだ、そのあとでさらに問題があれば追加で変えればよい。とにかく今起きている不条理を看過するべきでない。」と論争になりましたが、3 人が呼び出されている最中に先生がほかの 9人の役員に「3 人は会計規則を変えないことで納得したから」と話し、それで他の役員も折れ結局会計規則改正は延期になりました。その後部長を集め話を聞き、全校アンケートを経て次の 6 月の総会で会計規則を改正する予定です。今まで支出していた部活からは反発があったが、そうでない団体には関係なく、興味を持てない問題である為、賛同を得るのに苦労しました。渋渋では、生徒会が毎年先生から頼まれた決まったことを繰り返すような形に形骸化していて、先生方も「先生の下に生徒会がある」ので当然だと思っている部分がありそもそも民主的な自治としての活動の下地があまりありませんでした。(その状況で自治が完全に機能している前提の改革を行ったのは少々強引だったという反省があります。これにより生徒自治の考えが学内で浸透したという意味では必要なものだったかもしれませんが、結果的に手段としても目的としてもよくない先生との論争が増えたので「規則上正しい」やり方だとしても「効率の良い、利口な」やり方ではなかったかもしれません。)
学校内での活動では、生徒会の在り方についてさらに考えていかねばならないと思いました。


「みんなの生徒会」をめざして

で次、みんなの生徒会のための活動ということで。
役員でなかった中学時代に感じた、生徒会の壁の高さ。もう少し生徒会に簡単に、気軽に入れるようにしたらいいんじゃないか、ということで、チームに役員以外も入れるようにしました。結構さっき富士の方(補足:当日は私の前に学校部門大賞の富士高校生徒会の会長さんが講演をされていました)の話でもありましたよね。「生徒会をチーム別に分ける」っていうのは、いろんな生徒会の方がやってらっしゃることだと思うんですけど、そのチームに役員以外も参加できるようにしたのです。

役員が意見吸収発信チーム(広報担当)、制服改革チーム(制服担当)、学校生活チーム(学校生活の諸問題担当)、あとイベントチーム(イベント計画担当)と4チームに分かれてやっていたんですけれども、そこに役員外のメンバーが6人も来てくれて、役員11人+役員外6人の17人で生徒会の活動をしていました。例えばイベントチームでは実際に発表系のイベントの時に出る同好会の人が入って、その意見を実際の活動に反映できたりとか。生徒会活動に新しい風が吹いた瞬間だったと思います。


参考資料:「活動報告書」より抜粋。
●チーム制の刷新
前年度より生徒会にチーム制が導入され、役員 12 人が 5 つのチームに分かれコアメンバーとなり、また有志の役員がサブメンバーとして補助し、他に必要に応じて適宜プロジェクトチームを作るスタイルが採用されました。しかしこのチーム制には、
・そもそも何をもってサブメンバーになるのか不明確⇒結局コアメンバーだけが仕事をし、ただの分業と変わらない
・2/3 人ではできることに限りがある+各チームの仕事量に差が大きい⇒分けすぎて1チームの人数が少ない
・ほかのチームの作業実態がわからない⇒真面目なチームとそうでないチームに大きな差
という問題がありました。例えば制服改革を担当していた制服改革チームは 3 名で黒タイツ着用許可を得たのに対し、イベントチームは機能していませんでした。(それにより聖春祭チームができた流れは、昨年度生徒会の活動報告に述べたとおりです)またそもそも本来生徒 1200 人全体の生徒会のはずなのに役員 12 人だけの行事係のようになっており、仕組みに抜本的な見直しが必要だと思いました。そこで以下の改革を行いました。
・チームの組みなおし
発信を担当する情報発信チームと意見吸収チームを統合し意見吸収/発信チームとし、制服改革チーム、学校生活チーム、イベントチームの 4 チーム制としました。
・サブメンバーをメンバーと改称し、役員以外の生徒も参加できるように
3 つの中で一番大きな改革点がこれです。前述の slack に役員でない生徒も入れるようにし、大々的な広報を行って参加メンバーを募りました。合計 6 人のメンバーが参加し、18 人体制で生徒のリアルな意見を聞いて生徒会活動ができるようになりました。これにより閉鎖的な雰囲気が強かった生徒会が開かれたものに変わっただけでなく、活動内容も一気に充実しました。


「生徒会掲示板」を作る

生徒会掲示板でこういうふうに(初期の写真なので、まだだいぶスカスカなんですけども)学内新聞渋渋TODAY(後述)のバックナンバーだったりとか、あと目安箱の返信とかっていうのを貼るようになりました。

またあんまりみんな見てくれなかった議事録公開に代わり、役員の集会1回ごとに何を話し合ったかめちゃくちゃ要約した議事録を貼りました。(日直日誌のノリで、ってのがコンセプトでした。)生徒会掲示板にはもう一つ活動計画シートというのも貼りました。各チームが感じている問題意識、それに対する今後の活動方針を表にまとめ全校生徒が見れるようにしました。これによって目安箱に寄せられる質問がどんどん濃くなっていったように感じます。

イベントチームの活動:役員外メンバー制の成功例

イベント担当の後輩がすごい活発な方で、その人を中心になっていろいろイベントを企画したりしました。例えば初めて文化祭に生徒会企画ってのを出したり。先ほども出ましたが、イベントチームは役員外メンバーもすごく多くて、例の役員外メンバー制度の恩恵を一番受けられたところなのかなというふうに思います。

制服改革:時代と逆行した改革に対して

制服改革チームの改革案で、学校に制服の男女共通化を提言していました。しかしある日、学校が突然女子用スラックスを新たに導入、というのを発表したんです。生徒会は今ある制服を男女関係なく使えるようにすればいい、新たに女子用を導入するメリットはない。制服リサイクル(先輩のおさがりをもらえる)も利用できなくなり、生徒の負担が大きくなるし、何より性差の低減の意味がないと反対しました。しかし学校のスタンスは、もう決まったことだからね、というものでした。生徒会が提言していたことを無視して独自に改革案を出して、かつ生徒会の意見にも全く耳を傾けなかった。要は蚊帳の外にされたわけですね。制服担当の先生は、学校側は制服着用規則は学校のHPにもある、それを了承している生徒のみ通うべきだとまで言いました。学校目標で自調自考と言っているのにおかしな話ですね。今後数十年で改善するつもりらしいが、それでは遅すぎる。質問状を送付したり、渋渋TODAYに制服特別号を出して、生徒の意見を募ったりといった形で提言してきましたが、結局生徒会の意見は通らず女子用スラックスが導入されました。

緑化政策:緑あふれる学校を目指して

渋谷教育学園渋谷っていう名前からわかる通りもう緑が全くないんです。ってわけで、緑化しようというと。学校の壁面の緑化を提言書として提出しました。

他校との交流

また、日本中高生協議会で広報部長をしてたって話もしたと思うんですけども、他校との交流っていうのをだいぶ積極的に進めました。

広報:より濃い情報発信を目指して


左が高1の時出した生徒会通信で右が高2になって出した学内新聞「渋渋TODAY」です。高1の時に出した高校生徒会通信は最初に会長の挨拶があって、その後に各チームの進捗報告があってみたいなお堅い感じで、あまりみんな読んでくれませんでした。それを渋渋TODAYではこうやってちょっと文章も客観的にしたり(たとえば先日聖春祭を開催しました、を聖春祭が●●日に開催されました、としたり。書いてあることは同じですが、少し客観味を帯びましたね。ここら辺の話は後編でじっくり話します。)、写真を増やして、一目見てわかる広報を目指しました。

誰でも記事を載せられる新聞

全校生徒が誰でも「渋渋TODAY」に記事を寄稿できるようにして、部活の宣伝だったりとかを載せられるようにしました。(誰でも書ける、誰でも読める。だから生徒会新聞じゃなく「学内新聞」としたわけです。)自作の詩を載せた人もいました。また、渋渋TODAY冬祭りと題し、川柳やイラストのコンテストを開催ました。これは結構盛り上がりました。

【2】生徒会「リーダー」とは

「「リーダーシップ研修」」に寄せて

今回リーダーシップ研修ということで、リーダー的な立場において気をつけていたことを話します。

リーダーを分散する

さっき富士の方も高校一年生にもリーダー役を任せる、という話をされていましたが、それにちょっと張り合ったことを言うとしたら、うちは中三がリーダー役をやっていたりしました。

やりたい人が仕事できるシステム

各チームのメンバーというのは、それにやりたいなと思ってる人がやってくれるわけじゃないすか。どっかの本で読んだんですけど、仕事には3段階あるっていうので。①いやいやいややる労働(labor)、②仕事(work)、そして③使命感を持ってやる任務(mission)というのがあるっていう話を聞きました。実際、活発な役員ってミッションだと思ってやってるんです。

でも、多くの生徒は、生徒会活動をlabor、労働なものだと思っている。たとえば生徒総会なんかの時、いやだなあと言いながら参加する生徒が実に多い。そういう人に学校の問題を考えようといっても、気乗りしてないわけですから、いい成果は得られっこないですよね。
逆にミッションだと思って仕事をやってくれてる方に仕事をできるだけ振る。やりたい人が、やりたいように仕事を回す。それがいいと思います。やりがいよりも適正で仕事を振る人が多いですが、私はまあ「好きこそものの上手なれ」だと思います。生徒会なんてやってもやらなくてもいい仕事ですから、やりたくないことをやっていると何も問題が解決しませんからね。さっき話した役員外メンバーというのは、「ミッションだと思って、仕事をやってくれる人」を生徒会に呼び込む最高の手段であるといえます。「やめたくなったら、いつでも辞められる」というのがミソです。来たい人だけ来て、で人が集まるのかとお思いの方もいるでしょうが、結局それで集まった人っていうのはやる気や問題意識が人一倍高い人たちですから、人が集まらなくても回るようになってしまうのです。

リーダーの役目とは

ただやりたい人に振るっていうのが一番効率は基本的にいいんですけども、結局全部の仕事をきれいに割り振れるとは限らなくて、誰もやりたがらない仕事とかもあるじゃないですか。
私はそういう仕事を積極的にニコニコでできるというのが生徒会長に必要とされてるリーダーシップなのかなと思いました。
一つ強調したいことがあります。何人か人が集まったら、中心になって話を進める人が要る。リーダーというのはそれだけの話です。人に指示をするのがリーダー、というのは、私は短絡的だと思います。(だいたい自分で自分のことリーダーなんて言う人がいたら、とっつきにくくてたまりません。)私みたいな人がなぜこの「「リーダーシップ研修」」なんてのに呼ばれたか自分でもよくわかりませんが、まあそんな私に言わせてみれば、(とくに「「リーダーシップ研修」」なんてのに参加している皆さんは)あまりリーダーとしての自覚を強く持ちすぎるのも考えものだ、ということです。

「学校の中の生徒会」

あと、これはここで話すなら避けて通れないだろうなあと思って、お話するんですけども、去年個人部門大賞の人と、学校部門大賞で出てきた先代の会長のコメントが対照的だなと思って。

先代の会長のときってあんまり発信力がなくて、問題があっても、役員の中だけでこれおかしいねってなるのに終わってて、全校生徒の中にまで問題意識が広がるってことはなかったんですよ。先代が言っていた粘り強く交渉ってのも、言い方は良いですが、実際は8割がた生徒会の主張は耳すら傾けられませんでしたし。かといって、生徒会の目的って結果を出すことだということをさっき言ったんですけども、それを考えると生徒と学校と生徒会が別だということを目的にしてるようじゃいけない。実際は正直学校の下請けとしての生徒会と学校と生徒会独立っていうのは、ある程度はどっちも行き来するような状態でいいと思うんですよ。
ただ何というか、絶対に譲れないラインと言ったら変な話ですけども、生徒会活動していくに当たってここは絶対に守った方がいいよなという生徒会としてのスタンスはあった方がいいと思います。例えば制服関係でよく聞く話ですが、「制服関係でこれこれこういう問題があるという意見があるから、改善しよう」という生徒会の意見に対し、「そんな問題は存在しない」というとんでもない返しをする先生がいます(自分のところにもいました。)。先生は、生徒会の意思や方針を決めるという立場ではありません。生徒会の意思を不条理に侵されるようなことは、あるべきでありません。
結局、生徒会が自前で意見を発信できる力、これが必要になってくると思います。問題意識を、役員うちだけでとどめない。学校の対応がおかしい、そしたら全校に問題提起をする。それができる力が必要なのだと思います。だって生徒会がブラックボックスだったら、何が起きてるのかすら全く見えないわけですから。発信力というのは生徒の自治に不可欠なのかなと思います。

「生徒会」

生徒会は全校生徒全員の会という前提を忘れていませんか。今までの経験の総括として、問題意識なり、あるいはそれに対する考えなりというのを役員うちで完結させてしまっている人が多いように感じます。生徒手帳に書いてある通り、生徒会員とは全校生徒全員を指します。でも実際に、たとえば生徒会の人、って言ったときに指しているのは役員なりいわゆる「執行部」の人ですよね。生徒会は、生徒全員の会なんです。問題意識が全校で共有されるようにしなくてはならない。学校をよくしようと思う人が、誰でも生徒会のやることに触れ、意見発信なりなんなりで参画できるシステムがなくてはならないと思います。繰り返しますが、そういった生徒自治のシステムに不可欠なのが広報です。次では私が広報担当として2年間で気を付けていたこと、多くの人を巻き込み、生徒会活動を盛り上げるための広報について記します。

▼後編はこちらから

(この文章は2022年8月に高校生徒会オンラインリーダー研修2022 with松下政経塾で私が行った記念講演を文字起こししたものです。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?