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エッセイ

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「山ヲ歩キ、湯ニ到ル――#04 入浴できる世界遺産、湯の峰温泉への長き道のり ~熊野古道・中辺路~」大内 征

登山と温泉はセットである――。 低山里山に歴史文化や神話民話を追い求め、日本各地を旅する低山トラベラー・大内征が綴る、山のこと、湯のこと、旅のこと。 第四回は、日本最古の湯にして世界遺産の「湯の峰温泉」を目指す歩き旅。熊野古道の中辺路40kmを踏破したご褒美は、死の淵から息を吹き返した小栗判官の逸話が伝わる“蘇りの湯”でした。 ※連載第1回から読む方はこちら。  羽田から飛び立った飛行機は、あっという間に紀伊半島の上空にあった。窓の外には果て無い山稜がまるで海のように広がっ

「山ヲ歩キ、湯ニ到ル――#03松川温泉発、神の絨毯経由、松川温泉行き」大内征

 9月になると、頻繁に空を見上げている自分に気がつく。まだ東京の空にはモクモクとした入道雲が宇宙にまで飛び出してしまいそうな背の高さで居座っていて、時おり耳に届く遠雷は、おそらくあの雲たちの仕業なのだろう。しかし、見上げた空の、そのまたずっと北の東北地方の空の下には、そろそろ秋の気配が色彩となって天から山に降りてくる頃だ。彼の地において、秋の気配、それは神の気配でもある。  青空に残る白い夏雲を見上げながら、ぼくは「神の絨毯」のことを思い出した。神の絨毯とは、宮城と岩手の県

「山ヲ歩キ、湯ニ到ル――#02大台ヶ原山と入之波温泉」大内征

登山と温泉はセットである――。 低山里山に歴史文化や神話民話を追い求め、日本各地を旅する低山トラベラー・大内征が綴る、山のこと、湯のこと、旅のこと。 第二回は、とある夏の奈良の山旅。室生から吉野を経て十津川へと縦断する旅路の途中、日本有数の降雨量を誇る大台ヶ原山を訪れたときのこと。そこで立ち寄ったのは、入之波温泉でした。 ※連載第1回から読む方はこちら。  ある年のこと。  梅雨が明けたばかりだというのに、山道具の収納ラックから雨具の類を出してきてはザックにパッキングしてい

「山ヲ歩キ、湯ニ到ル――#01 長湯温泉を拠点に国東半島を巡る」大内征

登山と温泉はセットである――。 低山里山に歴史文化や神話民話を追い求め、日本各地を旅する低山トラベラー・大内征が綴る、山のこと、旅のこと、神の湯のこと。 第一回の山旅は、国東半島と長湯温泉。山好きなら一度は訪れたい「BBC長湯」を拠点に、国東半島の低山を巡る山旅です。  源泉掛け流し。  この言葉を知ったのは、東京に出て来てからのことだ。温泉に詳しい人はみな、これを「源掛け」と端折る。洒落た響きである。  学生時代のこと、はて、それはなんのことですかと目をパチクリさせるぼ

努力の正体

山を想って山に行かず、の日々を過ごしている。 山里を旅して地元の人と交流し、日常の営みと自然の営みを写真に撮って、それを文章にする。ときには山旅のことを人前で話して分かち合う。そういうことを生業にしているぼくにとって、山に行けないことは職場に行けないことと同義。だから最近のぼくは在宅勤務だし、山好きのみなさんと同様、じっとしているのがとても辛い。 収入は半減どころではない。今月はほぼナシに近いだろう。これを読んでくれた個人事業主仲間たちは、どうしているだろうか。 これから

noteをはじめたいきさつとごあいさつ

低山トラベラーと名乗って活動し、もう7年になります。 思わぬところで低山トラベルという言葉を見聞きする機会がちょっとずつ出てきて、身近な低い山に歴史散策やカルチャーハイクを求める「低山好き」たちと出会えることを嬉しく思います。 このページを訪れてくれた人の中には、もともと「低山」が好きでぼくのことを知ってくれたり、気にかけてくれているハイカーの方もいるかもしれませんね。うっかり迷い込んでしまった人(笑)もいるだろうし、検索か何かで辿り着いた人も、そして既知の友人知人たちも