『逆夢』解説と裏話
はじめに
こんにちは、僕です。
今回は、以前投稿した短編小説『逆夢』の裏話みたいなものをお話したいと思ってます。本編は短めなので、まだ読んでない方はそちらを先に読んでくれると嬉しいです。
ちなみにこの裏話が蛇足な気がするんだけど、どうなんだろうね。とかいうこの文も蛇足な気がする。蛇足が蛇足を呼んでいる。
制作経緯
では、早速本題に。
経緯、なんてカッコつけてますけど、要はこれを書こうとしたきっかけです。
この作品は、実体験を元に書いていたりします。設定などは完全に創作なのですが、「朝起きると見ていた夢の内容を徐々に忘れていく」というのをその夢とともに書いてみたくなったんです。皆さんもあるでしょ? 思い出そうとしても既に忘れてしまっている感覚。あれです。
もちろん夢の中身も半分実体験です。流石に誰を亡くしたかとかは、ここで言うつもりはありませんが。
それでも小説のラストの場面、あれは僕が夢で見たものをそのまま投影しています。まあ主人公同様それ程覚えてはないんですけどね。
設定なんかは、先程言った通り完全に創作です。当然僕は男ですし、引きこもりの時期があったわけでもありません。性格なども全然違うものにしていますしね。
ただ、実体験を元に書くといったことは基本なかったので、なんだか新鮮でした。
キャラクター設定
・丑寅とあ
今回の主人公です。それほど暗い性格ではないのですが、元々打たれ弱いところがあったりします。それでも体の弱い宮子を支えようと必死に頑張っていました。
しかし友人を亡くしたショックには逆らえず、しかもその人がある意味での支えだった宮子であったため、塞ぎ込み引きこもりを患ってしまいました。その後、夢に宮子が現れたことによって見事復帰することができたわけですね。
名前の由来ですが、とあも宮子も共に病垂れが付く漢字を元に作りました。
友人を亡くした傷痕の『痕』の字からです。名字はその中の『艮』を取っていて、そのまま『丑寅』としました。昔の方角とかの丑寅ですね。名前は訓読みをひっくり返して『とあ』としました。安直ですけど。
ちなみに作品冒頭でもわかる通り、本作はとあの回想のような入りになっています。そういうこともあって、現在のとあは少なくとも二十歳以上という設定になってます。
・一内宮子
夢に現れた友人ちゃんです。こちらはとあに対して、しっかりした性格です。夢で学校に引っ張っていったのも宮子でしたしね。病弱ながら、とあの助けになっていたわけです。
宮子の頭の中には、いつもとあの事がありました。闘病中も、とあの事ばかり心配していた程で、自分がいなくなったらどうしようとか考えていました。ただまあ、ここらへんの話は、今回の小説がとあ目線で語られていたことに加えて宮子の死後であったのもあり、とあは宮子が自分以上に親友のことを心配していたのは知らないことでしょう。作中では語られてはいませんが、裏設定ということで。
宮子も名前の由来は、シンプルに『病』の字を用いました。
考え方はとあと同じ要領です。名字は『病』の中の『丙』の字を分解して『一内』、名前は訓読みの『やみ』を反対にしてありそうなものを考えたら『宮子』になりました。
ちなみに、丑寅も一内も名字としては存在するようです。どちらも全国で10、20人程らしいですが。びっくり。
タイトルの『逆夢』
最後にタイトルについて、ちょっと語らせていただきたいです。
そもそも僕の小説のタイトルって、わりと直球で内容そのままのものが多いんですけど、今回に関してはわかりにくかったかなと感じてます。読んでくださった方も、もしかしたらこのタイトルに疑問を持ってる可能性があると思います。
要は、その言い訳をさせていただきたいわけです。
まず、逆夢の意味を今一度考えてみますと、「その夢と反対の事柄が起こるとされている夢」というものだと広く認知されていると思います。当然僕もそれを意図して書いています。
正直な話、「白昼夢」や「胡蝶の夢」みたいなものも思いついたんですけど、微妙に違うなってなったのでこれらはナシになりました。白昼夢は起きているときに見る夢って感じですし、胡蝶の夢に関してはなんか色々違うので。
それで、結局「逆夢」になった理由ですけど、皆さん「死人が生き返る」の反対って何だと思いますか? 単純に考えれば「生きている人が死ぬ」と解釈できますが、今回の小説の設定として宮子はもう死んでるんですよね。その設定で夢を見ているので、「生きている人が死ぬ」ということは起こり得ないんですよ。であれば今回の場合、「死人が生き返る」の反対は「死人が生き返らない」、つまり宮子が生き返るということは決して起こり得ないということを暗示した「逆夢」になっているわけです。
なんとも残酷ではありますが、考え方を変えれば現実では人は生き返ることなんてないはずなのに、生き返った親友との再会を果たすことができた夢、とも捉えらますよね?
まあそんな感じにゴリ押して考えたタイトルですけど、一度つけてみればだいぶ愛着が湧いていまして、個人的には違和感のないものになっています。創作中の悩みとして完全な読者目線に立つことができないのが難儀ですね。
おわりに
さて、小説の解説という無粋で蛇足の極みといった記事になりましたが、いかがでしたでしょうか。こういうのは書いてる側の方が楽しいのではないかと勝手に感じています。実際僕は楽しかったです。ただ裏話的なのって、短編小説だとどこまで書いていいのかわかんないですね。連載小説とかじゃないのでネタバレ云々の心配はないですが、あまり話しすぎると無粋がすぎるのではという懸念があります。そもそも粋ってなんだ?
とりあえず言いたいことはあらかた言えたので満足ですね。ちなみに小説本編より解説の方が文字数多いんですよね。笑える。
というわけで今回はこんな感じで締めさせていただきます。ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。それでは、また次回。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?