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あっちゃん(*´ー`*)

「あっちゃん、今どうしてるかな?」

私の兄の友人に、篤くんという人がいた。そのひとは、みんなから、【あっちゃん】と呼ばれていた。あっちゃんは、とても優しい雰囲気を持っていて、兄とは1番仲が良かった。

私は、いつも兄が友人達5~6名と遊んでいる中にはいりたかった。しかし、七つ離れているのでなかなか相手にして貰えるわけもなく、もっぱら部屋の端っこで体育座りをしながら絵本を読んでいた。正確には、絵本で顔を隠し流れる涙と鼻水を隠していた。

私は、大好きな兄とその仲間達の中に入りたかったのである。でも、それが無理なことはなんとなくわかっていて、隅っこにいた。

そんな時、あっちゃんは、やさしく声をかけてくれて「おいで」と手招きしながら私を促してくれた。

恐る恐る近寄ってみると、あっちゃんは、ティッシュで私のクチャクチャの顔を拭いてくれた。そうしたかと思うとにっこり笑って、お膝の上にぽーんと私をのせ抱っこしてくれた。「これで仲間だね。」とあっちゃんは私の頭をぽんぽんとしてくれた。

兄は、他の友達をもてなすので忙しかったが、その一連の様子をみていたのだろう「あっちゃん、ありがとな!」とやや遠くから言葉をかけていた。

あっちゃんが、絵本を一緒にみてくれたり、兄たちが、何をして遊んでいるのか教えてくれた。私は、とても楽しくて沢山笑ったのを憶えている。

そんなことが、幾度かあるうちに其れ其れが成長し、私は自分の友人と遊ぶようになった。兄もあっちゃんも東京の学校へ進学が決まった。正直寂しかった。あの優しい時間の流れが好きだった。

ふと、「あっちゃん、今どうしてるかな?」と口をついてでた。私はあの時の優しい時間をまだ感じることができる。

手に持った作りたてのホットココアが、何時もよりあたたかく甘く感じた。


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