時限爆弾_01

 「ようこそ皆さま。本日は皆様にサプライズプレゼントをご用意させていただきました。はい、ドン!爆弾でーす。このままでは十分後には、この爆弾が爆発してしまうでしょーう。」

ピエロの仮面をつけ、白いタキシードを着た男が、軽快に告げる。

皆状況を理解できていないのか、騒然とする会場。

五分が経過した。

会場が騒ぎ始める。男たちは声を張り上げながら犯人に詰め寄り、女たちは悲鳴を上げながら出口の扉を叩いた。

さらに二分経過した。

男たちは互いに怒鳴り合い、殴り合う。女たちは諦めた顔でその場にへたり込んだ。

カチ、カチ、刻一刻と時間の針は過ぎていく。5、4、3、2、1。

パン!

クラッカーの乾いた音が鳴る。すると、先ほどまで殴り合っていた男たちもへたり込んでいた女たちも一斉に私の方を向き、拍手を始めた。

ピエロの男が看板を手に持って、私の前にやってきた。

「ドッキリ!大成功」

その文字を見て私はその場にへたり込んだ。

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