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三度豆

「いただきものの三度豆、胡麻和えにしようかと思って」

「三度豆?」

「三度豆?あれ?インゲンだっけ?」

突如混乱してしまうことがある。

三度豆、なんて普段使ってない言葉だし、何でいきなり出てきたのか自分でもわからなくて大混乱。あわててスマホで調べたら、インゲンのことを三度豆という、と書いてある。関西の言葉らしい。

自分でも普段使いしていない言葉なのに、なんで突然出てきたんだろう。

突然出てきた私の中の関西にびっくりしてしまう。

高校に入る時に広島に来て、いろんな言葉のイントネーションが違うからクラスの子にくすくす笑われて寡黙になった。「せんせい」という言葉がまず違う。今はテレビでも関西芸人が幅を利かせてるから、そこまでの違和感はないのだろうけど、「あ、んせい!」と呼ぶだけでくすくす笑いが起きていた。「あー、もうあかんわ…」と独り言を言うと「あかん…あかん…」と小さな声で繰り返された。くっそ田舎くさい「せんい」なんて絶対言ってやるもんかと思っていたけど、二年生になったある日、突然私の口から出たのは「せんい」というイントネーションの言葉だった。あの敗北感ったら(笑)

でもそれからは開き直って、自分ではかなり広島弁が使えるようになったと思っていた。けど、ネイティブとはやっぱり違っていたようで、オトナになってからも「あら?広島のかたじゃないのねえ?」と言われることが何度もあった。

とはいえ、大学時代だったか神戸に帰って、たまたまバスの中で中学時代の友人に出会い、話をしていたら「広島からウチの大学に来た子が、同じようなしゃべり方するわぁ」と言われた。これもショックだった。

私は神戸の言葉も広島の言葉もどちらも満足にしゃべることができない。これはかなりショックなことだった。アイデンティティの喪失、なんて言うと大げさに聞こえるかもしれないけれど、自分がどこに所属する人間かということがわからなくなった。それは今でも続いている。今さらもうどうでもいいんだけど。

ってことで、今日は三度豆の胡麻和え♪




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