【テキスト】髭黒大将のキャラ

こんにちは。紫式部です。

髭黒大将の傍若無人な有頂天ぶり、いかがですか?
繰り返しになりますけど、髭黒大将、そこいらの山賊ではないです。れっきとした上級貴族です。北の方は宮家の出身ですしね。そこは、
玉鬘に求婚し続けていた「大夫の監」っていう武士とは根本的に違います。

朝廷でナンバー3になるということは、家柄も見た目も学問も管弦などの遊びの才能も、そんじょそこらの人とは違うんです。

実際、きちんと正装した姿は見栄えが良い、とも本文に書いてますし、学問ができるということも書いてあります。

ただ!競う相手が悪すぎるんですよね。源氏物語に出てくる男性たちって、まったく現実離れしてる人たちだから。そこに居るだけで周囲の人たちがニッコリしてしまうほどの美貌と雰囲気を持った源氏の君とか、それに負けず劣らずの内大臣とか、冷泉帝も夕霧も柏木も弁の中将も、ほんとに美青年だし。

だから、髭黒大将がちょっとヒゲが濃いだけで「髭黒」って呼ばれるし、ちょっと遊び心がないと「無粋だ」って思われるし。可哀そうなんですよ、あの人。でも、そんな人だから、北の方は物の怪に憑りつかれちゃったりしてるんですけどね。うーん、よく言えば「まっすぐ」。悪く言えば「デリカシーなし夫くん」。

奥さんに自分の衣装の香を焚かせて、うきうきと出かける準備とかできませんよね。そういう時代だってことを差し引いても。

でもね、これも少しフォローしとくと、古来、理想的な妻を手に入れると有頂天になってたみたい。

日本最初の和歌っていわれてる、スサノオノミコトの和歌。ヤマタノオロチを退治して、食われそうになってたクシナダヒメを手に入れた時の歌です。

八雲立つ出雲八重垣妻籠みに八重垣作るその八重垣を
(この出雲の地に、幾重にも垣根を巡らせるよ、私の妻をそこに住まわせるための、幾重もの垣根を)

浮かれてますよね。

大化の改新、あ、今は乙巳の変っていうのかな、中大兄皇子と一緒に蘇我氏を討った中臣鎌足。p彼が詠んだ歌。

われはもや安見児得たり皆人の得難にすといふ安見児得たり
(わたしは、安見子(やすみこ)を手に入れたぞ。誰もが手に入れることのできなかった安見子を手に入れたぞ)

って、まあ、功績が認められた喜びもあるんだけど、浮かれてますよね。

髭黒大将の浮かれっぷりも、似たような感じだったんじゃないかなあ。だからって、北の方への仕打ちはどうかと思いますけどね。あと、やっぱり玉鬘ちゃんは可哀想な気もしますけど。

でもでも、前回もお話したように、平安時代のお姫さまっていうのは自分の意志はほぼ持てなかったし、pp政争の駒でしかなかったのだから、仕方ないのかもしれませんね。

ではまた。紫式部でした。


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