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アメリカン・ピアニスト・アワード受賞!エメット・コーエン 最新作「ダーティ・イン・デトロイト」が繋ぐトラディショナル・ジャズの未来

エメット・コーエン・トリオ新譜「ダーティ・イン・デトロイト」の日本発売を3日後に控えた2019年4月7日、エメットがアメリカン・ピアニスト・アワードを受賞という嬉しいニュースが舞い込んできました。

Emmet Cohen has won the 2019 American Pianists Awards, one of the world's major jazz piano competitions. And that means a serious, up-and-coming musician who has already seen success is about to have his career move up a level internationally.

The winner was announced after the five finalists performed Saturday at Hilbert Circle Theatre in a concert emceed by Dee Dee Bridgewater. The Indianapolis-based competition, run by the American Pianists Association, is known for its massive prize. It includes $50,000 in cash, two years of career management, a recording contract with esteemed label Mack Avenue Records and the title of artist-in-residence at the University of Indianapolis for two years.
post from Indiy Star

世界で最も権威のあるジャズ・ピアノ・コンペティションであるアメリカン・ピアニスト・アワードの今年の受賞はエメット・コーエンと発表された。今受賞は既に成功を収めている今後を期待できる真摯なミュージシャンにとって、国際的なキャリアを飛躍させる機会となることを意味している。

5人のファイナリストがいる中、優勝者の発表はディーディーブリッジウォーターの司会により、インディアナ州にあるヒルバート・サークル・シアターにて発表された。アメリカン・ピアニスト・アワードは強力な賞として知られている。その内容は5万ドル(約500万円)の賞金、2年間のキャリアマネージメント、マック・アヴェニュー・レコードの録音契約、インディアナポリス大学での2年間のアーティストインレジデンスとなっている。

インディアナ州の新聞インディアナポリス・スター紙は、価値にして10万ドル(約1,000万円)以上と報道しています。

エメット・コーエンは、正統派のストレートアヘッド・ジャズ・ピアニストとして、28才ながらアメリカでは確固たる地位を築きつつあります。幼い頃からピアノの神童として注目され、これまでにセロニアス・モンク・コンペティションのファイナリストなど数々のコンペで優勝や上位にくい込んでいます。

ジミー・コブ、ロン・カーターをそれぞれ迎えて制作されたマスターレガシーシリーズはVol.1ジミー・コブ、Vol2ロン・カーターと注目を浴び、今年1月にはNYヴィレッジヴァンガードで一週間公演も行っています。

4/10にMOCLOUDから日本発売される新作「ダーティ・イン・デトロイト」は、デトロイトのダーティ・ドッグ・カフェでのライヴ録音。3年間の長いツアーの後に、「明日俺たちが一緒に演奏していられるかわからないから、これを記録に残そう」とラッセル・ホール(b)、カイル・プール(dr)と共にライヴ録音に臨みました。耳の肥えたデトロイトの観客の前での演奏はとてもエキサイティングだったとか。

エメットはジャズは「アメリカのクラシック音楽」であり、スタンダード曲を他の人たちと繋がるための共有要素と捉えています。1930年代のファッツ・ウォーラーを採り上げてストライドピアノも披露すれば、ビ・バップや、セロニアス・モンクの曲、現代の曲まで幅広く採り上げるそのスタイルの多彩さは彼の持ち味のひとつです。

ジャズの悦びや楽しさというのはやはり演奏者の熱量に負うところが大きい実際にライヴで観た彼らのプレイは大きく、自由で、伝統に対する敬意はあっても、凝り固まったこだわりは少しも感じられませんでした。ジャズを聞くという心が踊る体験がそこにはありました。

このライヴ録音はエメットの魅力のほんの一部に過ぎませんが、この作品を通じて彼がジャズを通して伝えたい「繋がること」を感じ取ってほしいです。アメリカン・ピアニスト・アワードを受賞したのも、エメットの持つ大らかさが聞く人の心に伝わった結果ではないかなと思います。

※ エメット・コーエンは、2019年5月21日〜24日 クリスチャン・マクブライド&ティップ・シティのメンバーとして東京丸の内コットンクラブに出演します。


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