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Microsoft、Nuanceを197億ドルで買収【Internet Bull Report】

Microsoft(NYSE: $MSFT)は、ヘルスケアにおける最大AI企業のNuance Communications(NYSE: $NUAN)を買収することでヘルスケア・コンピューティングに全力を注いでいる。

昨年から始まった新型コロナウィルスの流行で、ヘルスケア業は運営のやり方に変化を余儀なくされた。ソーシャルディスタンスやコロナ患者のヘルスケアシステムへの過負荷のため、提供者は電話かビデオ予約に変えて遠隔医療を余儀なくされた。Microsoftは、Nuanceと提携を結ぶことでこの変化から利益を得ると信じている。

「AIは科学技術の最も重要な優先事項であり、ヘルスケアは最も急速に必要としている。私たちのパートナー・エコシステムとともに、私たちは進歩したAIソリューションをより良い決断をどこでも引き出せるように専門の人たちの手に渡るようにするつもりである。」

Satya Nadella(Microsoft CEO)


Nuance Communicationsとは?

Nuanceは、発話認識とAIを提供するコンピューターソフトウェア技術の企業である。Nuanceは小売や金融サービスといったいろんな業界での事業を行っているが、最もよくやっているのがヘルスケアである。アメリカ国内での現在企業を利用しているのは、55%以上は医者で、75%以上は放射線科医で、77%以上は病院である。Nuanceの目標は患者の経験の改善と提供者が進化していく業界に適応できるように助けになることである。


なぜMicrosoftはこのディールをしたのか?

昨年の秋、Microsoftは「Microsoft Cloud for Healthcare」を開始した。Nuanceのような企業との提携で、Microsoftは患者エンゲージメントを高めたり、医療チームのコラボレーションを強めたり、臨床と業務の洞察の改善をするために自社の365やTeams, Azureの製品を利用していた。

患者エンゲージメントの向上

・ 患者へのアウトリーチ… マーケティングを企画・オートメーション化し、患者にアウトリーチする
・ 患者のサービスセンター… 患者の交流・コミュニケーションを監視・管理。患者が予約のスケジュールを組んだり、治療の情報を見たり、ヘルスケアスタッフとのコミュニケーションができるようにする。

医療チームのコラボレーション強化
・ ケアマネジメント… 提供者が必要な医療チームのメンバーの管理とともに新たなケアプランを作ってパーソナライズして実現できるようにする
・ バーチャル訪問… 患者へのバーチャル訪問のスケジュールを立てて実施する
・ 内部医療チームのコラボレーション… 臨床医とスタッフが内部でスケジュールや文書、仕事などで協力する


業務・臨床の洞察強化

・ 臨床分析… 患者のケアの改善のために利用できるデータにアクセスして安全にシェアする
・ 業務分析… 業務の最適化のために利用できる洞察を得る
・ データの相互運用… いくらかのシステムの記録からのデータに接続することでエンゲージメントの新たなヘルスケアシステムを作り上げる

Microsoftは、Nuanceを買収することでNuanceのAI技術を全体的に自社のサービスに統合して顧客ベースを拡大することができるようになるだろうと信じている。1万人もの新たな顧客を得て彼らがより多くアクセスできるようにすることで、このディールは2500億ドルから5000億ドルとヘルスケアにおけるMicrosoftの総獲得可能市場の二倍になると期待されている。これらの新たな顧客には世界最大のヘルスケアの組織が含まれている。


データとプライバシーの問題

このような大幅な新たな顧客の流入は多大な量のデータをもたらしてくれるだろう。Microsoftにとって、データが多いほうが良い。AIクラウドにおいてより多くのデータがあることでシステムは学習し改善されるが、今日ではプライバシーに関する懸念が大きいのでかなり慎重に管理しなければならない。

「この動きがもつ潜在的力はかなり大きいが、そこからくるデータと洞察が守られ保証されて初めて実現されるものである。ハッカーだけでなく非道徳的な使用からも守られなければならない。どちらもこの革新的な動きを妨げかねないからである」

Brent Leary(CRM Essentialsの創設者、TechCrunchのインタビューにて)

もしうまく対処できれば、これはMicrosoftにとって転換点になりうるだろう。このディールの主な焦点はヘルスケアのコンピューティングスペースの管理ではあるが、Microsoftの世界規模とNuanceのヘルスケア以外のいろんな業界での存在感のおかげで、結果としてシステムはいろんな恩恵を得られる可能性がある。

今年の後半に締結されるこのディールの発表では、Microsoftが払う一株当たりの額が56ドルと4月9日の終値の23%の割高になることが明らかにされた。このディールはすべて現金決済になる模様で、トータルで197億ドルの価値に達するという。



【Internet Bull Report】
海外の経済ビジネス情報サイト。世界中のいろんな企業の経営状況や財務状況の情報など。
URL; https://internetbullreport.com/

翻訳記事;”Microsoft and Nuance Acquisition for $19.7 Billion

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