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リテールテインメントによる小売業界3つのアプローチ


利便性の先へ、OMO時代のアミューズメントショッピングへの挑戦 ~リテールテインメント(=リテール×エンタテインメント)が作りだす小売業界の3つの選ばれるためのマーケティングアプローチ~


こんにちは、片山と申します!当社では、広報や商品開発・新規事業やアライアンスの管掌取締役をしております。

前回記事では、我々の会社を簡単にご紹介させていただきました。
今回からは順次、当社での事例やナレッジなどをテーマに沿ってややゆるめにシェアしてまいります。

今回記事では、表題のリテール*領域でのエンタテインメントをマーケティングや販促活動へ活用するアプローチについてお話いたします。
*リテール=個人または中小事業者向けの小売



背景にある課題


当社は、非常にざっくり申し上げるとエンタテインメントを企業のマーケティングや新規事業開発、デジタルトランスフォーメーション(=DX)など様々な課題解決へ役立てていこうという会社ですが、小売業界、または小売へ商品を卸しているメーカーの方々からのご相談を多数いただいております。

事業内容(図をクリックすると当社の事業内容紹介ページが開きます)

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ご相談のきっかけは、
・当社のゲーミフィケーションにご興味がある
・マーケティングや販促施策に関するご相談
・ECのUI/UX改善
……など様々なのですが、抽象度を上げていくと同じ課題に行きつきます。

簡潔に申し上げると「どうしたら自社が選ばれて買ってもらえるのか?」ということです。

なぜこの話に行きつくのかというと、小売の変数はいうまでもなく、
売上=店舗顧客数×客単価(=選択商品数×商品単価)×来店頻度
ですが、この3つの変数は商品単価以外は、
全て「お客様から選ばれる」ことで増える変数です。

開始早々、当然のことを言っていてやや恥ずかしいのですが、この変数をどう引き上げるかに大事な店舗売上がかかっているにも関わらず、選ぶ手段の幅が極めて少ない環境にあるのです。



選ばれるためになぜエンタテインメントなのか


前項でふれた選ばれるための変数や内容をもう少し列記して、ブレークダウンしていきます。
小売店舗の経営・運営の上でよく取られている王道的な施策や重要な変数として、以下の6つがあると考えています。

「立地」は不動産で良い場所または地方では広範囲な駐車スペースが取れるかなど店舗ビジネスにおいて最重要です。しかし、資金力はもちろんのこと、一度買うと簡単に移転を頻発できるようなカードではありません。

ECなどでインターネットでの「立地」をよくするためにはSEO/LPO/ASOといった最適化行動や、楽天やアマゾンなどの大手モールに出店する、もしくはそこと戦う、戦うならどう入っていくかを検討する必要性が出てきます。

「棚」「キー商品」「店舗内加工品」は工夫できると思いますが、仕入れや入荷リスクもありつつ、企画棚(試食品やセット販売、POPなど)は常に入れ替えて施策展開しないとマンネリ化しやすいでしょう。

「接客や従業員教育や採用」も非常に大切ではありますが、店員さんが好きだからお客様が行くというレベルまで接客できるようになるまでは大変なコスト(お金以外も)がかかります。

「販促活動」はチラシやカード、アプリ、WEB、決済手段多様化なども、必要条件としてやっていて当たり前の施策になってきていて、むしろやっていない方がマイナスになる恐れがあります。
クーポンやポイント、値引きといった割引施策も同様だと思いますが、高級ブランド推しの企業様やテナントのある売り場にとってはブランドイメージを下げうるもろ刃の剣になってしまうでしょう。

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つまり、実は外部要因や左脳的にできることなら、全部企業様の努力でできてしまうことになっていて、上記の変数が提供する価値は「利便性」です。
従来通りこれらはもちろん大切にしながら、さらに上を目指したい事業者さんの中では、選ばれるために新しいアプローチが重要になってきているというわけです。

その手段として、感情価値や独自の差別化を図りやすい、エンタテインメントを活かしたアプローチで店舗に体験価値をインストールすることがお客様に選ばれるということではないかと思っています。
繰り返しますが、これらの施策は非常に大切で、上記を実施することはむしろ必須に近いです。その上で、更に差別化をしていくためにエンタテインメントが必要であるということです。

ここ数年で勃興しているD2Cのような製造から販売まで一気通貫で手掛けているサプライチェーンを独自化している会社は商品から売り場まで全てが選択要因になっているので、ファンがつけばビジネスにはなります。
一方、最初のマーケティング的な踏み込みとブランディング施策がとても重要になっている業界にも前述の「エンタテインメントを活かしたアプローチで店舗に体験価値をインストールすること」がお客様の選択要因になると言えるのではないかと思っています。



アプローチ


では、実際にエンタテインメントを活かして、具体的にどういったことができるのでしょうか?
施策ベースで大きく3つのアプローチを今回はご紹介いたします。

① 既存施策へのゲーミフィケーションの取り入れ

まず1つ目は、既存施策に仕組みとしてゲーミフィケーションを取り入れる方法です。


例えばクーポンにステップアップリワードを組み込んだり、毎日来るとポイントが変わったり、ちょっとした確率変動の仕組みをいれるなど、今実施がすでにされているマーケティング・販促活動へゲームの仕組みを取り入れることで、お客様への施策接触率や継続率を高めていきます。


当社の簡単にゲームを組み合わせて来店や購入を促進させる施策ができるGameBoxや、人気キャラクターと組み合わせたデジタルARスタンプラリーの仕組みはそれにあたります。
店舗にチェックインすると進むゲームやARコンテンツの提供、ゲーム内からクーポンを出すなどエンタテインメントのチャネルと実店舗施策を最初から組み合わせた仕組みを保有しています。


全国チェーンなど平準化してオールターゲットな場合はこういったアプローチがオペレーション的な負荷も低くなり有効に作用するでしょう。


② 体験をどちらかにのみ組み込む

続いては、デジタルとリアルどちらかにのみ、特徴的なエンタテインメント体験を新規に組み込むアプローチです。
店頭でだけできるアミューズメント体験型施策や特徴的な付帯サービスまたは展示をしたり、反面、アプリにだけ店頭にはない特殊なレクリエーションを入れたりします。


海外ではこの②の方向性でチャネル戦略を組み立てる企業が爆増しています。シリコンバレー発の海外で有名なガジェットショップ「b8ta(ベータ)」は、店舗では実際の商品体験やデモンストレーションのみに特化させていて、購買はスマホから行うようになっています。最近ではハイブランドのドルチェ&ガッバーナがARの仕組みでサイネージアートと掛け合わせたポップアップストアをオープンした施策も話題になっています。


上記のように申し上げると、非常に新しく感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、歴史で言えばデパートやショッピングモールで、屋上フロアにゲームセンターや様々な催事の誘致をするときから変わっていないアプローチです。


コストはかかりますが、ハイブランドやD2Cなど一定以上のブランド世界観ができていたり、ショッピングモールなどターゲット像とその導線や動きのイメージが確立しているところで強い効力を発揮していきます。
ちなみにこういった没入体験があるエンタテインメントはリアルとデジタルの両方に入れることはしません。本来のボリュームゾーンである純粋にお買い物が目的のお客様には煩雑に映るためです。こうしたエンタテインメント体験とシンプルな購買導線の両立が重要であるということです。


③ 非金銭インセンティブ

最後はインセンティブをお金ではない物やデジタルで用意する方法です。
例えば、スタンプラリーの景品や、有名キャラクターとのコラボレーションもこれにあたるでしょう。回遊や再購入、来店目的そのものへエンタテインメント体験を入れてお金ではなく「体験で釣る」仕組みを入れます。昨今話題になっている権利をデジタル上で保存できるNFTの仕組みも役に立つでしょう。


ゲーミフィケーションのイベント設計の世界には「上級者接待」という仕組みが存在します。こうした施策は、ブランドメッセージやターゲットと一気通貫な設計ができれば、そのエンタテインメント体験にはまったお客様を更にファンにしつつ、本来からそのお店が好きな方に更に好きになってもらうことができます。
クーポンや割引のバラマキが有効ではない高額商品店舗や、コストや定価保持観点からやりにくいセレクトショップなどの企業様、こういった非経済インセンティブに反応が高い若年層などをターゲットにしている店舗では有効でしょう。


施策ベースのアプローチまとめ

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この3つのアプローチの共通点は、記事タイトルにあるOMOのリアルとデジタルの境界を意識しない考え方を前提に、エンタテインメント業界やアミューズメントビジネスでメインになっている体験を、その店舗体験に適切に切り取ってインストールしていくことで、「選ばれる」理由をブランドに紐づけて創り出すということです。


リテール市場は卸値や希望小売価格というコスト制約があり、かつマーケットが非常に成熟しています。
その中で他と差別化するには、お客様が商品を買いに来る目的を達成してもらう効率性や利便性は大事にしつつ、楽しさなど感情価値をつくって来てもらう理由を創出します。さらに、「選ばれる」ために興味・関心検討または再訪といった購買と認知から最終的なファン化までの中間的なファネルを厚くして、LTVを高めていくことが求められているということです。


終わりにSEGA XDのリテールへの取り組み


当社は来月でちょうど6期目になりますが、従来から小売事業者様またはそこに商品や筐体を卸すメーカーの事業者様、付帯サービスや機能を担う金融・ECの事業者様からのご相談を多数いただいてまいりました。

そういった背景も含めて、我々も更に研鑽を重ねるべく、今年3月には、オイシックス・ラ・大地にて、COCOを務められている奥谷さんにも当社のアドバイザーに入っていただきました。


昨今では、イオン銀行などを運営するイオンフィナンシャルサービス様の若年層向けのeスポーツ大会の監修などもさせていただいております。

今回書かせていただいたテーマの背景には昨今の新型コロナウイルス感染症対策による社会環境変化がもたらす購買への考え方の変化もありますが、コロナ禍が終わっても、こういった要素は今後更に重要視され続けるのではないかと考えております。

我々の発想力や企画力がリテール事業者様の売り場や購入体験価値の向上へ少しでも貢献出来たらと存じます。

ご相談がございましたらぜひブレストからお気軽にご一緒させていただけましたら幸いです。

お問い合わせはこちら


ありがとうございました。



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