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日記 2024.03.22(金)

旅7日目。明日の午前0時台の便で日本に帰るので、実質最終日。朝5時に起き6時に出かけた。ビーチに向かう。日の出から間も無いこの時間帯だが、既に多くの地元の方々で賑わっていた。みなさん早起き。海水浴を楽しむ人、筋トレをする人、グループで音楽に合わせて踊る人。集まる世代に小さな子供はいないものの、若者から高齢者までさまざまだ。10代後半と思えるグループが早朝から海水浴を楽しむ様子に驚いた。友達同士で朝6時前後に集まるという話は、日本では日常であまり聞かない。砂浜を時折バイクが通り過ぎる。人それぞれの活動が朝日に照らされ、絵になる美しい光景だった。
早朝であってもビーチ際のオープンカフェが営業していて、近隣の人々がお茶を飲みながら語らっていた。ダナンには朝方の人が多いのだろうか。ミーケビーチは、ダナンに暮らす人々にとっての公園なのだと思う。ニューヨークにとってのセントラルパーク、東京にとっての日比谷公園や代々木公園のようだと思った。
イベント設営の準備もされていた。ダナン国際マラソンと書かれている。まだそこまで暑くない時期とはいえ、この気候でのマラソンはなかなか堪えそう。

ホテルに戻る。夕方くらいにスパの予約を入れている以外は計画が無い。検索するとドラゴンブリッジの火炎噴射+水流噴射に間に合いそう。チェックアウト以降にスーツケースをホテルに預かってもらえないか、受付に申し入れる。スタッフさんは快諾してくれた。

チェックアウト時間を最大限遅めの12時前とし、午前中はホテルの近くで土産屋とカフェを巡る事にした。妻は、まず初めに2日前にぼったくられた店に行くと宣言した。本当はいくらで売られているかを確かめ、場合によっては翻訳アプリを駆使して一言物申すとのこと。五行山でマインドフルネスな状態になった身としては、過ぎ去った事ではなく別の事に残りの時間を使いたい。その間はカフェで過ごさせてもらうことにした。

徒歩数分で件の土産屋につき、家族が店に入るところを見届けた。自分は途中にあったカフェに入る事にした。ダナンにはカフェが街の至るところにあり、大体が通りに面してオープンなつくりになっている。地元の人たちが語らっていたり、一人で佇んでいたりする。それを自分もやってみたかった。

店に入ると客席に佇んでいた女性が立ち上がった。彼女が店員だった。この旅では、店員が休憩している様子によく出会す。客の前で食事をしていることさえある。コーヒーを一杯注文するとサーブされたのはエスプレッソ。店にもよるのだろうが、この旅行中カフェでスタンダードなコーヒーを頼むとエスプレッソであることが多かった。

土産屋にいた妻から、終わったから合流すると連絡が入る。思っていたより早い。到着してから話を聞く。結果、端数のズレはあるものの、ぼったくられた訳ではなかった。ただしそもそもの値付けが高い、とのこと。高い買物をしてしまったがモヤモヤは晴れたようで安心した。

その後近くで土産向けのチョコレート屋で買物をし、ホテルに戻る。母への土産のスタンダードなチョコと自分用トウガラシ入りチョコ。チェックアウトしてスーツケースを預け、また出かける。

最後の昼食は、ホテル近くのコムタム屋で取った。豚の焼肉載せワンプレートご飯。コムガーだと思って利用したのだけれど、美味しかったしベトナムで食べた料理の種類が増えたので良し。

スーパーに入った。レジに店員がいない。と思ったら店の隅の方で食事中だった。スタッフ用の控室みたいな場所はないのだろうか。素朴に疑問に思う。
カフェへ移動。昼からビール。氷要りますか?と聞かれ、躊躇せずグラスと共にいただきビールを注ぐ。お腹を壊す心配はしなくなった。

またミーケビーチへ行く。リクライニングベンチに座り、休憩。波が高い。観光客っぽい人が多く、地元の人は少ない。朝と夕方以外は、地元の方々は仕事や学校に行っているだろうし、涼しい時間帯に海を楽しむのだろう。

予約していたスパへ。飛行機に乗る前にマッサージを受けるのは正解だったと思う。とても上質なサービスと空間だった。

夕飯はブンチャーカーという麺料理。魚やツミレが入っている。あっさりしていて胃に優しい感じ。店のおじさんは自分と妻の料理を間違えたり、会計時に少しばかり多くおつりをくれたりした。大らかだ。

最後に観に行くものまで時間があったので、小一時間カフェで休憩。交差点の角にありオープンな作りなので、車やバイクの往来を眺めた。公共交通機関が殆ど無いので、交通量は日本と比較にならないほど多い。バイクは二人乗り、三人乗りもよく見かけた。お父さん、お母さん、子ども2人という四人乗りもたまに通りかかる。四つ葉のクローバーより発見しやすい頻度。犬が乗っているケースもある。
渋谷のハチ公前のスクランブル交差点や品川駅港南口の通路を見た外国人観光客が、写真を撮る様子を思い出す。何が面白いのか疑問に思っていた。今ならその気持ちがよく分かる。そんな話を妻とした。

カフェを出て、タクシーでドラゴンブリッジことロン橋へ向かう。龍の頭を模した橋の袂は広場になっているのだが、人だかりが生じている。屋台が並んでおり、イスやテーブルを用意していた。飲み物を買って使わせてもらう。近くにいた観光客の60代くらいと見えるラテン系言語圏のおじさんが、翻訳アプリを駆使して地元の若者とコミュニケーションを取っていた。自分の家族の写真を見せていて、若者が「え〜、かわいいじゃん!」みたいな事を言っていた気がする。落ち着きの無いおじさんではあったが、素直に感心した。

午後9時、龍は火炎を噴いた。歓声が沸く。70〜80m離れた場所にいたが熱が伝わってくる。この距離でこの熱さだから、戦争ってやはりとんでもないことだね、と妻が言う。
数回火を吹いた後、今度は水を噴き出した。真下にいたらずぶ濡れだろう。盛り上がりは高まるばかり。

15分程で荒れ狂う龍の演出は終わった。毎週、金・土・日にこれをやっているらしい。発展目覚ましい昇り龍の国は、やる事が違う。ウチの国では何ができるだろう。墨田区のアサヒビール本社の黄色いオブジェから湯気に見立てた立ち込めるミストを…というどうしようもない思い付きだけ浮かんだ。

火炎と水流が終わると花火大会終了後の様相だった。徒歩以外の交通手段はタクシーしか無い。Grabで車を呼んでみたが、なかなか来ない。混雑していて運転手と電話しても相手が見つからない。キャンセルせざるを得なかった。その傍らで、白タク運転手が自分の車に乗らないかと話しかけてくる。俺はGrabで使う車を決めている、と伝えてもしつこく話しかけてくる。終いには妻が日本語で怒鳴りつけ、すごすごと白タク運転手は去っていった。

Grabで次のタクシーを捕まえた。乗るポイントへ行くには、往来の激しい車道を渡る必要がある。まごまごしていると、然も当然の如く渡ろうとする地元民がいる。彼らに付いて道路を横断する。赤信号、みんなで渡れば怖くない、という標語を思い出した。それにしても、何故あんなにするりと車道を渡れるのだろうか。

タクシーになんとか乗り込み、ホテルへ到着。預けた荷物を受け取り、今度は空港へ向かうタクシーを呼ぶ。待っている間、ホテルのスタッフに、ダナンはいかがでしたか?と聞かれた。とても良かったです、食事も風景もとても良かったし、人は親切だし、と拙い英語で答えた。ぼったくりの事は思い出さなかった。

タクシーに乗って15分程度で空港に着く。こんなに空港と街が近い大都市は、日本だと福岡くらいだろうか。街中で飛行機の存在は気にならなかった。バイクや車に音をかき消されていたのだろうか。

空港に辿り着くと22時頃にも関わらず多くの人だかり。最後の最後まで熱量の高い国だと感じる。たまたま自分たちが使う航空会社のカウンターの列は空いていたが、手続きを済ませて10分後くらいに長蛇の列が生じていた。間一髪。検査を抜けた後の土産屋や飲食店は、この時間で一つも閉まっていなかった。こういうところに国の勢いを感じる。

駄文ですが何卒よろしくお願いします