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日記 2024.03.21(木)

旅6日目。五行山と呼ばれるダナン市内の景勝地に向かった。Grabを利用。今のところ、出会う運転手はみんな感じの良い人。少し手前のところで「ここで良いですよ」と言ったら、「いやいやもう少し先だよ」とアプリで共有した位置まで律儀に走ってくれた。値段は変わらないのにも関わらず。Grabが運転手を評価する仕組みを持っているからかもしれないけれど。

5つある山のうち、最も大きいトゥイソン山が景勝地になっている。別名マーブルマウンテン。その名の通り、大理石でできている。近くには、大理石製の白い石像が並ぶ石材加工屋が多い。丁場は今もこの辺りなのだろうか。帰ってから調べよう。

チケットは洞窟の入場用、山の入場用、エレベーター用に分かれていた事を知らず少し戸惑ったが、全てを買って一通り見学する事にした。巨大な岩山に穿たれた洞窟は、ゴシック教会のように垂直方向の広がりを感じる空間だった。地獄は恐ろしいところなのだと伝えるゾーンがあったりする。洞窟からかなりの急勾配の階段を登っていく場所があったが、物理的に安全第一で行きたいので諦める。重要な意味を持つと思われる文字が彫り込まれた大きな碑があったが、縁に電飾が施されている。間接照明ではなく、光源を見せるタイプの照明。寺や史跡であっても躊躇なく電飾されていることに、文化の違いを感じた。

次はエレベーターに乗り山に登る。歩いても良いが時短することを選んだ。徒歩の道は帰りに通ることにする。マーブルマウンテンだけあって、お堂や舗装、階段に大理石が用いられている。石像も置かれていた。蓮華座を組んだ仏像を囲み、弟子に見える僧侶や鹿の像も置かれている。像が複数置かれると、ストーリーが見えてきて面白い。説法をしている最中というシーンが浮かぶ。

階段は滑りそうで気を付けて歩いた。大理石の階段の踏面や舗装に、ところどころビシャン仕上げが施されていた。滑り止めという純然たる機能を実装するためのビシャン。清々しい。
エレベーターである程度登ったとはいえ、歩き甲斐のある道のりだった。階段の蹴上高さを指尺で測ると、250mm以上はある。じわじわと脚の筋肉に負荷がかかる。

道中、親戚にそっくりな人を見かけた。何故ここでツアーガイドをしているのかと、一瞬思う程。外国人を相手に解説をしているベトナムの方であった。この日以外にも、友人、知人に似ている地元の方をこの旅行中に見かけた。

さらに歩くと休憩コーナーと売店があった。お寺もある道すがらだが、売店にはビールも売っていた。初めは少し躊躇いを感じたが、2つ目に見つけた際には思わず買った。しっかりトレッキングしたので、しばし休憩。

更にその先に向かうと巨大な洞窟があった。上部に穴が空いていて、天空から差し込む光が二筋三筋見える。お堂が2つ。突き当たりに祭壇と仏像。思わず写真を撮りつつも、神秘的な光景に、えも言われぬ気持ちになる。しばらくして、仏像の前で賽銭をして、手を合わせる。そうしたくなる場の力がここにはある。目を瞑ると、頭と心がじんわりとしてくる。寺社仏閣へ参拝する時に願い事をよくするが、ここでは個人的な願望が出てこなかった。言語化されない祈りのようなものを、自ずと実践した気がする。これが瞑想というものだろうか。

ガイドブックでこの山をパワースポットだと書かれているのを読んだが、そういう言葉で済ませない特別な何かがある気がした。光の筋を生み出す洞窟上部の穴は、ベトナム戦争の爆撃によって生まれたものだと読んだ。悲しい歴史が引き金にはなっているが、それよりもずっと昔から祈りの場として生きてきたことと相まっていると思う。

離れるのが名残惜しかったが先に進む。いくつかのお堂。鉢に植えられたアデニウムの花が綺麗だった。展望台から見える五行山の他4つ。平地に突如表出しているのが分かる。ブラタモリのような地質学的解説を聞きたい。従兄に似ていたあのガイドさんは知っているのだろう。展望台からは、トゥイソン山の崖からプルメリアの木が生えているのが見えた。写真と共にSNSに挙げたら、他の国でも似た環境に生育しているのを見たと教えてもらった。乾燥に強く浅根性という仮説を伺い、確かにそうかもと思う。

ホイアン、フエ、ダナンで史跡を見てきたが、ドラゴンボールに出てきそうな建物が多いよねと家族と話す。悟空が大人になる前、初期のストーリーの世界観を感じる。

山を降りると昼時だった。近くの食堂で昼食をとることにした。前日に学び、店先に価格表記入りのメニュー表を置いてある店を選ぶ。家庭的な雰囲気で感じの良い店だった。

ホテルに帰り、一息ついてから歩いてスーパーマーケットに行く事にした。生鮮コーナーでは、生簀があったり、肉が大きな塊で売られている。とても新鮮で美味しそうに見えた。コーヒー試飲コーナーのスタッフのやる気の高さには、目を見張るものがある。試飲はプロセスであって目的は販売であることを、二十歳くらいに見える若い店員が認識している。酒コーナーで地元の中学生らしき男子たちがはしゃいでいて、警備員が目を尖らせていた。土産や部屋で飲みたいビールを、共に買ったショップバッグに詰めてホテルに帰る。帰宅ラッシュのバイクの往来に注意して歩いた。

夕食もホテル近くの徒歩圏内の店で食べた。観光客や若い家族、カップルの多い洒落た店。料理も美味しかった。この界隈にはオシャレな店が多いかもしれない。

駄文ですが何卒よろしくお願いします