「アナウンサーみたいな発音」は善か悪か
X(旧ツイッター)の中国語学界隈の方々を注意深く見て見ると分かること。
それは日本人にもかかわらず、中国語の発音も話す語彙もネイティブ並みに超ハイスペックなレベルを持ち合わせている人たちがごろごろいるということです。
ただその中でも一部の人たちは、中国語の発音が良すぎて「アナウンサーみたい」との印象を持たれ、それが悩みになっている人もいるみたいです。
このような「印象」はやはり、ネイティブの「普通話」に対する「意識」に起因するところが大きいと私は思っています。
実はわれわれが勉強している「普通話」は、中国に古くから存在する言葉ではありません。中国4000年の歴史の中で、中国語はさまざまな進化を遂げ、各地方にも地方色豊かな方言がうまれました。
古代ではお互いの行き来がそれほど多くなかったため、それほど意識されなかったのですが、新中国になり、中華の意識の統一の必要性が出てきたとき、「中国人民みんなが理解できる言葉を作ろう」という機運が高まりました。そこで、北方の言語を元に新中国以降の中共政権が作ったのが「普通話」なのです。つまりは「人造語」だということになります。
ちなみに、、中国大陸でいう「普通話」の元になるのは北京語ではなく、河北省承徳市灤平県(らんへい県)の方言を元にしているらしいです。(wiki参照)
「普通話は人造語」ということは、どういうことか。
つまり「人造」であることからして、「普通話」は国内のさまざまな相手に対し、気持ちを伝えるというよりも、言いたいことを伝える道具として使うことを前提としてつくられたものだったということでしょう(当初)。
そして、その最たるものが「アナウンサーの発音」だとも言えると思います。アナウンサーは自分の感情を伝える必要はなく、ニュースの原稿に書いてある内容を伝えることが目的なのですから。
一方で初級、中級の時は「アナウンサーの発音を参考にするように」とみっちり教えられるのも確かです。その考えが間違っているとは私は思いません。
だからこそ初級中級のうちは、ラジオやテレビ、教材を使って「正しい中国語」をしっかりと身に着けるべきでしょう。
しかし中級から上級になって発音の基礎が遜色ないものとなり、机上の座学から「外に出て中国語ネイティブと交流し、付き合う際のツール」として普通話を使うとなったとき、たぶん多くの人は中国語ネイティブの全員が全員アナウンサーみたいな発音で普通話をしゃべるのではないということに気づくことになるでしょう。そしてもっと言うならば、このアナウンサーみたいな発音がかえってあだとなり「冷たい印象」を与えてしまう可能性もあるのです。
このようなことを避けるにはどうすればいいのか。やはり私が前々から言っているように、中国語ネイティブとの交流、中国(または中華圏)での旅行、生活などのふれあいを通じて、「中国語の経験値」をしっかりと高めていくしかありません。「機械的なアナウンサー」の発音ではなく、巷で中国語ネイティブが話す「普通話」はさまざまな特徴があることが分かるでしょう。そこから、自分の普通話の発音を「自分色」に染めていけば、自然と中国語ネイティブに「アナウンサーみたいな発音」といわれることはなくなるはずです。
外国語の学習は機械や数字を相手にするのではありません。相手との意思疎通、コミュニケーションが最終目標であるべきです。「中級から上級」への脱却に悩んでいる方は「まずネイティブと話す」ことを心がけてみるべきではないでしょうか。
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