日本語の強調表現
中日翻訳、日中翻訳共に、中国語の知識とともに日本語の知識を持っておくことは非常に大切です。だからこそ私は、ここ数回の「note」について、日本語独特の表現についてもスポットを当てるようにしています。
そこで今回は、知っておきたい日本語の強調表現について見ていきたいと思います。
みなさんは日本語の文を書くとき、強調表現としてどのような用法を思い浮かべますか。ちなみに、ここで私が言う「強調表現」とは、「文中で、ある文字、語句を読者に強く主張したい時に使用される表現」を指します。
私は日本語における一番手っ取り早い強調表現は、強調したい語句を最後に持ってくる手法だと考えます。
例文を出して解説してみましょう。
なんの変哲もない文ですね。今回はこの例文を使ってみたいと思います。皆さんに解説するため、便宜上例文を文節ごとにスラッシュで分けてみました。
では文節ごとに強調したい文を作ってみましょう。例えば「私」を読者に強調したい場合はこういう文が作ることができます。
では「学校」を強調したいときはどうでしょうか。文を作ってみましょう。
「昨日」を強調した文はこうなります。
どうでしょうか。最後に置いた語句がとりわけ強調される表現になったと思います。もちろん、日本語という言語は文節を置く順番については、比較的柔軟にすることが認められています。ですから、「私だ。/昨日/学校に/行ったのは」といったような倒置法的使い方もあるでしょう。でもこの「~のは~だ」表現が一番手っ取り早く一般的だと言えます。
最後に動詞の「行った」の強調表現ですが、この動詞だけ少し工夫をする必要があります。なぜなら、「行った」という動詞は元から、文末に置くことが一般的だからです。一般的な処理の仕方は次の通りでしょう。
◇◇
一方で中国語における強調表現はどうでしょうか。この日本語の「~のは~だ」表現に対応する、もっとも一般的なのは「是~的」文型ではないかと思います。
このように「是~的」文型が出てきたら、中→日翻訳者は「文中で筆者がどの語句を強く主張したいのか」を素早く理解し、強く主張したい語句を一番後に持ってくる癖をつけると的確な訳文を構築することができるでしょう。
ただ覚えておきたいのは、中国語の強調表現はすべて『是~的』だとは限りらないということです。「是~的」の文型が出てきたら、とりあえず強調表現だと理解した構いませんが、中国メディアのニュース記事を読んでいると、「是~的」の文型ではなくても、前後の文章の意味から、「筆者はこの語句を強く主張したいのだな」と感じるケースが多々あります。
そのような文章を翻訳する際には、ぜひ、当「note」の「日本語の強調表現」の手法を活用していただければと思います。