音楽の話（２）

ところが最近、私の中のこのルールを破る曲に出会ってしまった。
AJRのInertiaという曲である。
今まではきっかけとなる事象があって曲を聴きたくなっていたが、この曲に出会ってから、自分の中に「Inertia聴きたい！」という感情ができたようにも感じる。

「この曲のどこが、どういいのか」について書いてみる。私は日本人であるため、初めて聴く海外アーティストの曲の歌詞は基本わからない。メロディーが気に入って何度か聴いていくと歌詞が段々わかるようになり、歌詞がよければもっと好きになる。Inertiaも概ねこの順番で好きになった。まずメロディーが素晴らしいのだ。時計がチクタクと動いているような、からくり人形がぎこちなく回っているような、そういったイントロをしている。AJRは多くの曲にコーラスを入れているが、Inertiaのコーラスもとても好きだ。メロディーに脱力感があってリラックスできる。

　そしてInertiaは歌詞も素晴らしい。Inertiaは「慣性」という意味であり、この曲では転じて「怠惰なやつ」という意味で使われている。大学に入ったはいいものの何をするでもなくぐだぐだ過ごしている私には刺さる言葉である。
I've worn the same skinny jeans 
Since I was 15, it's probably nothing
(Inertia) my friends say they're quitting this week
To chase down their dreams, they're probably bluffing, but

15の頃から同じスキニーを履いている。
別に特段好きなわけではないが。
友人は夢を追うために今週仕事を辞めるらしい。
どうせ見栄を張っているだけだろうが。

自分は全く成長していないから友人が夢に向かって頑張ることを素直に応援できていない精神の幼稚さが現れている。正直私もこう思うことが多い。自分は今も幼稚なままだし、周りの優秀な友人のことを妬ましく思うことも多々ある。彼らに追いつこうと努力するでもなく、半ば諦めて目先の楽しみに飛びついてしまっている。

Don't you like it a bigger, better?
But you do what you can (do what you can)
Don't you like it a little better
When you don't understand?
I was gonna save the planet 
But today I got a plan
I guess this is just what I am

もっと大きくて、立派になりたいんだろ？
でもお前はできることをやってるじゃないか。
夢がわからないなら、少しでもましな方がいいよな？
昔から地球を救うつもりだったけど、今日計画をたてたんだ
俺は結局この程度の人間なんだ

偉大な人物になりたい、でかいことを成し遂げたい、といった漠然とした夢はあるものの、何をしていいかわからず、結局その時できることしかやらない。私も同じだ。なんとなく魚を仕事にできればいいかなとは思っているが研究者になるのか、水族館の飼育員か、そんなことは何も考えていない。魚は趣味でもいいかな、と思ってしまう時もある。でもそうしたら何を仕事にするのか？結局自分は何がしたいんだろう？（続く）