【牧師エッセイ】言葉にすることがあなたの背中を押す

クリスマスにプレゼントを携えてやってくるサンタクロースは、元々カトリック教会の聖人・聖ニコラウスから来ていると言われています。

聖ニコラウスが司教として働いていたころ、ある家族が大変貧しく年を越すのも難しいということで、娘たちを身売りに出そうとしていました。
そのことを知った聖ニコラウスが煙突から金貨を投げ入れたことで、一家が救われたという話が残されています。
この話から「聖(セイント)ニコラウス」がなまって「サンタクロース」というキャラクターが生まれ、当時聖ニコラウスが赤い司祭服を着ていたことから、私たちが良く知るあの姿になったのです。

また、ドイツの伝統的なクリスマスでは、この聖ニコラウスと共に、クネヒト・ループレヒトという黒い服を着た従者がやってきます。
この従者は、子どもたちに「ちゃんとお祈りできるか」と尋ね、はいと答えた子どもには聖ニコラウスからのプレゼントを渡す反面、いいえと答えると、手に持った灰袋で叩かれてしまうのです。

たとえ不真面目な子であったとしても、子どもたちはプレゼントを貰いたいので「はい」と答えるように思えるかもしれませんが、プレゼントを得るために自分から「お祈りできます」と言葉にした経験が、だんだんとその子を祈りに向かわせる、ということがあるのだそうです。

このループレヒトの問いかけとは、子どもたちが自ら言葉にし、口に出させることによって、あるべき姿へと向かわせる力を持っていると言えるでしょう。

これは神様への信仰においても同じことが言えるのではないでしょうか。
キリストを通して教えられていることは、私たちにとって従うことの難しいものも多くあるように感じるかもしれません。
しかしそれでも「あなたを信じます」という信仰告白の言葉から始めることによって、私たちもまた少しずつ、聖ニコラウスのように悩む人に愛をもって手を差し伸べる者として変えられていくのです。


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