最新号から岡野大嗣さん・木下龍也さんインタビューの未公開部分をご紹介!②

こんにちは、Seel編集部です!

最新号Vol.34「現代短歌」では、歌人の岡野大嗣さん・木下龍也さんにインタビューを行いました。

今日の記事では、先日の岡野さんに引き続き、木下龍也さんのインタビューの未公開部分をご紹介します!


木下龍也さんインタビュー

【短歌を詠む際の手順はありますか】

パソコンをひらく→Wordをひらく→目を閉じて短歌を考える、が手順です。


【短歌を思いつかれるタイミングはいつでしょうか】

椅子に座ってパソコンの前でじっとしているときです。それかシャワーを浴びているとき。これだとあまり参考にならないですね。そういえば三上(さんじょう)という言葉があります。馬に乗っているとき、寝床に入っているとき、便所に入っているときが文章を考えるのに最も適した場面であるという意味なのですが、現代に置き換えると馬は電車や車ですかね。これらの場面に身を置いて短歌を考えている歌人は多いのではないでしょうか。


【字余りについてどのようにお考えですか?私たちのような初めて短歌を詠む人はどのような意識を持って字余りに触れればいいでしょうか】

妥協による音数超過と技法としての字余りは別だと考えます。前者は不可、後者は可。というのを自分には課していますが、他人に課すつもりはありません。5・7・5・7・7に収まってないとなんかもやもやするなと感じる型は収まるように推敲をすればいいと思います。ちなみに初句を7音とかしておけばこなれた感じを出せます。


【短歌のプロがいる中、一般人が気軽に短歌を詠んでいいものでしょうか?またもし短歌を詠む場合に一般人が意識するべきことはありますか】

あなたも僕も一般人です。あなたが短歌のプロだと思っている人も一般人です。気軽に短歌をつくってください。めんどくさいしがらみや重荷がないうちに。一首つくり終えた瞬間から歌人と名乗ってもいいと思います。意識するべきことはひとつ。この世でもっともおもしろい短歌をつくろうと思いながらつくってください。


【『玄関~』を読んでお二人の歌は同じような空気感の中でもどこか対称的に感じました。お二人はお互いの歌についてどのような印象を抱いていらっしゃいますか】

岡野さんの短歌は善という印象を受けることが多いです。『スター・ウォーズ』でいうと彼はジェダイの騎士で、僕はシスの暗黒卿です。僕の短歌から善という印象を受けることはほとんどないと思います。言葉というライトセーバーをふたりとも使っていて、戦術も似ているはずなのに、なぜこうなってしまったのでしょうか。


【初心者が短歌を詠む際のコツなどはありますか】
すぐに実践できるコツはたくさんありますから『天才による凡人のための短歌教室』にいらっしゃってください。不定期開催ですが、タイミングが合えばぜひ。


【『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』という作品集をお二人で出していらっしゃいますが、お互いに意識されていた点やルールなどはあったのでしょうか】

男子高校生ふたり、それぞれの人物設定。夏の7日間、1日ごとの場面設定。それらは編集者さんとの打ち合わせのもとであらかじめ決めておきました。それからできるだけたくさんの短歌をつくりましたが、最初の原稿が出来上がるまでは互いの短歌を見ないというルールがありました。互いの歌を見ながらつくると予定調和的な展開になってしまうためです。


【『玄関~』は装丁にもこだわりがあるように感じました。このアイデアはどのようにして生まれたのでしょうか】

装丁に関してはほとんど出版社であるナナロク社の村井光男さんの策略です。彼は策士です。


【木下さんの第二歌集『きみを嫌いな奴はクズだよ』を読みました。「十二枚切りのしょくぱんまん空を飛ぶとき顔が風に屈する」のようなユーモアのある作品と「ぼくたちが核ミサイルを見上げる日どうせ死ぬのに後ずさりして」のような暗めの作品とのギャップを感じましたが、違いを意識して詠んでいらっしゃるのですか?】

お読みいただきありがとうございます。思い返してみると自分の気分が暗いときはユーモアのある短歌を、自分の気分が明るいときは暗い歌をつくっているのではないかなと思います。


最新号Vol.34本編では、よりたくさんの内容で木下さんの世界観に迫っています!Seelは全国基本無料配送を行っておりますので配送希望の方はこちらのサイト下部のフォームからご依頼ください!(配送部数が著しく多い場合には、配送費は要相談とさせていただきます)