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ディスバイオーシスを熱く語りたい

noteを始めてからここまで、テーマがそれだから仕方ないのかもしれないが『ディスバイオーシス』という用語が何度も登場していました。一般の方には聞きなれない専門用語の濫用、申し訳ありません。
私にとっては2023年の流行語大賞最有力候補にノミネートされていて、たぶん2025年くらいには世に広く認知されていると期待している医学用語です。

というわけで、これまで「腸内フローラの乱れ」だと簡単に流してきたディスバイオーシスについて、そろそろ丁寧に説明してみたいと思います。
といっても難しくないように。私のインフォームドコンセントは《中学生に分かるように》を意識していますのでそのつもりで。


腸内フローラ(腸内細菌叢)とは何なのか

ディスバイオーシスが腸内フローラの乱れと言われても、そもそも腸内フローラが何か分からないと何がどう乱れているのかイメージが出来ないので、先に腸内フローラについてお話します。

人や犬猫といった哺乳類に限らず、鳥や魚、昆虫や寄生虫に至るまで、消化管(腸)をもつ生物にはその中に細菌が住んでいて、腸内細菌と呼ばれます。
腸内細菌はその住処である宿主とお互いにギブ&テイクの関係(=共生)であると同時に、地球に多種多様な生物がいるのと同じく、腸内細菌にもたくさんの種類があって、腸内細菌同士でもお互いに影響し合ってバランスを保つ、いわゆる生態系が成り立っています。
その多種多様な細菌の密集している様子が【お花畑(フローラ)】のように見えることから、『腸内フローラ』と呼ばれるようになりました。
腸内細菌叢も同じで、様々な腸内細菌の集まりのことです。

興和株式会社より画像引用

腸内細菌の役割

腸内細菌は宿主とギブ&テイクの関係といいましたが、具体的に何をギブしてくれているのでしょうか? いくつか紹介します。

・食物の分解や代謝を助ける
例えば人や犬猫は自分の消化酵素で食物繊維を分解することができません。食べた野菜がたまにそのまま排泄されることはありますが、通常は消化されて便になっていますね。それは腸内細菌が食物繊維を分解してくれているから。他にもオリゴ糖や脂肪の代謝でも腸内細菌がサポートしてくれています。

・有用物質を作る
腸内細菌が食物を分解・代謝する過程で、宿主に有用な物質を生み出すことがあります。有名どころはエクオールでしょうか、大豆イソフラボンが美容健康に良いと評判ですが、実際に有用なのはエクオールで、大豆イソフラボンから腸内細菌が作り出しているのです。ビタミン類を作る菌もいます。
乳酸菌は"乳酸を作る菌"でして、健康によいのは言わずもがなですね。

・免疫を整える
上記の乳酸菌以外にも、酢酸菌や酪酸菌と呼ばれる腸内細菌もいて、特に今注目されているのが『酪酸菌』です。酪酸菌が生み出す酪酸は、免疫細胞の過剰な反応を抑える、免疫の制御に関わっていることが分かり、アレルギーの緩和などに注目されています。
また腸内で発生する毒素を分解したり、腸粘膜と菌を隔てる粘液層(お城の堀をイメージしてください)を作ってバリア機能を高めたりもします。

・腸と他の臓器を通信する
腸脳相関とか腸腎連関って聞いたことありますか?腸と脳、あるいは腸と腎臓がお互いに影響し合っているという考え方です。
まだまだ研究の期間が短いため詳細は不明ですが、いくつか分かっていることは、脳の神経伝達物質であるドーパミンやセロトニンは腸内細菌が作っていることや、窒素老廃物(尿毒素)を分解する腸内細菌がいることなどです。血糖値を下げるインスリンの産生にも腸内細菌が関わっている報告がありますね。

ディスバイオーシスとは何か

ディスバイオーシスは英語でdysbiosisと表記されます。これは《悪化や不良》を意味する dys-と、《生命》を意味する-biosis を組み合わせた言葉で直訳すると《生命力の悪化》になります。
そう、dysbiosisは腸内フローラのバランスが崩れる事ですが、語源が生命の状態が良くない状態というのは本質をついているように思えますね。

腸内細菌が弱ることは、上記の腸内細菌の役割が得られなくなること。つまり、食べても消化や代謝ができなくなり、有用な栄養が供給されず、免疫のバランスが崩れ、臓器同士が協調しなくなるかもしれないのです。

現代人の不調とディスバイオーシス

実際に、現代人は腸内細菌の多様性が失われていると言われています。
多様性が失われるとは、菌の種類が減っているということです。いなくなった菌はビタミン、または酪酸、あるいはセロトニンを作る菌かもしれない。その場合、ビタミン不足で疲れやすかったり、酪酸が十分に働けず過剰な炎症が起こったり、セロトニンが少なくて不安を感じやすくなったりするのは想像に難くありません。
《生命力の悪化》というのは過言ではないようです。

これから世界中での研究報告がどんどん増えてきて、ディスバイオーシスと病気不調との関連が判明してくると思われますが、その間も菌の減少は続いていています。絶滅した動物が蘇らないのと同様、いなくなった菌の恩恵も取り戻せないかもしれません。

ディスバイオーシス、怖いですね。。

『財を残すは下 事業を残すは中 人を残すは上』

菌を残すのは、特上ではないでしょうか?

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