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化学グランプリ2次選考2014分析

化学グランプリの2次選考の分析です。
以前2023を紹介しましたが、同様に実施しやすそうな2014年のものを紹介します。

https://gp.csj.jp/media/common/gp2014-2Q.pdf

実験試料・機器について

高校の実験室レベルでも比較的簡単に行えますが、主に分光光度計がハードルになるでしょうか。

分光光度計
目視で色の濃さを見てもなんとなくはできますが、定量的にグラフ化して結合比を求めるという一番面白いところが雰囲気になってしまいます。

加熱槽
分かるようで、よく考えると正体不明のアイテム。時間はかかりましたが、湯煎で代用可能でした。
実験のプロトコルでは10分の加熱でしたが、100℃湯煎で30分加熱すればほぼ同様と思われる効果が得られました。

グリシン
例えば、amazonで売っているような市販の食品添加物レベルのものでもできました。(※これが特に良いかどうかは分かりません)

グリシンナトリウム水溶液
グリシンがあれば、グリシンと水酸化ナトリウムを中和させて作成できます。

その他試薬類
硫酸銅やアンモニア水など、汎用的な試薬で可能です。
コンパクト光学顕微鏡などもありましたが、普通の顕微鏡でも代用可能です。(カバーガラスをかけないので、高倍率観察時は注意!)

実験について

【実験1】グリシナト銅錯体組成の決定
本質的には2つの溶液が最もよく反応する=最も吸光度が濃いときのモル比を求める実験。具体的にどの混合比の実験をするかを自分で定める必要があるため、「全体の傾向をざっくり見る」→「特に見たいピーク周辺を詳しく見る」という感覚が必要

【実験2】グリシナト銅錯体の合成
実験操作としては、手早く書いている通りの操作を行う、ぐらいでしょうか。

【実験3】グリシナト銅錯体の性質と構造
顕微鏡による結晶の観察ですが、結晶をできるだけ薄くしないと観察しにくいです。また、1つ1つの結晶の形をよく観察しようと思うと、結晶の塊の端などを観察する必要があります。(むしろ生物での顕微鏡観察の経験があった方がよさそうですね)

問題について

【実験1】
吸光度、混合比、元素分析など、多少複雑ではあるが、難しくはない計算問題です。手早く行えればいいでしょう。
問2~問5(そして次の実験の問6)の中には実験結果の数字を使って行う計算もあるので、吸光度測定を慎重に行う必要があります。

【実験2】
問7では銅錯体の知識が必要(とはいえ、アンモニアで溶けるかどうか、水酸化ナトリウムで溶けるかどうかは、実験から観察可能)。
問8・9は超高校級問題。エネルギー準位や吸光スペクトルの問題。例のごとく説明はされているので、その場で理解して考えるパターンです。
なお、実際の試験では、実験2-1の最後に問8・9がありますが、次の実験2-2で待ち時間が10分×2回あります。問10以降は実験結果を見てからの問題になるので、問8・9は1回飛ばして、実験2-2の待ち時間に行うのが正解です。

【実験3】
問10 スケッチ力が試される。
問11~溶解度の違いを基に錯体の配位の仕方を考え、さらに今回観察しなかった錯体の廃位パターンも考える問題。溶解度と錯体の構造の関係に気付けるかが勝負。言われたら簡単でも少し気づきにくいような気もします。


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