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ダメダメな新モルカー・ドゥーフーちゃんがダメダメな私の心を掴んで離さない

初回放送からわずか3ヶ月で世界中の人々を心をモル掴みにしたストップモーションアニメシリーズ『PUI PUI モルカー』についてはもはや説明するまでもないでしょう。
今年10月からは教習所を舞台にした新シリーズ『PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL』も始まり、全世界を巻き込んだモルカー旋風はとどまるところを知らないどころか勢いを増す一方です。

新シリーズでは従来のキャラクターに加え、新キャラクターも多数登場します。外の世界を知らない純真無垢なペーターちゃん、食べ物につられない鋼鉄の意思を持つ野菜販売モルカー、ズタ袋を被ったことでアイデンティティを確立したシャーリー……かわいくて個性的なモルカーばかりが登場するので、毎週土曜日に配信される新作エピソードと随時更新される新キャラクター紹介が楽しみで仕方ありません。
特に土曜日のモルカーは「つらい1週間をなんとか生き延びた自分へのご褒美」も同然です。

さて、大きなお友達の私は基本的に箱推し派。強いて言うならポテト・ポンタ・テンテン&トントンあたりはグッズ優先度高めですが、それでも「モルカーはどの子もみんなかわいいから誰が一番なんて選べない!」というスタンスです。
しかし、その中でもついに「最推し」とまで言いたくなるほど私の心をモル掴みにしていったモルカーが登場しました。

それがこの子、ドゥーフーちゃん。
クレステッドモルモットのようにつむじの毛……もといふわふわの窓毛が特徴的なモルカーで、公式プロフィールによると鳥にも驚くほど繊細なハートの持ち主だそうです。

私が彼ないし彼女に心をモル掴みにされたのは、第8話『ダメダメなぼくら』が放送される4日前のこと。Twitterで公開された予告動画を見ただけで「ドゥーフーちゃん……ッ!!」とクソデカ感情がこみ上げてきて、昼食のカップ麺が喉を通らなくなったのを昨日のことのように覚えています。

そうして迎えた放送当日。Youtube等で見逃し配信が行われると同時に再生すると、ドゥーフーちゃんへのクソデカ感情は臨界点を突破しました。

予告にもあった通り、ドゥーフーちゃんはモル一倍臆病な落第生モルカーとして登場します。
車庫入れには失敗し、S字カーブでは脱輪しまくり、教習ビデオの内容に怯え、パニックのあまりドライビングスクールから逃げ出そうとする。その原因の半分は畜生氏(テディのドライバー)にあるとはいえ、モルカーの中でも特に臆病と称されるシロモ以上のビビりっぷりを本編開始からわずか2〜3秒で見せてくれます。

ドライビングスクールの落ちこぼれはドゥーフーちゃんだけではありません。モルカーと暮らすことを夢見るも、運転が壊滅的に下手という女性もその一人です。
車庫入れには失敗し、コースを逸脱して壁を走り、筆記試験も全部不合格。本作屈指のパワー&テクニックを有するひーちゃんも恐怖のあまり震え上がってしまうほどのすさまじいドライビングテクニックを見ると、緊張のあまりシートベルトをつけ忘れたままコースを半周したりクランクで3回ほど脱輪した私自身の仮免試験の恥ずかしい記憶が蘇ってきます。

みんなが当たり前にようにやっていることも上手くできない、ダメダメなモルカーとダメダメなドライバー。そんなダメダメなふたりに愚かで不器用でダメダメな自分を重ねてしまったが最後、もう涙無しには視聴できませんでした。
だからこそ似たもの同士のふたりが出会い、心を通わせ合うその姿が本当に感動的で、美しくて、愛おしくて……ドゥーフーちゃんッッッ!!!!!!(クソデカ感情爆発)

そして最後、ドライビングスクールを出たダメダメなドゥーフーちゃんは同じくダメダメな女性の家に迎えられます。
三角の教習帽子や「STUDENT MOLCAR」のプレートが外れているあたり、なんとか卒業できたのか……もしくは初心者マークもついていないあたり、中退して公道を走ることを諦めたのか。どちらとも取れる結末です。

【追記(2022/11/27)】
小野ハナ監督のコメントから、女性は無免許&ドゥーフーちゃんは公道を走れない=ふたりともドライビングスクールを中退していることが判明しました。つらい。

もしこれが2時間40分の映画だったら、きっと「ダメダメなふたりが困難を乗り越えて成長する感動の超大作」として描かれたことでしょう。
しかしモルカーは2分40秒のショートアニメであり、大風呂敷を広げる時間も畳む時間もほとんどありません。

そんな中、あのエンディングは最良の着地点だったのではないでしょうか。
ドゥーフーちゃんたちにとってハッピーエンドであることはもちろんのこと、「乗り物としてのモルカー」以外のモルカーの生き方を示唆したことでモルカーの世界観をより深く掘り下げることに成功しています。最初から最後までダメダメという個性をあるがままに描き切ったのも、個の幸せや多様性の尊重が叫ばれるこのご時世ならではの終わり方のように感じました。

よく「ペットは飼い主に似る」なんて言いますが、私の祖母は「ペットは人間が選ぶんじゃなくて、その家に合った子がやって来る」という持論を掲げていたことを思い出します。
そう考えると、ドゥーフーちゃんとあの女性の出会いは偶然でなく必然。似たもの同士だったからこそ心を通わせることができたと思いますし、他のモルカー&ドライバーにしても同じことが言える気がします。特に畜生氏なんかは「破天荒なテディを乗りこなすことができるは畜生氏だけ」というより「畜生氏の荒い運転に耐えられるモルカーはテディしかいない」なんて思わされます。

初回視聴時はあの終わり方に「お前みたいにひーちゃんに怖い思いをさせたドライバーにドゥーフーちゃんを任せられるか!」と不安しかなかったのですが、視聴回数を重ねるにつれて「ドゥーフーちゃんが心を開いたこの人じゃなきゃダメなんだ!」と考えが改まり、10回以上視聴した今では「ホントにもう……卒業でも中退でもなんだっていいから、ふたりとも幸せに暮らしてほしい……!」と彼らの幸せを願ってやみません。

ドゥーフーちゃんのモル生に幸多からんことを!!!!!

ゥゥ……ドゥーフーちゃんッッッ………!!!!!(押し寄せるクソデカ感情の波)

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