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第2回 障がい者の特性がSOUPの仕事に生きる

福祉作業所「あい・わーくす」を営む中学の同級生、武蔵原くんとSOUPの代表である私は、お互いの仕事の幅を広げていこうとタッグを組み、打ち合わせを重ねました。

とはいえ、私たちは最初からうまくいったわけではありません。

やるべきことはお互いはっきりしていましたが、印刷作業が思うようにいかず、行き詰まったこともありました。シードペーパーはタネが入っているので厚みや凹凸があり、最初に導入した印刷機では、何回やっても印刷がずれたり、タネが詰まったり、もうこれ以上はできないと暗礁に乗り上げてしまったこともあります。「あの時はちゃぶ台をひっくり返しそうになった」と武蔵原くんは今でこそ笑って話しますが、私も当時はもうダメかもしれないと落胆したものです。

しかし、思い切って新しく業務用の印刷機を取り入れたことで、仕事がスムーズに進むようになり、難関をクリア。無理だという言葉を使わず、できることから取り組もうという考え方にスイッチしました。そこからこの「あい・わーくす」とSOUPの結束は強まっていったのです。

型抜きされたシードペーパー

福祉作業所の底力を感じる日々

花咲く和紙をめぐる作業は、障がいがある通所者の特徴を生かすものでもありました。そのことを武蔵原くんはよくわかっていました。印刷を一枚一枚丁寧に手差ししていくこと、検品、型抜き。どれも集中力と繰り返しが必要な作業で、彼らの特性に合っています。

彼らもシードペーパーに携わることで、社会と関わることができ、満足感が得られます。また指示書を確認し取引先などを知ることで価値のある仕事だと認識でき、モチベーションが上がるという好循環が生まれています。「目が生き生きとしてきました」そんな家族の声も聞こえてくるのも、私にとって嬉しいことです。

型抜きは集中力が必要な作業です

特性を生かしながら仕事をしていきたい

武蔵原くんはこんなふうにもいいます。

彼らの弱みと思われる部分が、強みとなっていく。仕事が評価されると、いっそう自分を肯定できる。僕自身、彼らに障がいがあるから落ち度が出てくるとは言われたくない。それに、通所者の生活も守りたいと思っています。彼らが必要であることを示してあげることが、僕の役割ですから」。

彼の「SOUPにすくわれている」という言葉に、私自身もすくわれています。


鎌倉と安曇野の距離感を感じない時代


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