Beatlesスイッチ
中学生の頃、若い家庭科の先生と仲良くなった。
Aラインのジャンパースカートの課題を逆三角形に変えたがる個性的な生徒だったけど、手のかかる子ほど何とやらで印象に残ったのかもしれない。
お互いBeatlesが好きだとわかって、時々こっそり彼らについて話してたら、先生が産休に入られる時にグッズを沢山渡しに来てくれた。
リンゴ型のメモ帳や、モノクロのブロマイド、マグカップ、たぶんレプリカの武道館チケット。
確か家まで持ってきてくれた気がする。
今では考えられない事だけど、当時も内緒にしててねという話だったと思う。卒業式にはおられなかったので先生の名前も顔も覚えていないけど、今でもBeatlesは先生のことを思い出すスイッチ。
Beatlesスイッチはもう一つあって。
中学の卒業式のときに、もう会えなくなる友人に封筒に入った分厚い手紙を貰ったんだけど
そこにはただ、
「With A Little Help From My Friends」の歌詞の英語と和訳の両方を手書きでびっしり書いてくれていた。
スマホも携帯もない時代、歌詞を手に入れるのも一苦労だったから嬉しかったし、
自分の言葉を使わずに、曲に込めて伝えてくれた友だちが今でもカッコいいなと思う。
先生のグッズも、友だちの手紙も現物はもう無いから、きっと何かの時点で捨ててしまったんだと思う。
私は本当にバッスバッスと断ち切る人生を送って来たんだなぁと、思う。
想い出の手がかりを大事に出来ない。両親の家もサッサと改装してアトリエにしてしまった。
でもさ、と思う。忘れたわけじゃないのよね。
スイッチが押されるたび、
ちゃんと再生される心のビデオやカセットテープ。
手がかりは物じゃなくてもいい、目に見えるカタチで置いておかなくても、先生のグッズも友だちの手紙も両親の声や笑顔もみんな思い出せる。
心はドラえもんのポケットのように格納してくれるから、重たくなる身体は出来るだけ身軽にしとこう。そんでもって、想い出は確実に今の自分を創ってくれたから、一緒にこれからの人生も連れていくよ。
スイッチはいつも急に目の前にやってくるし。
それも絶妙なタイミングで。
Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
アルバムの2曲目がWALHFMF
With A Little Help From My Friends」
歌詞の英語と和訳、解説くださってるブログはこちら
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