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トライブ紹介 ドクターシューマー 【2/2】

前回に引き続きドクターシューマーついて
3. デマンドサイド・イノベーション、4. 生活者変化行動仮説についてご紹介します!

3. デマンドサイド・イノベーション

ここで、イノベーションの普及理論におけるデマンドサイド・イノベーションという考え方をドクターシューマーを例にご紹介します。

そもそも、サプライサイド(供給側、技術側)のイノベーションは「この食品だけをとれば必要な要素が足りている」というもので、健康意識が高い人をターゲットとして考えていました。

しかし、デマンドサイド(需要する側)は、適切に栄養をとるためではなく、「忙しさを緩和するためにこれだけを飲む」という使い方をしていたのです。つまりこれは消費者が自ら使い方を変えるというデマンドサイド・イノベーションの事例に当てはまります。

実際にサプライサイドがイノベーティブな商品やサービスを出すと、消費者が想定していなかった使い方をするというパターンはイノベーションではよくあることです。

スタートアップや起業家はもちろん、健康系の新規事業や新サービスを作る人は、このデマンドサイド・イノベーションという考え方をあらかじめイメージしておきましょう。

もちろん最初は素直に健康意識が高い人に向けて商品を作ることを考えればよいのですが、必ず意図していなかった使い方をする人が現れるので、そういう人を見つけたらその人向けにてきちんとプロモーションをすることが、広く普及させていく際のヒントになるのです。

この概念については元博報堂の鷲田一橋大学教授が論文にされています。

Washida, Y., Ueda, K., Kinoshita, Y., & Awata, K. (2006, July). Demand Side Innovation Hypothesis in the Complex Consumer Network. In Technology Management for the Global Future, 2006. PICMET 2006 (Vol. 4, pp. 1749-1756). IEEE.

以上の点からも、このドクターシューマーでもっとも注目すべきはやはり「忙しい人」といえるでしょう。健康や美容は誰もが思いつくことですが、忙しい人々に使用されていたという点は、コンプの方もすごく注目してくれた結果です。

このデマンドサイド・イノベーションの事例をほかにもご紹介すると、最近、カラオケボックスのサブスクリプションを利用して、ランチを食べる場所に使ったり、自習室として使ったりしている人が現れ始め話題になっています。今まで都度課金だったカラオケボックスをサブスクリプションにするというのは、ビジネスモデルを大幅にチェンジするという意味でサプライサイドのイノベーションですが、ここでもデマンドサイドが独自に違った使い方をするというイノベーションが起きているのです。

このときにサプライサイドがやるべきことは、実際に自習室として打ち出したり、ランチの時間だけは回数制限をしたりすることで収益を上げることです。イノーベーションにおいては、初期採用者の中に想定外の使い方をしている人が必ずいて、とくに健康系では顕著なので、健康系の新規ビジネスや新商品、新サービスを作っている人はこのことをしっかりと理解しておきましょう。

4. 生活者変化行動仮説

ドクターシューマーから出てきた価値観で一番の発見は、多忙族やアスリートは「1日3食食べない」という考え方をすることです。

彼らは多忙を極めるため、食事を食べる時間がもったいないと感じ、1日中ちょこちょことソイレントを飲んでいたのですが、そこには「つねに腹8分目でいたい」という今までまったく思いつかなかった需要がありました。

そこから我々は「満腹になりたくないけど空腹にもなりたくない、腹8分目のデザインツール」という完全栄養食がもたらす新しい意味を見出しました。この意識はもはや健康とはかけ離れていますが、腹8分目のデザインは今後のトレンドになっていくでしょう。

何故かというと、世の中には食べ物にそこまで興味がなかったり、忙しくてゆっくり食事をする時間を仕事にあてたいというニーズが確実にあり、これは多忙族の調査でも明らかになっています。

今後は「1日3回食事という時間を取らず、ソイレントのような完全栄養食品を1日中ちょこちょこ食べる」という人がもっと出てくるはずです。

健康系や食品系の企業は商品として「腹8分目」カテゴリの事業群を作るべきですし、流通ならそういうPBや棚を作ったり、サブスクリプションのビジネスモデルを作ればヒットするでしょう。たとえば、いちいち買いに行かずとも、定期購入でこれだけ食べていれば栄養面も大丈夫という商品が送られてきて、昼と朝の食事の時間をとらなくてよくなれば、忙しい人たちにとっては最高なわけです。

食事は1日1回、夕方くらいに同僚などと食べて、夜もお腹が空けばこれを少し食べる、そうすると1日3時間かけていた食事の時間が1時間で済むようになります。完全栄養食品は食事というより、口にすることで気分転換にもなる、どちらかといえば喫煙にも感覚的に近いといえるでしょう。

もちろん食事の時間を大切に考える人には受け入れられないと思いますが、今後は食事をとる時間の影響で生産性が下がると考える人と、二分化していくはずです。

今回はドクターシューマーについてご紹介しました!
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