21歳から始める推しコンテンツの話[映像コンテンツ編]攻殻機動隊 前篇

はじめに

 今日、アメリカのイノベーターであるイーロン・マスク氏が率いるニューラリンク社が脳に接続する端末を豚での実験に成功、今度は人間への臨床試験の申請を出した。というニュースがネット界隈でピックアップされている。いよいよSFで描かれた人間の脳と機械の同化、脳をそのままネットに接続するというシナリオが現実味を帯びてきた。
 脳にマイクロマシンを投入して神経と結合させ、ネットや外部記憶装置と直接通信をする電脳化という言葉を聞いたことがあるだろうか。
その言葉が最初に出たのが今回紹介する攻殻機動隊である。

 今回紹介するコンテンツとして攻殻機動隊を挙げたが、様々なバージョンがあるので少し歴史を話していきたい。

 まず、原作漫画である攻殻機動隊-Ghost In The Shell-の単行本が1991年に発売された。そこから数年が経ち、押井守監督がProduction I.Gというアニメーションスタジオとともに1995年にGHOST IN THE SHELLというアニメーション映画を公開。その後押井監督は続編であるイノセンスをスタジオジブリなどの協力を経て2004年に公開。
 2002年からTVアニメとして神山健治監督が原作とはパラレルワールドという立ち位置で攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEXというアニメシリーズを放映、その後2004年に攻殻機動隊 S.A.C 2nd GIGを放映。3Dアニメとして2006年に攻殻機動隊 Stand Alone Complex Solid State Societyを公開。
2020年にWebアニメとしてNetflixで攻殻機動隊 S.A.C 2045を公開している。
 2013年には第4の攻殻機動隊として攻殻機動隊 ARISEが放映され、2015年にARISEの劇場版として攻殻機動隊 新劇場版が公開された。

映像作品については大まかにこんな感じである。他にも漫画の続編や小説、ハリウッド映画バージョンなどもあるがここでは割愛させていただこう。


押井守版 攻殻機動隊について

 この映画は1995年、日本で公開された時点ではあまり売れなかったがアメリカで公開されたあと、ビルボードのビデオランキングで一位になり日本でも再評価された。
押井守版の攻殻機動隊は主人公である草薙素子が自分のアイデンティティを探し求める物語である。ネタバレはしないことに定評があるので詳しくはNetflixかビデオレンタルにて観てほしい。

それでは今回私が紹介したい3つのポイントをとりあえずまとめよう
・丁寧に作られた設定
・台詞回し
・音楽
この3つのポイントにわけて紹介していきたい。

画像はAmazon様から引用

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丁寧に作られた設定

 攻殻機動隊では第三次世界大戦と第四次世界大戦で日本は核により壊滅状態に陥っている。しかし、日本の奇跡と呼ばれる放射能粉塵除去技術により放射能は除去され高度経済成長期に入る。
この時代には脳の記憶のメカニズムなどが解明され、電脳化やサイボーグ化、ヒューマノイドなども出てきた時代である。
その数年後が攻殻機動隊が発足してキーキャラクターである「人形使い事件」を解決するのが今作の設定だ。
時代設定は2029年。今から9年後の話であり、いまを生きている私達からすると、起きてほしくないことがたくさん起きている設定である。

 ここまでは時代設定だが、今度はSFの設定について話そう。先程申し上げた電脳化とは、脳の神経とマイクロマシンを結合させて脳を直接ネットや外部記憶装置と接続させる技術である。これは今の社会でも欲しいものだが、逆に言うと脳をハッキングさせられ記憶の操作や行動の操作までされてしまう恐れもあるということ。これはゴーストハックと呼ばれている。
脳を直接ネットに繋ぐこと以外にも首元にある入力装置から有線で繋ぐことも可能であり、コチラの方が安全性などはまだ高い。ちなみにこのシステムはハリウッド映画でSFの大作である「マトリックス」にてオマージュシーンとして登場している。
 その他にもドラえもんやハリーポッターで有名な透明マントもSFの設定として熱光学迷彩として登場する。
ジャンルがSFとサイバーパンクなので汚職や陰謀などにまみれた日本での活躍になる。

そもそもサイバーパンクの元祖であるウィリアム・ギブスンの「ニューロマンサー」からインスパイアされてる。インターネットダイブなどが顕著に影響されていることを示している。そのうちその小説のことも少し語って行ければいいと思う。
Amazon様から画像を引用

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 そして、環境設定が日本の繁華街というよりかは香港の繁華街になっている。これは(おそらく)フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電脳羊の夢を見るか」が原作で映画として1985年に公開された「ブレードランナー」に影響されているのではないだろうか。一応、日本は大戦で負けて中国に侵略されて1990年代の中華街のような雑多に看板がおいてあったりネオンが煌めいていたりしている。丁寧な描写がされているのでぜひ観ていただきたい。


台詞回し

 押井守監督の作品は基本的にセリフが難しい。これは監督のセリフの一つ一つに意味を持たせている。そのせいで一度観ただけでは全くわからないと思う方が多い。実際、私も一度観ただけでは全くわからない。わからないからこそ何度も観てしまう。キャラクターの心象風景を理解したくて何度も何度も観た。それくらいセリフまわしが難しい。
 だが、それがいい。

申し訳ないが、ほとんどネタバレになってしまうのでここは語ることができない。しかし、この映画にもしハマった方がいるのであれば必ず何度も見返すだろう。


音楽


 押井守版攻殻機動隊の音楽は川井憲次氏という日本の劇伴の作曲家である。押井守監督とはうる星やつらの劇場版からの付き合いである。
今作の映画ではオリエントな雰囲気の音楽が主軸で制作されている。ツツミ(タム?)や大太鼓がメインテーマとして入っており、平安時代などから引用される歌詞など、とても雰囲気が出ている良い音楽だ。なぜか舞台は中華系なのに、日本っぽいと錯覚してしまうのは音楽の影響も大きいと思っている。
 特に劇中の曲のというタイトルのトラックが3つあるのだが、この3曲が特に良い。草薙素子の心象を表すように曲が起承転結のようにメロディーが変わっていく。
 次回記載するイノセンスにも詳しく書いていこう。

次回、中篇

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