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作演としての初舞台 1st

国際センター駅2番出口を出るとイチョウの木が綺麗に並んでいた。小屋までの道には早くもクリスマスツリーが飾ってあるお店があった。そんな日。

作・演出としての初舞台、初日、1st。
客入れ中から端の席に座っていたのですが、満席の客席を見ただけでこみ上げてくるものがありました。自分がつくった作品をこれからここにいる人たちみんなが観るんだ…みんなが私の書いた世界に入るんだ…そう思うとなんだか頭が壊れてしまいそうでした。

上演中は、幻というか幻想というか、夢の中にいるんじゃないかってふわふわもするときもあれば、これまでの稽古で積み上げてきた尊さにくらっとしたり、役者さんが私が書いた作品をちゃんと生きていることにうれしくなったり、このセリフいいよね〜と自分に酔いしれることもありました。

ただ、カーテンコールが始まった頃には涙が止まらなくなっていました。

……私は高校生の頃に心を大きく壊しています。その頃の傷がずっと痛いです。ずっと苦しいな、生きづらいな、時には死にたいな、更には死んでしまおうと何度も思ってきました。「弱い人にしか分からないことがたくさんあるよ」「そんなあなただからできることがあるよ」そんな言葉を言われるたびに、そんなのねえよ!心を病んでよかったことなんてあるわけないじゃん!と心の中で怒マークをたくさん出してきました。

でも、あったんです。心を壊してよかったことがこの世界にありました。壊れた私だから書けた、私のこれまでの生きづらさ、苦しみ、傷をぶつけた作品が形になって、世界になって、届けて、届いて、たくさんの人に拍手をもらって。それが本当に嬉しくて嬉しくてぼろぼろ泣いていました。あの瞬間を一生忘れたくありません。今日まで生きていてよかった、そう思いました。

更には小屋の外でお客様に「私も生きづらい側の人間です。ありがとうございました」と声をかけられました。思わず握手しそうになりました、しなかったけど。あなたみたいな人に届けたい、そう思います。

私にこんな世界を見せてくれたみんな。本当にありがとう。幸せ者です。きっとまた死にたくなる日が来るから、そんな時にこんなにも大切な日があったことを思い出せるように残します。

明日からもよろしくお願いします。


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