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「経験と自信」の話

second placeの佐藤です。
どうぞよろしくお願いします。

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パリオリンピックのマラソン日本代表の選考会として先日行われたMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)についての話です。

当日は雨のレースとなりましたが、36歳の川内優輝さんがスタート直後から飛び出して独走、レース終盤まで1位のまま、最終的には4位でゴール、周囲の予想を大きく覆す結果となりました。

『半分ぐらいの選手は勇気がなくて私についていくのが怖かったのだと思うし、もう半分はなめていたんですよ。あんな選手はどうせ落ちていくだろうと。そこは「なめんなよ」という感じでしたね。』

レース後の川内さんのこのコメントに多くのポジティブな反響があったようですが、私が注目したのは次のコメントでした。

『若い選手はもっと勇気を持って頑張ってほしいなと思いましたし、海外にどんどん出て、経験を積んでほしいなと思います。』

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川内さんについて少し調べてみると、これまで129回のフルマラソンを経験していて、今回が130回目のフルマラソンだったそうです。この数字は他のマラソンランナーのみなさんと比較すると非常に多いものと認識しています。レース前の記者会見でもこのようにコメントされていました。

『今までペースメーカーのいるレース、いないレース、雨のレース、風のレース、ワールドマラソン、世界選手権、アジア選手権までいろいろ走ってきましたので、そういう過去の経験を生かしたレースをしたいなと思います。そういう走りを見てほしいと思います。』

今回のMGC当日、雨のレースになることを認識し、他のランナーがどのような戦術を取る可能性が高いのか、それを踏まえて自分がスタートから飛び出す戦略を取ることを判断、これまでの多くの失敗を含めた雨のレースの経験をもとにどのような準備が必要で、レース中はどのような精神状態であるべきなのか…こうした経緯でレースに臨み、素晴らしいパフォーマンスを発揮されたのではないかと想像しています。

日本国内のレースでも様々な経験をされてきた川内さんが、あえて「海外にどんどん出て」と言ったのは、ご自身の経験の中で、やはり海外での経験が自分を支える自信になっているのではないかと想像しています。

どんなに様々な経験を踏まえて十分な準備をしても、結果が出ないことはよくあるものです。むしろ結果が出ることの方が少ないのかもしれません。だからこそ、川内さんご自身として、今回はストーリーがある会心のレースだったのではないでしょうか。

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『私に負けているようじゃ、日本のマラソンは暗黒期に入ると思います。』

レース前にこのような自虐的なコメントを残せることも、海外でのアスリートたちの様々なメディア対応をたくさん見てきた余裕があったからかもしれませんね。

second place 佐藤

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