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【詩】薄氷の砦

薄氷の上の砦 風に吹かれて
ラストシーズン 風に押されて
薄氷の上の砦 雨が降り始めて
ラストシーズン 記憶は遥か彼方

ドアをノックする音が聞こえる
自分の番だろうか
ドアをノックする音が聞こえる
トラックは森へと消えて

漏れるうめきとか悲鳴とか
それがゴキブリのものならば
目隠しも必要ない
苦しそうな声 裂けるチーズのよう
土に埋まる

自転車がプールで死んでいる
誰もいない郊外の家
クラシックカーが佇んでいる
誰も振り返らない街

ドアをノックする音が聞こえる
君の番だろうか
ドアをノックする音が聞こえる
トラックは森へと消えて

漏れるうめきとか悲鳴とか
それがゴキブリのものならば
別に気にはならない
そうだろ
苦しそうな声 
裂けるチーズのように
黒い影が脳みそに

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