見出し画像

【詩】美しい病気

美しい病気だと思ってた
焦がれることは
美しい病気だと思ってた
痛み抱いて眠るこの夜は

気が迷ったんだ
しなやかな獣のように
気が迷ったんだ
美しい古都に見惚れるようだった

警報が鳴るなら
瘴気にむせる明日の路上
警報が鳴るなら
その掌は誰を殺す

美しい病気だったんだ
そういうことにしといてほしい
美しい病気だと思ってた
額のあざの調子はどうか

ちょっとおかしかったんだ
しなやかな獣のように
ちょっとおかしかったんだ
死体を蹴ったその脚に見惚れて

警報が鳴るなら
毒ガスにむせる明日の路上
警報が鳴るなら
その掌は誰を殺してきたの

わかりゃしないよ
人を見る目なんてないんだもの
バレやしないよ
そう言ってまたおかしな手紙を送った

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?