父親失格男の回顧録2 電話
前回の続き
離婚から3年半
その間長女と話したのは
今年の春に一度だけ家に泊まりに来た
その時だけだ
それ以外はなかなか既読にならず
返信もなかなかこないLINEのやり取りだけ
こちらから月に一度くらいのペースで
手紙も送っているが、LINEで手紙届いたよとの連絡があるだけでそれ以上の反応はない
そんな長女と,前回書いたような長いやり取りを経て、ようやく電話が繋がった
テレビ電話でどの条件通り
長女は自分の部屋からかけてきた
久しぶりであることを感じさせないように、普通に会話を切り出す
まずは散々な成績のこととその要因
懸念していた、バイトが忙しすぎたりということではどうやらないことがわかった
また,試験の数も通年科目が多いので、前期で結果のわかる科目が多くないことがわかった
長女に後期の戦略を聞くと
根拠としては頼りないものだが、曰く
『 大学受験の時も、中学高校と合計4年間不登校だったから,先生も友達も絶対無理って言ってたけど,実際なんとかなったの。
今回の進級も同じ感覚かあるから、なんとかなる自信がある』
と言い切った
長女はすでに成人しているし
離れて暮らす私が何をどう言ったところであまり意味はないと考えた私は
『わかったよ、とにかく進級することを最優先にして頑張りなさい』
とだけ言った
早々に成績や進級についての話は終わり、
残りの時間は長女の恋愛話やバイト、卒業後の進路についての話なんかをした
長女も私もよく笑い、
気がついたら2時間以上話し込んでいた
電話を切ったそのあとで
長女から
『 話せてよかったよ 』
とLINEがきた
それ以降、私が送ったLINEに、既読がつくタイミングが少しだけ早くなった
今まで、一言二言のメッセージのやり取りしかなかったLINEが会話のキャッチボールのように変化した
そして先日、長女から年末をこちらで過ごしたいとの連絡が来たのだった
離婚から3年半
送り続けた手紙
しつこくならないように辛抱強く送ってきた
短いLINE
春から始めた食料の仕送り
そんな積み重ねが
ようやく長女の心の傷を
少しだけ癒してくれたのかもしれない
細く儚く繋がった気がするこの糸を
丁寧に丁寧に手繰り寄せて
より太い絆にしていきたいと願う
失格男なのであった