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これからの日記のこと(8/8)

「続けることの大切さ」

続けることでしか生まれないものはやっぱりあると思っていて、だから日記もなんとか毎日続ける、やると決めたのだからやる、と食らいついてきた。2024年元日から続けてきたのだが、最近は苦しみの方が勝ってしまい、とうとう毎日更新ができなくなってしまった今日この頃である。

以前に日記でも触れたが、ひとつにはパリに来てからゆっくりと環境が変化してきたことが挙げられる。場所が変われば価値観も少しずつ変わるのが当然だが、それよりももっと個人的な出来事が大きい。優先したいことが変わったという、まさに想像していなかった道を歩いている。

VISAの更新があるという現実的な問題以前に、そもそも、私は音楽を作るという仕事が大好きだ。喜んで仕事の時間を確保したい。
仕事の優先順位は変わらず高いまま、窓際の陽が良く当たる席に深く腰をかけて私の人生に佇んでいる。
ずっとうちを贔屓にしてくれた昔からのお客さんだから、やっぱりこの席をいつでも空けておきたい。オーナーとしての想いだ。私は音楽を作ると言う仕事が窓際に腰をかけている景色がとても好きなのだった。

それから、日記にたまに触れてきたが、こちらにきてから出会ったE氏の存在もある。
キャンピング中の大会議を経て一緒に住んでみるかと言う話になり、そこに向けての準備なども始まった。感情論や情熱的な理由ではなく、お互い合理的に仕事を優先したまま生きていくための提案だった。(最初に提案したのは私)

何せ今の家から引っ越しをせずに暮らすとなると、二人で住むような広い物件ではないので工夫が必要だ。でもこういう工夫は好きだし、それ以上に変化することが大好き!楽しんで創意工夫に身を浸している。おうちで作るフレンチトーストみたいに。(フレンチトーストはフランスでは「失われたパン」と呼ばれ、本来は古くなったパンを再利用するために生まれたもの)

呑気な五歳児みたいなE氏は「プロジェクターを買ってホームスクリーンを作ったらロマンチックじゃない?」「どんなプロジェクターが良いか友達に聞いてるんだけど、こういうのってどう思う?ヒロコはどんなの探してる?」と嬉しそうにプロジェクターの話ばっかりしているのだが、ロジカルなことが大好きな私は、如何に上手に収納スペースを確保して、お互いが平等に心地良く過ごせるかの戦略を立てることに夢中だ。この辺りも私たちの性格の違いと役割分担が完全に分かれていて良い。とにかくE氏には「ドリーミーにプロジェクターを探しながらニコニコしてていいから、水道の修理はやってね」とちゃっかりお願いに成功している。

そもそもドリーミーだが、生活力は相当高い人なので、実際には色々と身体を手を動かして助けてくれるだろう。人を助けたり、何かしてあげることが好きなようで、ライブが終わったあとに疲れていても、私の服まで手洗い洗濯してくれるくらいだから相当である。

こんな感じで物理的な忙しさも勿論あるが、実のところ一番大きな本音は、もっとフランス語を上達させたい、というところにあった。

今のままでもフランス語の理解度は低くないとは思うが、もっとフランス語の腕前を上げたい。
今までみたいに毎日毎日日本語で日記を書くことは、その日の全てを日本語という世界で完結させていくことになってしまう。今の自分のやりたいことから少し遠くて、心の重心がとりづらくなってきた。

そんなわけで、自分の今後の人生を考えてフランス語の腕を磨いていきたいし、フランスの地で音楽家としてやっていくための探求は、言語、文化、音楽の中にそれぞれ散らばっていて、これら全てをくまなく拾って育てることは多くの時間と集中力を要する。

私の日記を楽しみにしてくれている人たちのことを、少し特殊な形で愛おしく思っている。
その意味で複雑な気持ちにふと胸を打たれることもあるが、きっと今日のこの日記を読んで、感じてくれるものがあるのかなという少し甘えた気持ちも持っている。

原点に戻ると、日記を書かなくても自分の魂が混乱しなくなったことをすっかり忘れていたが、これをとても嬉しく思う。と共に、一度毎日更新というのは辞めようと思う。って、もう辞めてるか!後出しだね。

たまに書きたくなった時に書けるよう、このささやかで小さな基地は残しておく。戻ってきた時は「さてさて、どうしてるのかな?」と、気晴らしに読んでもらえたらとっても幸せだ。

そんなことを言いながら今日は日本文学に触れたくてたまらなくなって、パリのジュンク堂へ足を運んだ。朝吹真理子さんの著書を選び、ショルダーバッグにねじ込む。それからすぐにお気に入りのカフェへ急いだ。
750円の本が2500円くらいした時は思わずカードを持つ手が止まりそうになったが、そうまでしても本を読みたいという欲求は抑えられなかった。矛盾しているが私は日本語が大好きだ。

これからは、フランス語でも文章に触れたい。フランス語もとても奥深く美しく、想像力に富んで、良くしなる。そして自由自在に形を変えながら、人が生きているのと同じように、沢山の例外にもみくちゃにされて人と人とを優しく繋いでいる。とっても面白い言語だ。

発見は救い。そして、変化は恵み。
こんな生き方を、幸せに思う。

みなさんありがとう。

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