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直感的で、論理的で、はっきりした性格!/MBTI考察(6/26)

「めんどくさい」「急に夏すぎて無理」「最近寝不足だから19区の最果て遠すぎる」「要するにめんどくさい」「私にしつこくすんな」

そうやって何度も断っていたコンサート代打のお誘いは、元同僚が間違えて連日チケットを取ってしまったことから始まる。二日目は奥さんと一緒に行くのだそうだけど初日は都合が悪いらしい。チケット代要らないからヒロコどうよ?とのこと。

そうじゃなくって。2時間そんな好きじゃない可能性のある音楽を聴く苦痛は逆にお金払ってでも避けたいのよって話をした。

毎回全然良いと思わないTシャツを着てるマルセイユサッカー狂の男なのだが、性格はなかなか良くハモる。
入社してからすぐに「俺はお前のこと簡単に信用できないな!はっきり言って」と言い放たれ、私は私で「別にあんたに好かれなくて良いし、信用せんでええわ!でも見ときや。私は信用すると決めた相手のことは裏切らん、それだけや!」(関西弁ですがフランス語で)と勝ち気に言い返した仲。
それからしばらく喧喧諤諤としていたライバル関係だったが(我々は小学生なのかい?)ある時向こうから「ごめん、俺、めっちゃヒロコ好きやわ」と(関西弁ですがフランス語で)言ってきて「やろ?だから言うたやん。私は最初からあんたのこと好きやで」とコテコテの関西弁で返しながらガッチリと握手を交わし、今日があるのである。

何でも気を遣わず好きなように言って問題にならないのは、お互い「直感型で倫理型の判断型」だからだろう。そう、流行りのMBTIで最大の嫌われ者界隈に生息するNであり、Tであり、Jなのである。

ここが「感覚型(S)」だったり「感情型(F)」の感じが強い人と接すると、相手を傷つけないように気を遣ったり「自分も良い人でいなければ」みたいなプレッシャーに押し潰されがちになって疲れてしまう。
でもこれは決して「だから嫌い」なのではなく、ここが違っても良い関係性を築ける相手も当然いる。結局のところ「人」は「傾向」ではないから。しかし、あくまで指標としてそれなりに面白いテストかなと思っている。

そんなわけで、「しつこく誘ってきてまじでウザいんだけど、代わりに1時間前に落ち合って、フランスの行政に提出する難しすぎる書類手伝ってくれるなら良いよ!」と交換条件を突き出したら「よっしゃ!良いよ!じゃ19時ね〜」と軽い返事。

そう、こういうとこ!

このシチュエーションで「うわぁ〜厚かましい」とか「性格悪い」「何様?」「ちゃっかりしやがって」と言ってくる人とは単純に合わない。向こうも嫌な気分になるし、こちらも「絡んできたのそっちなのに余計なお世話すぎる(笑)」となり、誰も幸せじゃなくなるのだ。

これって何が、誰が正解とかなくて、そうやって整理していくと人間付き合いが見やすくなるし、ネットの地獄的な空気感は多少緩和されるのではないかな。感情論より客観的にモノを見ると良いことが沢山ある。(とか言う時点で、もう救いようがないほどのNTJ(笑))

そんな意味合いで、個人的にはMBTIみたいな世界共通のテストには好感を持っている。こういうものは必要なだけ上手に利用してナンボ!

交換条件を翳しながら、パリフィルハーモニーに初めて赴いた。音楽家なのにパリでのコンサート鑑賞経験が皆無で、映画館やダンスだと俊敏に動く食指もコンサートとか演劇となるともう腰が重くて、重くて....

« 元々アントニーという名前だったトランス女性が、今は「アノンヒ」という名前で活動している。とにかく素晴らしい歌声だから来い!観たら分かるから! »

それだけの情報で席に着く。
(行政の書類は、コンサート前にレバノン料理店にて相談済み)

結果的に、ただただ素晴らしいコンサートだった。彼女の歌う姿やコンサートを通して伝えたい想い、マイノリティに生きること、トランスの女性であること、アーティストとして表現したいこと、英語で話していらっしゃったので60%くらいしか汲み取れていなかったと思うが、強い芯がドーンとして、それだけでも私が大好きなタイプ。

そして宇宙とか、ミクロ細胞のような素晴らしい声帯のバイブレーション。サポートミュージシャンの演奏も抜群で、アレンジの面白さにもワクワクした。

ライブが終わった直後、元同僚が横で「俺がゴリ押ししたことについて、率直にどう思ってる?」と得意げにニヤニヤ聞いてきた。
「ゴリ押しするウザい男だしあんたは最低で大嫌いなんだけど、このコンサートは気に入ったわ!アノンヒ最高!」と返したら、嬉しそう「ベイビー、そう言うと思ってた!それでこそヒロコだ!」と嬉しそうにゲラゲラ笑っていた。

アノンヒの歌を聴いていたら、世の中に性別って必要なのかな?って気持ちになった。
この人が女でも、男でも、それ以外の何かでも取るに足りないっていうか、そんなちっぽけなこと本当にどうでも良かった。
そんなことでずっと苦しんで生きるしかなかったなんて、あまりにも理不尽だ。大きく「ノン!」という気持ち。

あまりに素敵な夜だったので、パリを大横断して歩いて帰ることにした。

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