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人生観と恋愛観(5/29)

今日のパリはずっと"本降り"という感じで、とことん雨に降られながらセーヌ川を超えて人に会いに行った。
ずっと前にオンライン上で存在を知ってから、実際にお会いするチャンスがなかった神戸の古着屋さんがあって、なんと時を同じくして店主のKさんがパリに移住されているとのこと!インスタグラムでDMを下さった事がキッカケで初対面することになったのだ。

神戸はとても好きな街のひとつで、自分が音楽で関わる映画やドラマも神戸が舞台のものが多い。これから音楽を作る映画も、送られてきた脚本を読んでいる最中の映画も、舞台は神戸である。朝の連続テレビ小説「べっぴんさん」は私の劇伴作家としてのキャリアを後押ししてくれた作品のひとつだが、これも神戸のお話だった。

そして余談中の余談だが、私は兵庫男子が好きで贔屓にしがちである。(発端は、兵庫の方言が大好きという幼稚な理由なのだが、阪神ファンが多めなのが弱点。赤と白の縦縞は可)

さて、Kさんとは初めてお会いしたというのに、かなりディープな話を沢山してしまう。人との出会いは、その時のタイミングや自分の現在地によって進む方角が変わってくるし、ハモれるかどうかっていうのもそこの影響を強く受けると思う。自分の気分を持ち出しすぎるのは失礼だが、それでも全体のムードっていうのはどうしても滲み出てしまうものだ。

相変わらずのお喋り機関車トーマスなのか、ジェームズなのか、パーシーなのか、セビーなのか... の四択で語られがちなセビーなので、お喋りっぷりを遺憾なく発揮してしまう。どっと疲れさせていたら申し訳がないわと帰り道は不安に思うことになるのだが(だったら、もう少しゆったり喋れば良いのにねぇー!)帰宅してから「色々話したことで頑張ろうという気持ちになれた」という主旨のお返事を頂いて内心ホッとしたのだった。

人と話すことで思考が整理できたり、自分の話したことを相手と同時に自分自身も聴いているわけで、そこに意外な発見もあったりするから私はお喋りが好きだ。
そして等しく、自分が想像してこなかった価値観や考え方、縁のなかった知見や人生の肉付けの仕方を聞かせてもらえること、その中にそれぞれの正義があること、共感できることもできないことも、他者の人生に触れる事が大好きなのだ。

自分のうるささと雑味に不意に驚いてしまったくらい、Kさんの緩やかで少しおっちょこちょいな仕草からは柔らかな魅力を感じたし、小さな出来事に素直に感動する繊細さや、シンプルにパリに憧れて新しい日々を楽しまれている姿を素敵だなと思った。

そして、すっかり錆びて何処に仕舞ったかも分からない私なりのパリへの憧れを、会話の奥行きを使いながら記憶の中で探してみたが、残念ながら、あまりにも遠くに放ったらかしたからか見つけられなかった。それでも、今の自分に大切な行為だった気がする。

今日、実はKさんと会った後に「アイスデートしない?」なんて誘われていたフランス人男性と会う予定だった。雨でアイス日和って感じでもないかもだし、リスケした方がいいかもしれないとお昼を過ぎた頃に連絡が入っていた。
私としては、特段デートがしたかったわけでもないので、あっさり「あ、そう。雨だしリスケで良いんじゃない?」と、返信を打つ15秒だけで忘れてしまうような話だった。

だった....はずなのに!

「しかも実は僕は冬から体調が良くなくて、それで実際に医師に診てもらったんだけど原因が特定できなくて、でも体調はよくなってくと思う。それで... 」

みたいな長ったらしい余談がやってきたことで、たったの15秒ですら無駄に感じられ、好感度も大急降下。
「ごめんけど雨だし面倒くさいし、リスケしない?」とサクッと言ってくれたら万事順調だったのだ。
「私も面倒くさいなと思っててん!リスケしよー!またね!」と明るく答えていたことだろう。

性別や年齢や国籍に関係なく、私は言い訳が長い人が好きではない。言い訳するなら、それが見透かない程度の技術力を要求してしまう。そうでなければ、素直でいて欲しい。
「面倒臭い」
「今日は気分じゃない」
それで良いじゃない?立派な理由のひとつだと思う。率直に本心が言える勇気とか言いやすい環境がもっと普通になったら良いのになぁ。人間の作法みたいなのって多分どこの国にもあるのだろうけれど。

殆どの人は「面倒臭い」という理由では納得しないものなのか?知らんけど。

そんなわけで、今日も今日とて「デートより知人友人と話している方が断然楽しいわ〜!」「デート誘ってくるなら、日和らず最後までやりきれよなー!」等々、いつもと変わらない思いを持ちながら帰宅。Kさんに頂いたお土産のネイルを塗りながら、話題に出されていたドラマ「エルピス - 希望、あるいは災い -」を観始める。

以前、忙しさにかまけて途中で脱落していたのだが、ぐんぐん観進めていたらとっくに深夜になってるじゃない!

この日記を書き終えたら、続き観まーす。

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