マガジンのカバー画像

(小説)ロックの冒険

31
イソヒヨドリのロックが、仲間と助け合いながら冒険の旅をする物語です。
運営しているクリエイター

#小説

ロックの冒険(1)

ロックの冒険(1)

僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
青い翼が自慢さ。
僕はずっと海の近くで生きてきた。
いつものように運河で海を見てたんだ。

ある日ハシボソガラスのクロウがやってきて僕にこう言ったんだ。
「よう、ロック!お前、森の方に行きたいと思わないか?いつまでも潮臭い海にいてもしょうがないだろ。」
「森の方には何があるの?」

クロウはニタニタしながら、ロックに言った。

もっとみる
ロックの冒険(2)

ロックの冒険(2)

僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
森を目指してハシボソガラスのクロウと旅をすることにしたのさ。

しばらく飛んだら緑が見えてきたのさ。僕らは地面に降りた。
「ねークロウ、あれって森なの?緑の葉っぱがたくさんあるけど」
「あれは森じゃないな。まだここは海の近くさ。」
その時だった。木のてっぺんから怖そうな声が聞こえたのさ。

「こら!お前たちここで何をしてる!!」
頭の上をかすめるようなスピ

もっとみる
ロックの冒険(3)

ロックの冒険(3)

僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
森を目指してハシボソガラスのクロウと旅をすることにしたのさ。

「おーい、のけのけー!!」
ロックとクロウにぶつかりそうになりながら、白い大きな鳥が池の端に降り立った。
「危ないなー。君は誰なの?」
「おれ?おれの名前はホワイティ。チュウサギさ。」
ホワイティは羽繕いをしながら、悪びれた様子もなく、マイペースで魚を探し始めた。

ロックは少しムッとしながら

もっとみる
ロックの冒険(4)

ロックの冒険(4)

僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
森を目指してハシボソガラスのクロウと旅をすることにしたのさ。

ホワイティはロックとクロウに言った。「そんなに森に行きたいなら、それまでにいろんなことを知っといた方がいいな。」
「お前は知ってるのか?」とクロウ。
「残念だがおれはあんまり詳しくねぇ。だけどな、ここから少し離れた広場にムクドリの群れがいる。そこのリーダーのスターリングに聞いてみな。スターリン

もっとみる
ロックの冒険(5)

ロックの冒険(5)

僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
森を目指してハシボソガラスのクロウと旅をすることにしたのさ。

スターリングはロックとクロウに言った。
「森には俺の親友だったティットがいる。シジュウカラの女の子さ。ティットが森に行ったまま帰ってこなくなった。伝え聞いた話だとミニベットの魔法で石にされたって話だ。なぁ青い羽と黒い羽、お前たちにお願いだ。もしローリーに会って魔法を解く方法が分かったら、ティッ

もっとみる
ロックの冒険(6)

ロックの冒険(6)

僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
森を目指してハシボソガラスのクロウと旅をすることにしたのさ。

「ねえテイリー、どこまで飛んでいくの?」小さなロックは、すごいスピードで飛んでいくテイリーに付いていくのがやっとだった。
「もうすぐだ。下に川が見えるだろ?あそこまでお前たちを連れて行く。あとは自分たちで頑張ってみな。川をずっと昇っていけば、いつかは森に着く。」
そしてロックとクロウとテイリー

もっとみる
ロックの冒険(7)

ロックの冒険(7)

僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
森を目指してハシボソガラスのクロウと旅をすることにしたのさ。

「きゃー!」スポッティの驚きと絶望に満ちた叫び声が聞こえた。
スポッティの子どものうち泥に足をとられた一羽がもがいている、その背後に舌舐めずりをしているヘビがいた。

ヘビは今にも子ども遅いかかろうと、紐のような体をS字型に曲げて、じっと子どもを見ていた。
「ロック、その子を足で捕まえて上に持

もっとみる
ロックの冒険(8)

ロックの冒険(8)

僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
森を目指してハシボソガラスのクロウと旅をすることにしたのさ。

スポッティ親子を後にして、ロックとクロウは川を上っていった。
ちょうど川の中流くらいまで飛んで、2人は休憩していた。
ふと見ると、川に打たれている杭の上に一羽のカワウがとまっていた。
だけどカワウは何か悲しい表情をしていた。

「どうかしたの?」ロックが聞いてみた。
それでもカワウから悲しい表

もっとみる
ロックの冒険(9)

ロックの冒険(9)

僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
森を目指してハシボソガラスのクロウと旅をすることにしたのさ。

翌日ロックとクロウはコーモランと別れてさらに上流へと飛んでいった。
途中、広い田園地帯が広がっていた。2人はそこで休んでいた。
緑の絨毯の上でエサになりそうなものはないか探していたとき、黒と白のストライプ模様のスレンダーな鳥が2人の場所へやってきた。

「よう、この辺りでは見慣れない香りだな。

もっとみる
ロックの冒険(10)

ロックの冒険(10)

僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
森を目指してハシボソガラスのクロウと旅をすることにしたのさ。

青の洞窟の入り口までやってきたワッグとロックは、その暗黒の穴に入っていくと思うと、怖気付いた。
ワッグはいつも以上にお尻をフリフリ、ロックも落ち着きなさげに羽繕いをしていた。
「おいロック、ここで逃げるなよ。」
「逃げたりしないよ。ワッグこそ震えてるんじゃないか。」

もっとみる
ロックの冒険(11)

ロックの冒険(11)

僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
森を目指してハシボソガラスのクロウと旅をすることにしたのさ。

翌日ワッグと別れたロックとクロウは、田園地帯をさらに川上に向けて進んでいった。
途中で枯れた木が立ち並ぶ林があった。
林の中に1本の枯れ木があり、その枝をチョコチョコと登っていく小さな鳥がいた。羽は白黒のストライプ、動きからしてキツツキの仲間だった。
「おーい、お疲

もっとみる
ロックの冒険(12)

ロックの冒険(12)

僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
森を目指してハシボソガラスのクロウと旅をすることにしたのさ。

イソシギのリズは泣いていた。
この悲しみは当分癒えないような気がしていた。そんな時ロックとクロウに出会った。
「なんで泣いてるの?」とロックが聞いた。
リズには恋人がいた。恋人の名前はバートンと言った。
リズは本当はバートンのことが今でも大好きなのに、自分からさよならを言ったらしい。

「ねぇ

もっとみる
ロックの冒険(13)

ロックの冒険(13)

僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
森を目指してハシボソガラスのクロウと旅をすることにしたのさ。

ロックとクロウはしばらく河原に向かって飛んでいった。飛びながらバートンを探した。
河原から少し陸地に入り込んだ窪みみたいな場所があり、そこにイソシギがいた。
それはバートンだった。リズが言うようにとてもハンサムなイソシギだった。

「君はバートン?」ロックが聞いてみた。
「ああそうだが、君たち

もっとみる
ロックの冒険(14)

ロックの冒険(14)

僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
森を目指してハシボソガラスのクロウと旅をすることにしたのさ。

「もう少し早く森に着く方法ってないかなぁ。」クロウが疲れた表情で呟いた。
ロックとクロウは2人で森を目指して旅を続けていたが、森はまだ遠くだった。
ロックとクロウがそんな風に考えていた時、空を滑空するように、すごいスピードで飛んでいく鳥を見つけた。
「わぁ、なんだあの鳥は。飛び方もカッコいいし

もっとみる