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「過去形」は「過去」の意味とは限らない?~"Piano Man" 歌詞解説⑥~

Billy Joel の曲で、"Piano Man" という歌があります。
こちら↓の曲ですね。

この東京でのライブの映像がとても好きなのですが、歌詞解説をしてみています。

冒頭の歌詞はこんな風で、バーでの風景を描いています。

It's nine o'clock on a Saturday
(土曜日の9時)
The regular crowd shuffles in
(いつものお客さんが、がやがやとやってきて)
There's an old man sittin' next to me
(私の隣には年老いた男性がいて)
Makin' love to his tonic and gin
(ジントニックを楽しんでる)

2番になると、こんな風に続きます。

Now John at the bar is a friend of mine
(バーにいるジョンは僕の友だちで)
He gets me my drinks for free
(彼はお酒を僕におごってくれる)
And he's quick with a joke or to light up your smoke
(それで、彼はすぐに冗談を言って、あるいは、すぐにタバコに火をつけてくれて)
But there's someplace that he'd rather be
(でも、彼がいるべき場所がどこか他にあるんだ)
He says, “Bill, I believe this is killing me”
(彼は言った。「ビル、これは僕には死にそうに辛いと思うんだ」
As a smile ran away from his face
(笑顔が彼の顔から消えて)

その後にはこんな歌詞が続きます。

“Well, I’m sure that I could be a movie star
If I could get out of this place“

どんな意味になるでしょうか?

“could” が2回使われています。”could” は “can” の過去形ですが、ここでは過去の意味 “could”(できた)では使われていません。

過去形が必ずしも過去の意味だとは限らないんですね。可能性や「〜かもしれない」の意味で “could” を使うことがあります。

I could send it tomorrow.
(それを明日には送れるだろうと思う)

みたいな感じ。あるいは、現在の事実とは反対の、可能性が低いことを表現する(仮定法)こともあります。

I wish I could fly.
(空が飛べたらいいのに)

これは「過去形」が「現在」と距離があることを表しているからなんですね。漫画の吹き出しみたいなものを思い浮かべてください。ぽわーんと頭の上に浮かぶ吹き出し。過去形を使うのは、あの吹き出しを使うようなもの。

吹き出しは過去のことを思う時にも、未来などを想像する時にも使えますよね。
なので、過去形の “could” も過去の意味でも、想像や願望の意味でも使えるんです。

というわけで、先ほどの歌詞に戻りますが、”I’m sure -“ は「-と確信している」、”get out of -“ は「-から出る」の意味なので、こんな日本語になりますね。

“Well, I’m sure that I could be a movie star
(僕は映画スターにきっとなれると思う)
If I could get out of this place“
(この場所を抜け出せたら)

次にはこんな歌詞がきます。

Now Paul is a real estate novelist
Who never had time for a wife
And he’s talking with Davy, who’s still in the Navy
And probably will be for a life

どんな意味になるでしょうか?
ちょっと考えてみてくださいね♪

洋楽歌詞解説のXもやっています。


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