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ぼくは田舎の海辺のどんなところに癒されているのか #2

1.海という自然に癒される


①自然と接するということ


 東京で一人暮らしをする20代の男のよくあるパターンとして、アパートとかマンションみたいな集合住宅に住み、満員電車に乗って会社に行き、その会社もビル群の中にあって、自然と接する時間が少ない日々みたいなのってあると思います。
 土日も繁華街に行って、買い物や映画などの娯楽を楽しむばかりで、よく考えてみたら、ほとんど自然と接していなかったなんて暮らしをしている人は結構いるんじゃないでしょうか。

 自然があったとしても公園などの人工的な自然。ビルから見える空は狭く、目に入る緑は街路樹、アスファルトとコンクリートばかりで土を踏むこともありません。
 そんな暮らしって、ぼくはイヤでした。耐えられない、頭がおかしくなりそう、というくらいです。

 でも海に行けば、広い海、打ち寄せる波、潮風、陽射し、ずっと広がっている空、海辺のノンビリした雰囲気、あまり人がいない空間、といった海という自然のモロモロに癒されます。癒されるというか、ココロの奥の方がほぐれていくような感じがします。気持ちが楽になって、大らかになれます。海からパワーをもらえる気がします。

 たとえば仕事が煮詰まっていて、モヤモヤしているときに、海に行くと「細かいことはどうでもいいよな」と思えてきます。ココロにあったモヤモヤが晴れていくかのようです。気持ちが軽くなるともいえるでしょう。
 都会暮らしと会社勤めという、ぼくにとってあまり居心地が良くない暮らしの中で、ココロに溜まった垢のようなものが、海遊びの間に洗い流されていくのです。
 都会暮らしの方で休日に自然のあるところに遊びに行く方って、結構いると思うんですが、それはやっぱり自然と接すると癒されるからですよね。自然にはそういう力があるのでしょう。

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②海という自然の中での自由


 海にもルールはあるんですが、地上に比べればずいぶんと自由です。
 他人の敷地もありませんし、道路も信号もありません。大声で歌っていても、叱られたり、警察に通報されたりしません。
 ぼくはシーカヤックで人の来ない入江に行ってキャンプをするんですが、本当に自由に暮らせます。食料と水さえあれば、ずっと暮らしたいくらいです。
 海で自由な時間を過ごすと、普段の暮らしの中でいかに自分が瑣事に束縛されていたかに気づきます。その束縛からしばし解放されると、自分のココロが解き放たれていくような感じがして、それが癒されているという感覚につながっているのでしょう。

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③海をとおして自分と向き合う時間


 海でサーフィンやスキューバダイビングをしているとき、絶えず死なないように、無事に帰ることを考えています。
 自然の中で遊ぶことは、なんらかの危険が伴います(都会も別な種類の危険がいっぱいだと思いますが…)。
 明らかに危険なときは、海に出ません。自分の力量を超えている海況のときは、海に出ないのです。
 このときぼくは自分の力を冷静に見極めます。自分の体力や技術でこの海に出られるのか、そして無事に帰ってこれるのか…それを見極めるのです。
 海に出ているときも、海の状況を観察しながら、その状況が自分で対応できるかを確認しています。それをミスると事故とか死につながるので、真剣です。
 海という場で遊んでいるわけですが、その間、自分と向き合っているんです。自分を過大評価するでもなく、過小評価するでもなく、自分の力を見極めるようにします。
 自分と向き合う時間を持つと、理由はわからないんですがココロが充足感で満たされます。うまく説明できないんですが、正反対なのは、毎日忙しくて、たまの空き時間も自分と対峙するのがイヤで、酒や博打や浪費に逃げているけど、どこか気持ちが空虚な状態です。

 海況と自分の力を見極めるのは、自分です。ミスしても自分の身に害が及びます。誰かのせいにできないし、他人事にもできません。すべて自分で考えて判断し行動する、その結果も自分が負う、というのがシンプルでいいとぼくは思います。このシンプルさが、ぼくにとっては心地いいのです。
 対極にあるのが会社の仕事の達成感でして、今期いくらの利益が出てみんな頑張ったねという状況です。いったいその成果のうち自分の努力がどの程度貢献したのか、自分が頑張らなくてももしかしたら同じだったんじゃないのかという状況が、ぼくは張り合いがなくてイヤなのです。

 自然の力は一個人の人間の力を圧倒的に凌駕しています。
 その自然の中に入っていくときに、ぼくは自分の弱さや脆さや儚さを感じます。よくいえば自分の存在を謙虚に受け止めているといえるでしょう。そうやって自分を相対化して見ることで、自分の気持ちが軽くなります。

 自然の中で自分と向き合うことで、自浄作用が働いているような実感があります。

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