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京急空港線の初電が遅い件についての考察

Twitterで以下のようなツイートが話題になっていた

朝6時に東京駅へ着く電車が存在するのか?というものである。
この中で、京急空港線が「距離の割に、間に合わない」路線とされている。

もちろん上記の調査は駅のみで単純比較したもので、何らかの手段で蒲田あたりの駅まで行くことができれば十分間に合うと思われる。

しかし、それを念頭においても、空港線の初電はいささか遅い気がする

手持ちの資料より、この時刻の変遷について探る事とする。結論から言ってしまえば、空港線の初電時刻は大昔からあまり変化していない。

前提

まず前提としておさらい。
現在でこそ羽田アクセス筆頭格である京急空港線だが、これは平成に入ってからの事。

昭和時代の羽田空港駅は現在で言う天空橋駅より手前の位置であり、そこから連絡バスで空港までアクセスする「羽田空港駅」とは名ばかりの時代が続いた。当然、京急が空港アクセスに選ばれる事は少なかった。

今で言う京急大師線の立ち位置というか、近傍で言えば東急多摩川線(目蒲線)だろうか。現・天空橋駅が完成するまでは最大3両編成がウロウロする、都内のローカル線という趣である。歴史を紐解けば終戦直後の羽田空港周辺接収などの影響で複雑な動きがあるのだが、ここでは省略する。

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平成3年:延伸工事開始に伴い京急蒲田~穴守稲荷のみで営業となる
平成5年:穴守稲荷~羽田(現・天空橋)開業、モノレールとの連絡開始
編成両数3両→6両となる

平成6年:ホーム延伸が完成、最大編成両数が8両となる

平成10年:羽田駅を天空橋駅へ改名し、天空橋~羽田空港が開業する
(ここで現在の姿となる)

平成11年:横浜方面~羽田空港の直通がごく少数ながら開始される
(早朝の三浦海岸始発快特羽田空港行もこの時から設定)

平成13年:京急蒲田駅付近の高架工事が始まる
平成14年:横浜方面~羽田空港の直通が本格化

平成22年:京急蒲田駅付近の高架が一部完成、エアポート急行が設定(5月)。国際線ターミナル駅が開業(10月)


平成24年:京急蒲田駅付近の高架が全て完成


令和2年:羽田空港→1・2タミ、国際線→3タミ駅にそれぞれ改名される


昭和25年(1950年)頃

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手持ちで一番古い時刻表。稲荷橋は現在の穴守稲荷駅である。

昭和31年(1956年)頃

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昭和39年(1964年)頃

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※1964年の時刻表は最近復刻版が出ており、比較的入手しやすい


昭和59年(1984年)9月

京浜蒲田→羽田空港
初電:520→526
終電:2324→2331

羽田空港→京浜蒲田
初電:528→534
終電:2332→2339

平日ラッシュ時4~5分毎
日中パターン8~12分毎(毎時6本)

※羽田空港=現在の穴守稲荷~天空橋の間、運河を渡る手前にあった
※京浜蒲田=現在の京急蒲田。昭和62年、全線一斉に京浜~駅から京急~駅へ改名

平成3年(1993年)5月

京急蒲田→穴守稲荷
初電:520→525
終電:2324→2330

穴守稲荷→京急蒲田
初電:529→534
終電:2333→2339

平日ラッシュ時4~5分毎
日中パターン8~12分毎(毎時6本)

延伸工事準備のため穴守稲荷折返しの時代

平成11年(1999年)7月

京急蒲田→羽田空港
初電:517→526
終電:012→022(平日)、2342→2351(土休日)


羽田空港→京急蒲田
初電:527→536
終電:017→027(平日)、2350→2400(土休日)

天空橋から羽田空港までが開通し、現在の姿になった頃

平成14年(2002年)10月


京急蒲田→羽田空港
初電:517→526
終電:012→022(平日)、2352→001(土休日)


羽田空港→京急蒲田
初電:527→536
終電:022→031(平日)
   2350→[普通]→2400、000→[快特]→008(土休日)


平成22年(2010年)10月


京急蒲田→羽田空港
初電:519→529
終電:017→029(平日)、2353→005(土休日)


羽田空港→京急蒲田
初電:523→534
終電:020→031(平日)
   2349→[普通]→2400、2359→[快特]→007(土休日)

京急蒲田駅の高架化工事が佳境を迎え、半分ほど完成・供用開始した頃

令和3年(2021年)現在


京急蒲田→羽田空港1・2
初電:519→529
終電:012→023(平日)、2355→006(土休日)


羽田空港1・2→京急蒲田
初電:523→534
終電:010→021(平日)
   2353→[普通]→004、2359→[快特]→007(土休日)

考察

ご覧の通り、終電間際の時刻は羽田アクセスが意識され始めた頃に繰り下がっている。
一方で初電については、都心直通列車になったものの、時間帯自体はそこまで変わっていないようである。
もちろん全般的な本数は激増しているのだが、早朝フライト等の影響で初電時刻が繰り上がっているのかと思いきや、意外である。

最後に、手持ち時刻表より京急蒲田(京浜蒲田)の昼間パターンから抜粋したものを掲載する

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一支線から空港アクセス路線への変容が伺える。空港線各駅(糀谷~天空橋)については、品川~羽田空港の直通快特・エアポート快特の割を食っており、都心方面との行き来に乗換が必要な時間帯が多いのが現状。


※時刻はいずれも所蔵する各時刻表より。最新のものについては紙版の時刻表が未発行のためWEB掲載のものを参考とした

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