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円安は日米の経済の実力ではなく、消費と借金に対する態度の反映かもしれない

ここのところ円安が話題になっている。この円安については、経済の基礎体力(ファンダメンタルズ)よりも、日米の国民の借金に対する態度の反映という部分がある。

ドル独歩高

まず確認しておきたいのは、今の相場はドル独歩高の色が濃いということである。この1年で、円に対してドルは32%値上がりしたが、ユーロは12%程度の値上がりで、ドルはユーロに対しても18%値上がりしている。ドル円しか見ていないと「円安」という印象が強いが、バスケットで見ると「ドル高」というべき傾向である。

ドル円。1年で約+32%。
ドルユーロ。1年で約+18%。
ユーロ円。1年で約+12%。

為替変動の直接の主因――金利差

この為替変動は、金利差によって説明可能である。2020年頃まで日米欧のいずれでも金利はほぼゼロか、あるいはマイナスに張り付いていたのだが(このメカニズムは私はいわゆるJapanization、年金資金過剰と理解している)、コロナ禍とロシア制裁によるコストプッシュインフレの影響を抑えるため、アメリカで2.5%に、ユーロ圏で0.5%に上がった。一方で日本では日銀の方針としてマイナス金利が貫かれている

日本だけ金利が安い状態なので、日本で貸付先を探しているような資金は、利子のつくアメリカやユーロ圏で貸し付けられるようになり、その貸し付けのために円を売って外国通貨を買うことになるので、円視点で円安が進行する。アメリカは急速に金利を上げたため、世界中から貸付資金を吸い上げており、これがドル独歩高の基本的なカラクリである。

アメリカの公定歩合(今年に入って+2%以上のジャンプアップ)
日本の公定歩合(マイナス金利固定)
ユーロ圏の公定歩合(最近+0.5%)


インフレ率の大きな違い

先ほども書いた通り、コロナ禍とロシア制裁で世界的にコストプッシュインフレが生じている。しかし、それに対するリアクションは世界それぞれで異なる。日本ではロシア制裁開始後の2022年4月に前年比+2.5%程度になったが、そこで安定している。一方、アメリカやユーロ圏では1年前は前年比+5%程度だったインフレ率がどんどん上がり、現在は前年比+9%前後まで4ポイントほど上がっている。

アメリカのインフレ率。直近で前年比+9%程度。
日本ののインフレ率。直近で前年比+2.5%程度。
ユーロ圏のインフレ率。直近で前年比+9%程度。

この違いを生み出す原因はいくつもあるが――一つはっきりしていることは、金利差が生じている、つまりアメリカ中央銀行は金利を上げて借金を減らせというメッセージを出しているのに対して、日銀は相変わらず円で借金する人間が足りないと考えている、ということである。

素朴な理解の仕方をするならば、アメリカは物価が上がったならばそれだけ支出額を増やして(必要なら借金して)同じ量を消費しようとする個人や企業が多いのに対して、日本は消費量を抑えることで支出額を維持する傾向にある、という推測くらいはできる。もしそうであるならば、当然ながらアメリカ型の消費スタイルには破産リスクが伴う。

現在の円安は、経済の基礎体力(ファンダメンタルズ)という要素以上に、コストプッシュインフレに対するリアクションの違いが金利差となっている要素がある(おそらくそれが主因)、ということは気を付けておいたほうが良いだろう。


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