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東大女子にお勧め!学生のうちに職人と結婚・出産してキャリアにじっくり取り組むライフプラン

本稿の主題は表題の通りである。「学生のうちに結婚・出産しろ」というのはかなり暴論に聞こえるが、特にエリートになることが期待されている高学歴女子には、学生時代に出産してしまうのが最適解ではないかと大真面目に考え始めたため、メモとして残しておく。

学生出産のメリット

M字カーブの回避

学生出産を選ぶ理由の一つは、出産・育児でキャリアが中断するM字カーブによるデメリットを避けることで、後々のキャリア形成につながる点がある。これはアメリカ2010年代フェミニズムで最も議論された(ベストセラー)本の一つであるスローターの著作中でも言及されている。

The most important sequencing issue is when to have children. Many of the top women leaders of the generation just ahead of me—Madeleine Albright, Hillary Clinton, Ruth Bader Ginsburg, Sandra Day O’Connor, Patricia Wald, Nannerl Keohane—had their children in their 20s and early 30s, as was the norm in the 1950s through the 1970s. A child born when his mother is 25 will finish high school when his mother is 43, an age at which, with full-time immersion in a career, she still has plenty of time and energy for advancement.
最も重要な順序の問題は、いつ子供を産むかである。私のすぐ上の世代のトップ女性リーダーたち(マドレーン・オルブライト、ヒラリー・クリントン、ルース・バーダー・ギンズバーグ、サンドラ・デイ・オコナー、パトリシア・ウォルド、ナナーレル・キオハン)の多くは、1950年代から1970年代にかけて主流だったように、20代から30代前半で子供を産んでいる。母親が25歳のときに生まれた子供は、母親が43歳のときに高校を卒業することになるが、この年齢では、フルタイムでキャリアに没頭すれば、昇進するための時間とエネルギーはまだ十分にある。

Anne-Marie Slaughter. Why Women Still Can’t Have It All. The Atlantic. 2012

出産子育てで2~3年は休学などを挟むかもしれないが、2浪したり、あるいは1浪1留くらいの学生はザラにおり、24歳で社会に出てもほとんどデメリットはない。25歳で新卒であっても、在職中に妊娠出産してキャリアが中断するデメリットに比べればはるかに小さい。むしろ、採用時に「キャリアを中断させないために出産はすでに済ませてきた」と言えばむしろ金の卵として重宝されるだろう。

また大学生のうちならば半年ごとにペナルティなしに休学できるし、授業の取り方で容易に時短を調整できる。これが職場になると、①仕掛りの仕事を持った状態で休職/時短すると引継ぎが大変②復帰時に最新情報へのキャッチアップや引継ぎを受けるためにアウトプットが出せない助走期間が必要③人数の少ない職場では戦力減少への耐久性が低く迷惑がられるなど、かなりペナルティが増えるため、その点でも学生出産のメリットは大きい。

身体的リスクの低減

周産期死亡率は20代後半で最低になるが、20代前半はそれに次いで低く、また子の流産率でみれば20代前半が最低である(10代でも変わらないという話もあるようだ[1][2])。現在の日本では平均初産年齢が30歳を過ぎているが、30代の出産よりも学生の3年あたりで出産するほうがリスクは低い。

母の年齢別周産期死亡率(平成23年)
女性の加齢による流産の頻度

また、育児の他の何かの両立の意味でも、20代前半まではある「徹夜で遊んだりしても大丈夫な体力」がそれを可能にする、30代後半で産むと何もできないレベルに陥るという話はよくされるようになった。生涯レベルでの精神的健康の上でも、学生出産は悪い選択ではないだろう。

学生出産経済的リスク回避

学生同士の結婚などでは、どうしても出産後の経済的な扶養を誰がするかという問題が生じる。一番ストレートな解決は社会人を配偶者にすることである。

その中でもお勧めは、同年代の職人である。エリートキャリアでは引っ越しは必ずついて回る問題でJTCの総合職なら転勤はローテーションという勢いで起きるし、外資に就職しても出世するなら社内/社外ジョブハントで空いた上級ポストに飛び込む以外に道はないので引っ越しに強い「手に職」系の配偶者がおすすめである(同タイプのエリートを配偶者に選ぶと相手を主夫にしないと別居か自分が主婦になる)。

この話を𝕏でしたとき、「友人の東大女子がわざわざ板前を指定して結婚していた理由が分かった」というエピソードを頂いたことがあった。板前はホワイトカラーに比べればキャリア中断に強く、どこでも職が探せ海外でも職がある(なんなら海外のほうが高給になる)のでエリート志向の東大女子にはぴったりの配偶者であり、学生出産時に支えてくれるならなおさらいい組み合わせだろう。

どうしてもホワイトカラーがいいという場合にはある程度年上の社会人を選ぶことになるだろう。その場合は夫のキャリアを考えると大きな育児参加は期待できないが、スローターが過去の年代の女性について書いている通り30代までを下積みで、40代から管理職を目指すキャリアプランでも十分に対応できる。

なお結婚相手を探すのは、少なくとも自然な出会いはかなり難しいので婚活をすることになるだろう。ただ、それでも30代後半の地獄のような婚活に比べればずっとハードルは低いだろう。

まとめ

本来は若年結婚のリスクについて真面目に書こうとも思ってちょい下調べをしたのがこの話を書いたきっかけだが、整合性が付くように色々考えてみると、実は出産リスクの最低化・女性の社会進出の最大化を行うならばこのプランが最適であるように思われる。

別の言い方をすると、「若いころ遊ぶ時間を削り、それで浮いた体力を仕事と育児の両立に投入する」「モラトリアム期間を育児に投入することで後々の仕事と育児の両立の負担を減らす」という関係であるとも言え、バランスは成り立っているだろう。

逆に言えば、この選択をすることで「人生の中で遊べる時期を捨てて育児に投入する」ことになる。特に女性の場合は「未熟な人間として守ってもらえる+ある程度大人として自己決定権を使える+性的魅力が最大生涯」というトリプルボーナスで一番ちやほやしてもらえる時期を子供のために使うことになる。

また配偶者の選択も、「最悪自分が主婦化しても高年収の夫に頼れば(ちやほやしてもらえば)いい」という選択より、「自分が出世しより重い責任を負う職に就くために中央値レベルの男を選ぶ」という選択肢になる。その点でも「周りからちやほやされるメリットを捨てて自力でのし上がるために時間を使う選択肢」と言えるだろう。

ただ、ここで最高のちやほやを一身に浴びて楽しんでもらうと、年を取り子ども扱いしてもらえなくなり(ガンガン詰められ大人として責任をとらされる)性的魅力も落ちていく落差に精神がすり減り、ここに育児が重なると詰んでしまう女性も少なくない。人生の喜怒哀楽をもっとフラットにする選択も悪くないだろう。


また、公共政策的には、出生率の向上+女性の社会進出促進(M字カーブ回避)に資するので選択肢としては悪くないのは確かである。



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