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【剣】第43話~第44話


第43話

 睦月に対しててきめんの効果を発揮した、ティターンのアンデッドポイズン。睦月ほどではないとはいえ、カードと融合することで変身している剣崎や橘さんも、少しでも毒に触れればその影響を受けないとは言い切れない。

 ティターンとの交戦中、尻尾攻撃でこそないものの、痛烈な一太刀を浴びてしまったブレイドとギャレン。戦いの後、まずおかしな振る舞いを見せたのは剣崎だ。ハカランダに無言で現れた彼は、コップをひっくり返し、お盆を貫くほどのパンチで始に襲い掛かった後、すたこらさっさと逃げていく。さらに睦月と望美を銅像の下敷きにしようとし、またも逃走。睦月の連絡を受けた橘さんが白井家に急行するが、剣崎はどこ吹く風で暢気にカレーなど食っている。ときに、「腹が減ったから今すぐ何か食べたい」と言っている相手にイチからカレーを作って提供する栞のセンスよ(他に何もなかったのかもしれないが……)

睦月「じゃあ僕が」
始・橘「どうぞどうぞ」
 まで妄想したが、ダチョウ倶楽部をやるにはまだ打ち解けが足りないように見えるお三方(主に始)。
 漫才、もとい話し合いをしている間に、食事を終えた剣崎は「アンデッドを探してくる」と姿を消してしまう。慌てて行方を追う睦月たち。

 給油ホースで睦月の首を絞めた後、会計もせずに逃げ去っていく橘さん。やっと追いついたところに始・剣崎も合流する。剣崎と橘さんを正気に戻すため、やむなく戦いを仕掛ける睦月たち。戦うことで元に戻る保証があるわけではないが、恐らく二人の念頭にはさきの剣崎キングフォームの一件があるのだろう。あの時は拳を通じて説得し、剣崎に力を抑え込ませることが出来たのだ。
 わけがわからないといった表情で、こちらもやむを得ず応戦する剣崎たち。すべては天王路の目論見通り、このままライダーたちは潰しあってしまうのか?


第44話

 ティターンの正体はさそりとカメレオンの合成アンデッドである。ゲルショッカー的に命名するならスコピレオンとでもいったところか?  二体のアンデッドによってつくられたティターンは二つの能力を持っている。一つはさそりのアンデッドポイズン、もう一つはカメレオンの変身能力である。

 暴走したかに見えた剣崎と橘さんは、実は変身したティターンによる偽物であった。先に睦月の暴走を見せることで信憑性を高めるというテクニックまで活用されたため、すっかり騙されてしまった始たちである。仲違いを誘発するにはこれ以上ない配役、天王路の采配が光る。
 が、ネタさえ割れればあとはこちらのターンだ。からくりに気づいた始はわざわざ剣崎のガラケーを使い、ライダーたちにメールで招集をかける。どこで見ているかわからないティターンを警戒して、本物しか持っていないはずのケータイメールを利用したわけである。声にも出さないから盗み聞きもされずに済む。

 白井家に集まり、身の潔白を証明し合うライダーたち。睦月が述べた最近の悩み事(自分にライダーの資格はあるのか?)は、前回冒頭のバーベキューパーティーで彼が口にしていたことだ。お芝居のためとはいえ、大勢の仲間の前でそれを打ち明けられる睦月の成長を嬉しく頼もしく思う。悩むがよい青少年。
 互いが互いを監視するような話し合いの途中、不意に苦しみだす始。以前暴走していた時を彷彿とさせるような唸り声をあげながら、彼は家を飛び出していく。まずまっすぐ向かった先はハカランダで、天音に見守られながら水をがぶ飲みする始。大一番を前に天音の顔でも見たくなったのか、それとも通り道でたまたま給水しただけなのか?
 水を飲み終わると今度は河川敷へ向かい、剣崎達の前でいよいよジョーカーの姿を現わにする。ジョーカーにとどめを刺そうとするも、剣を振り下ろせないブレイド。ジョーカーを必死に拘束しているレンゲルとギャレン。そして、硬直した状況に飛び込んできたひとつの影。それこそ始たちの待ち構えていた相手、哀れにもすっかり罠に引っ掛かってしまったティターンである。劇団仮面ライダー、鮮やかなお手並み。ヨッ演技派!
 ティターンをおびき出す芝居のため、始は自ら暴走の演技をし、しまいにはジョーカーの姿にすらなって見せる。一時期はあんなに嫌悪し、二度となりたくないとまで言っていたのにだ。この変身があったことでお芝居の真実みはぐっと増し、ブレイドが葛藤するシーンではこちらも一緒にはらはらしてしまったほどだ。作戦の成功率を上げるためには必要な手段であったとはいえ、すすんでそれを行ってくれる始の姿にはなんだか感慨深いものがある。ちょっとジョーカーの姿になったくらいでは、もはや「相川始」は揺るがないのだなあ。そして、もう二度とジョーカーの力に取り込まれたりはしないという始の自信も感じられる。良いぞ、その調子だ。
 かくてライダーたちはティターンを殲滅、この暴走騒ぎも閉幕となる。ティターン撃破の報告を聞いた天王路は、しかし特に気にした様子もない。まるで規定事項だとでも言わんばかりの余裕っぷりである。

 バトルファイトの優勝者は繁栄を約束される。ルールのあるゲームに勝利した者が、その景品たる権利を履行するためには、当然主催者側とのコミュニケーションが必要になる。天王路の狙いはそこか。死んだように静かに見えた「封印の石」も、時が来れば再び蘇るのかも。その覚醒の時を早めるため、ライダーたちにアンデッド狩りをさせてバトルファイトを加速させたのか?

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