仙台七夕まつり

本来七夕祭りとは7月7日に開かれるものだが、宮城県仙台市の「仙台七夕まつり」は月遅れの8月7日を中日として、8月6日〜8月8日の3日間で開催される。青森県の「青森ねぶた祭」、秋田県の「秋田竿燈まつり」と並ぶ、「東北三大祭り」のひとつとして数えられている。仙台市内のみならず、商店街やバス停など仙台市内周辺の地域でも七夕飾りを見ることができる。仙台駅の西口にも大きな七夕飾りが飾られており、華やかな装飾で仙台を訪れた観光客を迎え入れる。

仙台七夕の歴史はとても古く、詳細は不明であるが江戸時代初期ごろに仙台藩祖の伊達政宗公が、女性に対しての文化向上を目的として七夕を奨励したことから広まったとされる。年中行事として全国へ広がったのは江戸時代の中頃。

仙台七夕では「7つ飾り」という「短冊」「紙衣」「折鶴」「巾着」「投網」「くずかご」「吹き流し」の7種類の飾りで構成されている。もちろん、飾り一つひとつに意味が込められている。

日本全国から、そして世界からも見に来てくれる人が多い。その数毎年200万人ほど!テレビ等で紹介される大きな七夕飾りは、一番町や中央通り(クリスロード)のアーケード街で見ることができる。特に中央通りでは、スターバックスやソフトバンクなど企業オリジナルの飾りが店舗の前に飾られている(毎年すごいのは阿部蒲鉾店本店前の飾り)。飾り付け審査も行われていて、金賞・銀賞・銅賞と3つの賞がある。それがあるためなのか、各企業の飾りに対する気合いの入れようが凄い。ちなみに飾りのデザインなどは七夕祭りが終わってからすぐに取りかかるため、約一年ほどかかるらしい。

今でこそ夏の定番のお祭りとして全国各地で七夕祭りが開かれているが、その中でも仙台七夕まつりが一番綺麗だと思っている。宮城に生まれ宮城で育ったものとして、これは胸を張って言えることだ。期間はたったの3日間、それでもその短い時間に込められた地元住民の祭りに対する熱意は計り知れない。一度見たら忘れられない、絢爛豪華という言葉がぴったり合う。

祭りが始まる8月6日は、1945年の同日午前8時15分、広島に原爆が投下された日でもある。七夕飾りの中には、8月9日に原爆が投下された長崎と合わせ、もう二度とあのような悲劇を起こさないように、核開発のない平和な世の中が訪れることを願う飾りもある。

仙台は住んでいる場所によってはあまり気軽に来れる場所ではないかもしれない。それでも、一生に一度でいいから見に来てほしい。作り手の熱意とその綺麗さ・豪華さを、実際に見て感じてほしい。本当の素晴らしさというものは、文章では書ききれないし伝えきれない。

天明の大飢饉、仙台空襲、東日本大震災。数々の困難を乗り越え、現在も七夕飾りは華々しく、夏の仙台の街並みを彩ってくれる。

伊達政宗がこの世に遺した素晴らしき伝統を、この先もずっと、永く長く守り続けていきたい。

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